HIV・エイズの症状>HIV脳症が怖い理由とは?

HIV脳症はエイズ指標疾患の1つです。ARTによって治療が可能になり死に至ることはなくなりましたが、しかし別の問題が指摘されています。

過去に当サイトでは『HIVによる認知障害』という記事を載せました。ARTという抗HIV医療を受けながらも、段々と認知症を発症して場合によっては重症化してしまうという記事でした。

今回はその続編とも言うべき記事です。

◇HIV脳症とは何か?

ここでもう一度、HIV脳症とは何かをおさらいしておきます。HIV脳症とはHIVが感染することによって脳の機能を低下させたり、脳そのものを委縮させてしまう病気です。

HIV脳症の初期段階では軽い認知症の症状から始まります。物忘れや集中力の低下、やる気がなくなったり物事への興味がなくなったりします。

そして更に進行すると下肢が動かなくなって歩行不能になったり、震えが出るなどの運動障害が出てきます。末期には高度の認知症となり、最後は直物人間状態となって日和見感染症を合併して死に至ります。

かつてエイズの有効な治療法がなかったとき、発症から約半年くらいで亡くなる患者がほとんどだったのです。

しかし、1997年ころから始まったARTと呼ばれる抗HIV医療によって予後は劇的に改善されます。HIVの増殖を抑え、体内のウイルス量をコントロールできるようになってからは死亡する患者は激減しました。

ひところはもう、HIV脳症は過去の病気だとまで言われたのです。

しかし、ARTの登場によって患者が長期に渡る抗HIV医療を受ける中で、仮に治療を受けていても少しずつウイルスが脳に侵入し、日常生活に支障のない程度の認知機能低下を引き起こすことが分かってきました。そこから重症化する患者もいるそうで、全体ではHIV感染者の約40%に認知機能低下がみられるそうです。(2014年10月14日付日本経済新聞WEB版)

そこで、従来のHIV脳症という呼び名から、HIV関連神経認知障害(HAND)と呼び名を改め、軽度の障害から無症候性神経認知障害、HIV関連認知症までを広く含めるようになりました。(「HIV感染症診療マネジメント」医薬ジャーナル社)

◇新たな問題とその対策

今説明したように、ARTが登場した当時HIV脳症は予防できる、あるいは完治できると思われたのですが、長期に及ぶARTの中で発症することがあると分かってきました。

日本経済新聞社の記事には、国立国際医療研究センターの岡慎一エイズ治療・研究開発センター長が経験した患者の例が載っています。

岡氏が10年間もART治療を行ってきた50代の患者さんの様子がおかしくなり、調べてみると実は軽度の認知症が出ており、ARTで処方した薬を飲み忘れていることが分かりました。

『エイズの治療とは?』でも詳しく説明しましたが、抗HIV薬は毎日決められた量を決められた時間に服用しなくてはなりません。血液中の薬の濃度を一定に保っておかないと、効き目がなくなるのです。

風邪薬みたいにうっかり飲み忘れたり、自分かってに飲むのを止めたりすることが出来ません。つまり、薬を決められたルール通りに服用する、という自己管理が必要なのです。

しかし、軽度とはいえ認知機能低下が現れるとこの自己管理が困難になっていきます。薬の飲み忘れが発生してしまうのです。すると薬の効果がなくなり、体内のウイルスが増えていきます。これはもう悪循環となります。

ARTの登場でもうHIV脳症は心配する必要はないと思われていたのが、実は長期のARTにおいて発症する例があると分かったのです。ARTで完全にHIV脳症を封じ込めることは出来ないと分かったのです。しかし、その実態はまだ正確には把握されていません。

そこでこのようなHIV感染による脳機能障害の実態調査を行うべく、複数の医療機関が提携して1年がかりで調査を行うことが決まり、現在も調査中だそうです。

「これでやっと実態が分かる」

とは前述の岡センター長のお話です。今後は抗HIV医療において、脳に効果が届きやすい薬の開発などが行われるそうです。

HIV感染症はかつては致死的疾患であり、HIV感染イコール数年先のエイズ発症、そして死を意味していました。しかし、ARTの登場によって劇的に死亡者は減り寿命が延びました。

しかし、長期のARTの中で薬の副作用はじめ様々な問題が指摘されるようになりました。今回のHIV関連神経認知障害(HAND)もその1つです。

ARTが始まっておよそ18年、これから更に長期間にわたる治療を受ける人が多くなります。20年、30年と長期にART治療を受けた患者にどんな副作用、合併症が現れるのか、それをどうやって解決していくのか、更なる研究が待たれるところです。

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