『後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の運用について』

この長いタイトルの文書が1月19日付で厚生労働省健康局から全国の自治体へ通達されました。

この中からいくつか主な項目を拾ってご紹介したいと思います。国がどんなふうにHIV感染、エイズの発症を防ごうとしているのか見えてきます。

公式サイトはこちらです⇒『後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の運用について』


この通達は全10ページあって、今の日本のHIV感染の動向を踏まえて、いかに感染を抑え、エイズ患者を出さないようにすべきか、その基本方針を打ち出しています。

私が読んで感じた、この通達の肝となる項目は次の3つです。

1.エイズ予防の啓蒙活動には、青少年とMSM(男性間で性行為を行う者)への個別施策が重要。

2.保健所等でのHIV検査件数を増やし、早期治療の機会を増やすと共に二次感染を減らす。

3.HIV感染の予防、治療には国・地方自治体・教育現場・企業・NGOの連携が必要である。

以上の3点です。

では、詳しく見ていきましょう。

・・◇「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の運用」とは?


この長いタイトルの通達は日本国内におけるHIV感染・エイズを予防することを目的とし、その為の教育、検査、医療、研究などを総合的に進めるための指針です。

予防指針は5年に一度見直しが行われており、前回は平成18年3月31日付で通達されています。今回の通達の概要を説明すると次のようになります。(題目のみ記載)

●第1 予防指針の目的と性格
1.目的

2.性格

●第2 改正後の予防指針の概要
1.前文に関する事項

2.原因の究明に関する事項

3.発生の予防及びまん延の防止に関する事項

4.普及啓発及び教育に関する事項

5.検査・相談体制の充実

6.医療の提供に関する事項

7.研究開発の推進

8.人権の尊重に関する事項

9.施策の評価及び関係機関との連携に関する事項

この内容を細かく説明していると大変な長文になるので、興味のある方はぜび公式サイトでご覧ください。

公式サイトはこちらです⇒『後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の運用について』

・・◇青少年の個別施策が必要なわけ


予防指針の至るところで、「青少年への個別施策が重要」と出てきます。

それは、次のようなデータが存在するからです。

●新規HIV感染者の年齢別分布(2010年実績)

新規HIV感染者の年齢別分布
図1.2010年新規HIV感染者の年齢別分布(エイズ動向委員会データからグラフ化)

●新規エイズ患者の年齢別分布(2010年実績)

新規エイズ患者の年齢別分布
図2.2010年新規エイズ患者の年齢別分布(エイズ動向委員会データからグラフ化)

図1、図2のグラフからお分かりのように、HIV感染者もエイズ患者も20代、30代が多い。

この年齢層の感染者を未然に防ぐためには、性に関する意思決定や行動選択の能力が形成過程にある青少年の教育、啓蒙が重要だという訳です。

これは逆言えば大人になってから改めようとしても難しい、ということなのでしょうか。

まぁ、現状ではHIVは一度感染すると完治できませんから、とにかく予防するしかない訳で、予防の重要性、予防の具体的手法を早い時期に知識、情報として知っておくことが大事です。

大人になってHIVに感染してから後悔しても手遅れです。

単に、「HIV感染予防への教育・啓蒙活動」と掲げても、対象が青少年と中高年ではアプローチの仕方も変わってくるでしょう。いや、変えないと大きな効果、成果は期待できないと思います。

・・◇MSMへの個別施策が必要なわけ


青少年同様に、MSMへの個別施策が必要な理由も、次のデータがあるからです。

●新規HIV感染者の感染ルート(2010年実績)

新規HIV感染者の感染ルート
図3.2010年新規HIV感染者の感染ルート(エイズ動向委員会データからグラフ化)

●新規エイズ患者の感染ルート(2010年実績)

新規エイズ患者の感染ルート
図4.2010年新規エイズ患者の感染ルート(エイズ動向委員会データからグラフ化)

新規HIV感染者もエイズ患者も、同性間の性的接触が圧倒的に多い感染ルートであり、ほぼ100%が男性同士の性的接触、すなわちMSMの感染です。

この最大感染ルートに対しては、個別施策が必要であり、今まで以上に予防効果を出していく必要があるとしています。

・あ

このような青少年、MSMに対する個別施策の他にも、次のようなグループに対しても個別施策を検討する必要があると指摘しています。

●外国人(言語的障害や文化的障害があるため)

●性風俗産業の従事者と利用者

●薬物乱用者(血液感染の防止)

この3つのグループです。

意外と知られていないかも知れませんが、毎年厚生労働省が発表している日本国内の新規HIV感染者、エイズ患者には外国人が含まれています。

どのくらいの比率かと言えば、次のようになっています。(エイズ動向委員会データから)

◇新規HIV感染者における外国人比率

分類 2010年(全体における比率) 過去10年累計(全体における比率)
外国人男性 59人 (5.5%) 626人(7.2%)
外国人女性 19人(1.8%) 326人(3.7%)

◇新規エイズ患者における外国人比率

分類 2010年(全体における比率) 過去10年累計(全体における比率)
外国人男性 29人(6.2%) 388人(10.0%)
外国人女性 4人(0.9%) 181人(4.7%)

・・◇保健所におけるHIV検査件数の減少


保健所における検査件数を増やすことの重要性は、予防指針の中で何度も出てきます。それは、次のようなデータがあるからです。

保健所におけるHIV検査の推移
図5.保健所におけるHIV検査の推移(エイズ動向委員会データからグラフ化)

HIV検査は、早期発見、早期治療によって感染者の命を救うことにつながるのはむろん、二次感染防止にもつながります。社会全体の予防効果にもなるのです。

予防指針の中では、保健所におけるHIV検査の利便性をもっと高める必要性を指摘しています。

ちなみに、私が住んでいる町は九州の地方都市ですが、人口13万人に対して検査所は1ヶ所で、平日のみ検査実施、かつ完全予約制です。しかも月に数回しかやっていません。

また、HIV感染の早期発見という意味合いで指摘されているのが、HIV以外の性感染症への警戒です。

クラミジア、性器ヘルペスなどに感染しているとHIVにも感染しやすくなること、またHIV感染者の多くが梅毒やB型肝炎に重複感染している事実から、こうした性感染症に感染している人はHIV感染についても検査を受けることを推奨しています。

関連記事⇒『まとめて性感染症検査体験記』

以上、『後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の運用について』 平成24年版からご紹介しました。

最終的には、あなた自身が自分の身は自分で守るという気持ちが一番大事だと言うことではないでしょうか。私は自分のHIV感染疑惑で悩んだ経験からそう思います。

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