カポジ肉腫は、エイズが初めて登場した頃、象徴的なエイズ疾患の1つでした。
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最初のエイズ患者がアメリカで報告された1980年代の初め、テレビや雑誌に登場するエイズ患者の末期の症状は、必ずといっていいほどカポジ肉腫とニューモシスチス肺炎だったような気がします。
実際にはそうではなかったかも知れませんが、当時の私の記憶に強く残っています。
◇カポジ肉腫とはどんな病気?
カポジ肉腫は23種類あるエイズ指標疾患の1つであり、HIV感染者がカポジ肉腫を発症するとその段階でエイズ患者と認定されます。
カポジ肉腫はヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)によって発症する日和見感染症です。
従って、HHV-8に感染した人が全てカポジ肉腫になる訳ではなく、HIV感染症のように免疫力が著しく低下した場合に発症します。
肉腫というのは、腫瘍性の病変です。そして腫瘍(しゅよう)とは、細胞や組織が体の正常な制御に従わず、かってに増殖して出来た組織 の塊(かたまり)です。
体の表面に出来ることもあるし、体の内部に出来ることもあります。
カポジ肉腫がどんな症状かと言えば、顔面・体幹・四股・口腔粘膜など、全身の皮膚、粘膜に皮疹やしこり、こぶができます。
ここはまぁ、文章で説明するよりも写真をご覧頂いた方があなたもずっと理解しやすいだろうと思います。
こちらのサイトからご覧下さい。
◇HIV感染症とカポジ肉腫の関係は?
先ほども説明しましたが、カポジ肉腫はHHV-8の日和見感染症です。
あなたがHHV-8に感染しても健康な状態で免疫力が高ければカポジ肉腫は発症しません。
HIV感染による免疫不全では、CD4が50以下になるとカポジ肉腫を発症するケースが多いそうです。(Visual Dermatology 2011Vol.10による)
CD4とはあなたの免疫力を図る指標の1つで、あなたが健康な状態なら700~1300くらいあります。
従ってCD4が50以下とはかなり免疫不全が進行した状態です。
HIVに感染して無症候期に入ったあと、免疫不全が進行してカポジ肉腫を発症してHIV感染に初めて気付くケースも多く見られるそうです。
もともと、HIVに感染した人の約90%に何らかの皮膚疾患が現れるそうですから、カポジ肉腫を初め、皮疹、発疹、斑点、しこりなど、皮膚に異常が出た時は要注意です。
なお、エイズ動向委員会によれば、エイズ指標疾患としてのカポジ肉腫の頻度は以下の通りです。
●2013年 16件
●2014年 20件
●2015年 15件
エイズ指標疾患の中では、それほど頻度の多い疾患ではないようです。
◇カポジ肉腫の治療は?
1990年代の半ばまでは、HIV感染によるカポジ肉腫は極めて治療が難しく、肺に病変が出た場合には直接の死因にもなっていました。
つまり、HIVによる免疫不全を回復させることができずに、カポジ肉腫も治療出来なかったのです。
それが、1997年頃からARTと呼ばれる抗HIV療法が開始されるとHIVによる免疫不全を回復出来るようになりました。
いったん低下したCD4値を再び上昇できるようになったのです。
従って、カポジ肉腫もARTによる治療で治すことが出来るようになりました。
ただし、ARTでも回復の兆しが見られない場合には、liposomal doxorubicinを併用します。
liposomal doxorubicinとは、アントラサイクリン系の抗癌剤です。
◇あなたに注意して欲しいこと
カポジ肉腫がARTで治療出来るようになったとは言え、エイズ指標疾患であることに変わりありません。
あなたがHIV感染による免疫不全が原因でカポジ肉腫を発症すれば、それはすでにエイズを発症していることになります。
でも、あなたがもっと早期にHIV検査を受けて、HIVに感染していると分かればエイズ発症を防ぎ、カポジ肉腫も発症せずに済みます。
ここ数年、国内では毎年新規HIV感染者として約1,500人ほどが報告されています。
このうち約30%がHIV感染と分かった時点ですでにエイズを発症しています。
いわゆる、「いきなりエイズ」状態です。
エイズ発症前にHIV検査で感染が分かればエイズを防ぐことも可能だったのに、本当に残念なことです。
確かにARTによってエイズで亡くなる人は激減しました。
しかし、それでもなおエイズ発症前の治療開始とエイズ発症後の治療開始では生存率に差があるし、後遺症のリスクも違います。
あなたに自覚症状がなくても、HIV感染の不安や心当たりがあれば、一度はHIV検査を受けておいた方が安全です。
あなたが保健所まで行けば、無料・匿名でHIV検査を受けることができます。
もしも、保健所には行けない、行きたくない事情があなたにあれば、あなたの自宅でもHIV検査は可能です。
郵送式のHIV検査キットは私も使いました。
正しく使えば保健所や病院のHIV検査並みの信頼性があります。
早期のHIV検査はエイズ発症を防ぎ、救命的検査となります。
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