HIV検査は1次検査(スクリーニング検査)と2次検査(確認検査)があります。

あなたがHIV検査を受けるときのために、HIV検査の手順を説明したいと思います。

まず、HIV検査全体の流れを理解して下さい。図1で説明します。


(図1)HIV検査の手順

 

①問診

あなたが保健所でHIV検査を受けるなら、無料・匿名で検査が可能です。

でも、匿名でも検査前の問診はあります。まぁ、色んな質問、ヒアリングがあるのですが、基本的に個人情報はいっさい出す必要はありません。

また、答えたくない質問には答えなくても大丈夫です。

この事前問診で最も大事なことは、ウインドーピリオドについての確認です。

ウインドーピリオドと言うのは、あなたがHIVに感染してから検査が可能になるまでの期間のことです。

と言うのも、実はHIVに感染した直後にはHIV検査が出来ないのです。このウインドーピリオドは検査方法によってそれぞれ期間が異なります。

あなたが保健所で検査を受けるなら、HIV抗体検査になりますから、感染の可能性があった日から3ヶ月が経過していないと正確な検査が出来ません。

この点をHIV検査の事前問診で担当の係員は必ずあなたに確認するはずです。

もし、あなたがウインドーピリオド中に検査を受けると、検査結果の精度が悪くてHIVに感染しているのか、いないのか、正確な判断が出来ません。

最近では保健所のHIV抗体検査のウインドーピリオドも一部では3ヶ月から2ヶ月に短縮されています。

あなたが保健所でHIV検査を受けるなら、HIV感染が不安な日から3ヶ月が経過してから検査を受けましょう。

②スクリーニング検査(1次検査)

HIV検査は、スクリーニング検査と言う1次検査と、確認検査と言う2次検査で成り立っています。

あなたはまず、スクリーニング検査を受けることになります。

この検査ではあなたの血液を5ccほど採取し検体とします。それであなたの血液中に、HIV抗体が出来ているかどうかを検査します。(これを抗体検査と言います。)

HIV抗体が見つかればHIVに感染、見つからなければ非感染と判定します。

スクリーニング検査とは、「振い分ける」と言う意味で、まずは非常に感度が高い検査で、少しでもあなたにHIV感染の可能性があれば陽性判定が出ます。

場合によっては、本当はあなたがHIVに感染していなくても陽性判定が出ることがあります。これを、「偽陽性」と呼びます。

あなたが万一、HIVに感染していたら、それを絶対に見逃さないため、ちょっとでも怪しい場合には陽性、あるいは保留判定とするのです。

逆に言えば、このスクリーニング検査で陰性判定が出れば、その時点でHIVに感染していないことが確定します。それが③の非感染です。

そのくらい、スクリーニング検査は感度の高い検査です。

なお、スクリーニング検査には即日検査と通常検査の2種類があります。

●即日検査(迅速検査)・・・採血後、1時間以内に検査結果が分かります。

●通常検査・・・採血後、1週間から2週間位して再度保健所に検査結果を聞きに行きます。

最近ではHIV検査の利便性を高めるため、即日検査が増えてきましたが、それでも通常検査しか
やっていない保健所もまだまだあります。あなたの最寄の保健所でご確認下さい。

③スクリーニング検査陰性

この時点であなたはHIVに感染していないことが確定します。もう何も心配することはありません。

ただし、この検査結果は、あなたが3ヶ月前まではHIVに感染していなかったことを保証するものであり、今現在を保証するものではありません。

過去3ヶ月以内にまたHIV感染の可能性がある行為を行った場合には、その行為があった日から3ヶ月して再検査する必要があります。

過去3ヶ月以内にHIV感染の可能性がないと言えるなら、この判定で現在も非感染です。

要するにウインドーピリオド中にHIV検査を受けても正確な判定は出来ないと言うことです。

④確認検査(2次検査)

あなたがスクリーニング検査で陽性、あるいは保留判定となった場合には確認検査を受けることになります。保留判定と言うのは、陽性とは判定できないけれど怪しい場合です。

確認検査はウエスタンブロット法RT-PCR(核酸増幅検査)法が併用されます。この確認検査は非常に精度が高く、スクリーニング検査のような「偽陽性」は出ません。

確認検査であなたに陽性判定が出れば、この時点で初めてHIV感染が確定します。

「だったら、最初から確認検査をすればいいのに!」

あなたはそう思うかも知れませんね。そうすれば1発で分かりますからね。

ただ、確認検査には即日検査がなく、必ず2週間後くらいに検査結果を聞きに来なくてはならないと言う利便性の悪さがあります。

そして何より検査のためには設備、環境が必要でありどこでも可能な検査方法ではないのです。むろん費用もスクリーニング検査より高くつきます。

そのため、まずは速くて安い検査で振いにかけて、怪しい人だけ確認検査を行うと言うシステムを採用した訳です。

⑤確認検査陰性

HIVには感染していないことが確定します。

⑥確認検査陽性

HIVに感染していることが確定します。

HIV感染者は全数報告が法律で義務付けられているため、7日以内にあなたを検査した保健所や医療機関が(保健所経由で)都道府県知事に報告することになっています。

ただし、あなたの住所や氏名が報告されることはありません。また、あなたの了解なしに家族を始めとする第三者にHIV感染の事実を伝えることもありません。

以上があなたがHIV検査を受けるときの検査手順になります。

細かいことは別に知っていなくても大丈夫です。あなたが心配しなくても、全て保健所や医療機関の担当者が親切にフォローしてくれます。

■この記事のポイント
○HIV検査にはスクリーニング検査と確認検査がある。

○HIV感染の可能性があった日から3ヶ月以上経過してHIV検査を受けないと正確な判定が出来ない。検査が出来ない期間をウインドーピリオドと呼ぶ。

○スクリーニング検査では、本当はHIVに感染していない人にも陽性判定が出ることがある。これを「偽陽性」と呼び、スクリーニング検査で陽性判定が出ると確認検査で再度判定する。しかし、陰性判定が出れば、その時点でHIVに感染していないことが確定する。

○確認検査で陽性になると、その時点でHIV感染が確定する。

○保健所では無料・匿名でHIV検査を受けることが出来る。個人情報は出す必要がない。

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