HIVとC型肝炎ウイルス(以下HCV)が重複感染すると、単独感染よりもより危険な症状が発生します。

今回は「抗HIV治療ガイドライン2016年7月改定版」より調べた情報をお届致します。

 

◇C型肝炎とは?

まず、C型肝炎の概要についてお話します。

現在、日本にはC型肝炎ウイルスに感染した人が約250万人もいると推定されています。(この数値には諸説あり)

そのうち、すでに症状が現れて慢性肝炎の治療を受けてる人が50万人いて、残りの200万人が軽い肝炎か健康なままキャリアとして生活しています。

C型肝炎は症状の進行が遅く、感染して20年から30年かけて慢性肝炎から肝硬変、肝がんへと進行していきます。

C型肝炎の症状としては、以下のような症状が代表的です。

●全身の倦怠感

●食欲不振

●嘔吐・吐気

●頭痛

●発熱

●黄疸

●肝臓の腫大

こんな感じです。

ただ、冒頭にも書いたようにHCVに感染しても症状が出ないままキャリアになる人もいます。

その一方で、劇症肝炎の約50%はC型肝炎が原因と言われています。劇症肝炎になる人はまれですが、発症すると致死率の高い病気です。

 

◇HCVの感染ルート

また、HCVの感染ルートですが、C型肝炎はかつてHCVに汚染された血液での輸血や血液製剤の使用などによって多くの感染者を生みました。

現在では医療環境が改善されてそうした感染ルートはありません。

現在考えられる感染ルートとしては、不衛生な環境下での刺青、ピアスの穴開け、それから性行為、母子感染などがあります。

性行為による感染確率はそれほど高くありませんが、それでも一応多くの性感染症の本にはB型と共にC型肝炎が載っています。

 

◇こんなに多いHIVとHCVの重複感染

さて、当サイトで過去に述べてきたように、HIVと最も重複感染が多い性感染症は梅毒であり、またB型肝炎も多くの重複感染が報告されています。

そして今回お話するC型肝炎もまた、梅毒やB型肝炎ほどではないにしろHIVとの重複感染が報告されています。

2006年に厚生労働省の研究班が行った全国調査によると、

●4,877人のHIV感染者において、

●930人がHCV抗体陽性(19.2%)であり、

●そのうち780人がHCV RNA陽性(83.9%)

だったそうです。

HCV抗体が陽性とは、過去、または現在のHCV感染を意味しています。つまり、いったんHCVに感染すると完治してもHCV抗体は陽性のまま残ります。

そこで、HCV抗体陽性が過去の感染か、現在も感染しているためか、それを確認するのがHCV RNA検査です。

こちらはHCV抗体とは異なり血液中にHCVのRNAが存在するかどうかを調べる検査です。HCV RNAが陽性になると現在HCVに感染していると分かります。

そこで先ほどの調査結果ですが、4,877人のHIV感染者のうち、約20%がHCVにも感染したことがあり、そのうちの15%は治癒し、残り85%はHVCの持続感染になっていると考えられます。

 

◇HIVとHCVが重複感染するとどうなる?

では、HIVとHCVが重複感染するとどうなるのでしょうか?

「抗HIV治療ガイドライン2016年7月改定版」に書かれている症状をここに紹介したいと思います。

●HCVの自然治癒率が低くなる

HCVに単独感染した場合、20%~40%は自然治癒しますが、HIVとの重複感染では4%~26%とかなり低くなります。

同ガイドラインによると、自然治癒の確率が低くなるのはHIV感染による細胞性免疫不全が原因だそうです。

つまり、いったん感染したHCVを排除するには免疫細胞の働きが必要なのですが、HIVとの重複感染ではこの機能が十分に発揮されないのです。

 

●C型肝炎の病状が早く進行する

先ほども書いたように、HIVと重複感染したHCVは自然治癒する可能性が低くなり、持続感染となります。

慢性肝炎になるとやがて肝硬変を発症し、次には肝がんとなり、死に至ることもあります。

この肝硬変から肝がんへ移行する速度が重複感染では早くなります。

どのくらい早くなるかと言うと、慢性C型肝炎の患者がHIVも重複感染すると肝臓の線維化の進行が1.5倍も早くなるそうです。

肝臓の線維化とは、肝炎によって肝細胞が破壊と再生を繰り返す中で、完全に再生出来ずに炎症の跡が固く残ることです。

線維化が早く進めば当然肝硬変、肝がんへの恐れも早くなります。

同ガイドラインでも次のように書かれています。

『C型肝炎で最も大きい問題は肝がんの合併であり、HIVとの重複感染では単独感染に比べて感染から発がんまでの時間が短く、より若年齢で発症することが確認されている。』

このようにHCV感染はHIVとの重複感染によって、より進行が早まります。その結果、HIV感染者が肝疾患で死亡する率も高くなっています。

かつてHIV感染症が致死的疾患であった頃、HIV感染者の主な死因はエイズ関連疾患でした。

しかし、1997年頃から始まったARTによって免疫力の回復が可能になると、エイズ関連疾患での死亡は劇的に減りました。

その反面、肝疾患で亡くなる率が高くなったのです。

同ガイドラインによると、HIV感染者における

●1997年以前の肝疾患の死亡率 14%

●1997年以降の肝疾患の死亡率 29%

に増えているそうです。

このあたりの解説は同ガイドラインに詳しく載っているのでご覧ください。

「抗HIV治療ガイドライン2016年7月改定版」

 

◇HCV感染がHIV感染に与える影響は?

同ガイドラインによれば、

『HCV感染症のHIV感染症に対する影響については、はっきりした結論は出ていない。』

ということです。

更に、

『少なくとも大きな影響はなさそうである。』

とも書いてあります。

HIV感染はHCV感染に大きな影響を与えるが、その逆はなさそうだということですね。

 

以上、今回はHIVとHCVの重複感染が起きた場合、それぞれにどんな影響が出るのか、私が調べた結果を記事にしました。

HIVもHCVも感染しても症状の出にくい病気です。

もしもあなたにHIVやHCVの感染不安があれば、自覚症状がなくても早期の検査をお勧め致します。

HIVは全国の保健所で無料・匿名で検査を受けることが出来ます。HCVについても保健所で無料、あるいは一部負担で検査を受けることが出来ます。

ただし、HCV検査はHIV検査と違って各自治体ごとにやり方が異なるため、あなたの最寄りの保健所にお問合せ下さい。

あるいはあなたの自宅でいつでも使える郵送式の検査キットもあります。

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