HIV検査の種類を知らなくても、別に検査を受けるのに不便はありませんが・・・

あなたがHIV検査を受けるとき、別に検査の種類を知っていなくても困ることは何もありません。なぜなら、あなたが検査の種類を選ぶことはまずないからです。

保健所に行って検査を受けても病院に行って検査を受けても、まず普通はHIV抗体検査と言う種類の検査を受けることになります。

まぁ、しいてあなたに関係があるとすれば、即日検査か、通常検査か、このどちらを選ぶかですね。

検査の種類としてはどちらもHIV抗体検査なのですが、検査方法が異なるため、あなたが採血してから検査結果が出るまでの時間が変わります。

では、HIV検査の種類を下の表1・表2にまとめたのでご覧下さい。

スクリーニング検査(1次検査)と、確認検査(2次検査)に分けてまとめてみました。

スクリーニング検査と確認検査の違いについてはこちら⇒『HIV検査の手順』

また、ここではHIV検査の名称、及び特徴を説明することに注力しました。更に各検査の詳細については、『HIV検査のマーカーとは?』にて解説しています。

◇表1.スクリーニング検査(1次検査)の種類

検査方法 特徴・メリット・デメリット
IC法 (イムノクロマト法)
・HIV-1、HIV-2の抗体を検出する。
・即日検査(迅速検査)として用いられ、結果が出るまで15分と速い。
・偽陽性率は1%
・HIV感染後3ヶ月で検査
PA法 (凝集法)
・HIV-1、HIV-2の抗体を検出する。
・第三世代の抗体検査で日本で開発された。
・偽陽性率は0.3%
・HIV感染後3ヶ月で検査可能
抗体EIA法 (酵素免疫法)
・HIV-1、HIV-2の抗体を検出する。
・第三世代の抗体検査に属する。
・偽陽性率は0.3%
・HIV感染後3ヶ月で検査可能
抗原・抗体EIA法
・HIV-1の抗体と抗原(p24抗原)、HIV-2の抗体を検出する。
・第四世代のHIV検査である。
・HIV感染後30日でHIV-1のp24抗原を検出可能。

◇表2.確認検査(2次検査)の種類

検査方法 特徴・メリット・デメリット
ウエスタンブロット法
・HIV-1、HIV-2の抗原タンパク質に対する抗体を検出する。
・HIV-1とHIV-2を同時に検査は出来ない。
・偽陽性率は低いが検査感度が低く、RT-PCR法とセットで用いる。
RT-PCR法
・HIV-1のRNA遺伝子を検出します。(研究所ではHIV-2も可能)
・HIV感染後11日目から検査可能でウインドーピリオドが最短。
・HIV-2が検出出来ないため、ウエスタンブロット法と併用される。
・確認検査だけでなく、治療効果確認用や病勢把握用にも使われる。


では、以下にQ&A形式で表の内容を補足します。

 

◇保健所ではHIV検査に即日検査と通常検査の2種類があるのはなぜか?

即日検査だと採血から1時間以内に検査結果が分かるので、その日のうちに全ての検査が終了します。(むろん、陽性であれば確認検査が必要です。)

しかし、通常検査では、最初に採血して、1週間から2週間くらい後に再度検査結果を聞きに保健所に行かなくてはなりません。とっても面倒で利便性が悪いです。

なぜ、全ての保健所が即日検査にせず、通常検査もやっているのでしょうか。

元々、保健所でHIV検査が始まったことは全て通常検査でした。即日検査などなかったのです。それが近年、IC法と言う15分ほどで判定出来る検査が導入され、即日検査が可能になりました。

従って、現在は利便性の高い即日検査に移行中なのです。

ただし、即日検査は利便性は高いのですが、偽陽性が出る確率が1%、すなわち100人に1人ほど出ます。通常検査だともっと検査精度がよくて0.3%程度です。

HIVに感染していないのに、「あなたは陽性です」と言われたらぎょっとしますよね。詳しくはこちら⇒『HIV検査の偽陽性・偽陰性』

ここ3年間ほど、保健所のHIV抗体検査を受ける人は減少の一途をたどっています。もっと利便性の高い即日検査を普及させて検査を受ける人を増やす必要があると思います。

 

◇確認検査に2種類あるのはなぜか?

表2をご覧頂くとお分かりのように、確認検査にはウエスタンブロット法とRT-PCR法の2種類があります。どしてわざわざ2種類もするのでしょうか?

まず、確認検査と言う性質からして、非常に高い検査精度を要求されます。それは当然ですよね。確認検査で誤判定したら大変なことになります。

従って、高精度の検査を実現するために、2つの検査を組み合わせて万全を期しているのです。この2つの検査の組合せがどう言う意味合いかは、次の通りです。

○ウエスタンブロット法ではHIV-1とHIV-2の抗体検査を行い、偽陽性が出ない。
すなわち、ここで陽性と判定されたら陽性が確定する。

ただし、どうしても抗体検査なので検査が出来ないウインドーピリオドが存在する。この間に検査を行うとHIVに感染していても陰性となる。

○RT-PCR法ではHIV感染11日目から検査が可能で、ウインドーピリオドが最も短い。
抗体検査に比べると圧倒的にウインドーピリオドが短く、HIV感染を見逃す危険性が低い。

ただし、HIV-1の検査しか出来ないため、万一HIV-2に感染していると判定出来ない。このように、お互いの検査方法の弱い部分を補う形で2つの検査方法が併用されているのです。

 

◇NAT検査とは何か?

あなたはもしかしたら、「NAT検査」と言う名前を聞いたことがあるかも知れませんね。NAT検査とは、Nucleic acid Amplification Testの略で、核酸増幅検査の総称です。

血液中のわずかなHIV遺伝子を何万倍にも増幅して精度の高い検査を実現します。

HIV感染直後の急性期でも検査が可能であり、献血で集められた血液もNAT検査で検査をしています。(ただし、NAT検査にもウインドーピリオドは存在します。)

以前は核酸を増幅して検査する方法は、PCR法(Polymerase Chain Reaction)しかなかったのですが、現在ではPCR法の他にも、

●TMA 法(Transcription Mediated Amplification)

●NASBA法(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)

●LCR法(Ligase Chain Reaction)

などの方法があります。これらを総称してNAT検査と言います。

しかし、私が専門書や医療サイトを調べてみると、NAT検査とは核酸増幅検査の最も精度の高い検査、と言う意味合いで使われているケースが目立ちます。

ある医療サイトでは、血液センターが所有している検査設備が唯一NAT検査であると書かれていました。

一方、厚生労働省の関連団体が運営する「HIV検査相談マップ」には全国でNAT検査を実施している医療機関が紹介されています。

ここで使われている「NAT検査」と言う名称は、単に核酸増幅検査の総称であって、実際の検査方法は前述の4種類のどれかを採用しているのかも知れません。

あるいは、それとは別にもっと精度の高い原理を採用した検査方法なのかも知れません。そこは私も調べてみましたが、ハッキリしませんでした。

■この記事のポイント
○HIV検査にはスクリーニング検査と確認検査があり、両方の検査で陽性になったときHIV感染が確定する。

○HIV検査で検出する対象は、抗体、抗原、遺伝子の3種類があり、それぞれ異なる検査原理で検査を行う。

■あなたがHIV検査を先延ばしにすると危ない3つの理由とは?

「生存率」・「いきなりエイズ」・「潜伏期間」 3つのキーワードとデータが物語るエイズのリスク。