世界保健機関(WHO)は6月末、HIV感染者の治療(ART)を、より早期に開始するよう求める勧告を発表したそうです。

あなたもご存知の通り、HIVに感染したからといってすぐにエイズを発症するわけではありません。数年かけて免疫力が低下していき、やがて日和見感染症を発症するようになります。これがエイズです。

かつてHIV感染症は致死的疾患でしたが、1997年頃から始まったARTと呼ばれる抗HIV治療によって予後は劇的に改善されました。HIVに感染してもエイズの発症を防ぐことが出来るようになったのです。⇒『エイズの治療とは?』

では、いったいどの時点でARTを開始するのが最も効果的なのか、そこが問題でした。

◇ART開始時期をいつにするか?

ARTは体内のHIVが増殖するのを防ぐ治療法です。HIVに感染してそのまま放置しておけばHIVはどんどん増殖し、体内のTリンパ球という免疫細胞を破壊し、免疫力を低下させていきます。

そこでARTを開始するとHIVの増殖を抑えることが出来ます。やがて体内のHIVは減少し、免疫力が回復していきます。すでにエイズを発症しているような患者の場合には即ART開始となります。(症状によって例外もあり)

しかし、HIVには感染しているものの無症候感染者であれば、いつの時点でARTを開始するか、それが問題です。と言うのも、ARTはいいことばかりではないのです。

●いったんARTを開始して薬を飲み始めると生涯治療となり、薬を止めることは出来ない。(止めれば再びHIVが増殖を始める。)毎日決められた時間に決められた量を飲む必要がある。これは患者には大きな負担となる。

●患者によっては副作用が出ることもある。

●早期に治療を開始すると医療費の支援を受けるのに不利な場合もある。

以上のような問題がありました。ですから単に早期にARTをJ開始する方がいいとは言えないのです。

◇目安はCD4が350から500へ

従来はART開始時期の目安としてCD4の値が350を下回ったら開始するとされていました。CD4とはあなたの免疫力を測る指標です。

あなたが普通に健康ならCD4の値は700から1300くらいあります。それがHIVに感染するとどんどん低下していき、やがて350を切ってエイズを発症します。CD4の値350がひとつの目安だったのです。⇒『CD4値からみた日和見感染症』

ところが冒頭にもご紹介しましたが、世界保健機関(WHO)は6月末、HIV感染者の治療をより早期に開始するよう求める勧告を発表しました。それがCD4の値500を目安にARTを開始する方法です。

従来よりも早期のART開始となりますが、その後の生存率が高いこと、二次感染防止に効果があること、などがその理由です。

実は日本の厚生労働省の「抗HIV治療ガイドライン」にART開始時期についての詳しい解説があります。詳細はそちらをお読み頂くとして、ざくっとした話をすれば以下となります。

●CD4が350以下
ARTを開始する。

●CD4が351~500
積極的なART開始が勧められる。

●CD4が500より多い
ARTの開始について結論は出ていないが、二次感染防止のためARTを開始してもよい。

以上のような見解となっています。WHO同様にCD4が500を切ったらART開始がよいとする見解です。

◇早期のHIV検査が救命的検査である理由

先にご紹介した「抗HIV治療ガイドライン」をお読み頂ければ分かりますが、CD4が350を切った時点でARTを開始するのと、まだ500くらいあるときにARTを開始するのでは、その後の生存確率に差が出ることが分かっています。

更にCD4が350を切ってからのARTでは免疫力が正常値まで戻らないこともあるそうです。

このようにCD4の値を見ながらARTの開始時期を決めることは非常に重要なのです。しかし、HIV感染症は自覚症状がありません。HIVに感染してそのまま放置しておけばやがて「いきなりエイズ発症」という結果が待っています。

これを防ぐにはエイズ発症前、出来るだけ早期にHIV検査を受けることです。あなたにHIV感染の不安があれば、何も自覚症状がなくても早期に検査を受けてください。

早期のHIV検査によってCD4が高い段階でHIV感染が分かれば、非常に効果的な治療が可能になります。エイズの発症を防ぎ、非感染者と同じくらの寿命を可能にすることも出来るそうです。

それゆえ早期のHIV検査は救命的検査と呼ばれるのです。

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