今やHIV感染症は致死的疾患ではなく、慢性疾患に近いとまで言われています。それを可能にしたのはARTと呼ばれる抗HIV医療です。

3種類の抗HIV薬を同時に服用することによってHIVの体内量をコントロールできるようになったのです。つまり、HIVに感染してもエイズ発症を抑えることが可能になりました。

しかし、どんな薬でもそうですが、抗HIV薬にも副作用があります。抗HIV薬は現在のところ、いったん服用を開始すれば生涯治療となります。長期間の服用で副作用が問題になることもあります。

今回は抗HIV薬の副作用について情報を調べてみました。

◇抗HIV薬はハイリスク薬

今回の情報源はこちらの本です。

『基礎からわかるハイリスク本』 浜田康次監修・著 ナツメ社 ¥2,300+税

この本には抗HIV薬以外にも様々なハイリスク薬の副作用が書かれてあり、その処方に関する注意点が書かれています。

何をもって「ハイリスク」と定義づけするのか?本の中にはこう書かれています。

『処方や使用を誤ると患者に重大な健康被害をもたらすリスクの高い薬剤』

だそうです。

元々薬と毒は紙一重、どんな薬でも処方を間違えば健康被害が出る可能性があるでしょう。その中からあえて選んだ薬はどんな基準で選ばれているのか?「重大な健康被害」とはどこで線引きをするのか?ここはちょっと素人の私にはよく分かりませんでした。

とにかく、抗HIV薬がハイリスク薬に分類されるのは納得できます。使い方を間違えば体内でHIVが増殖しエイズ発症の恐れがあります。しかし、それ以外にも薬の副作用の問題があります。エイズを発症しなくても、副作用によって健康を害する患者が多くいるのです。

◇抗HIV薬の副作用

では、具体的には抗HIV薬にはどんな副作用があるのか、説明していきましょう。まず、抗HIV薬の種類をご紹介します。

①NRTI(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)

②NNRTI(非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)

③PI(プロテアーゼ阻害薬)

④INSTI(インテグラーゼ阻害薬)

⑤CCR5阻害薬(侵入阻止薬)

これらの薬の効能については『エイズ治療薬とは?』をご覧下さい。要するにHIVが感染者の体内で増殖するのを阻害する働きを持つ薬です。

具体的な副作用としては以下の通りです。

●脂質代謝異常・動脈硬化性疾患
NNRTI、PIを使った抗HIV治療(ART)を行っている患者に、高コレステロール血症、高中性脂肪血症の頻度が増加することが分かっています。結果、動脈硬化性疾患の原因となります。

特にPIは脂質代謝異常を起こしやすいとされています。ただし、PIの一種であるATV(薬品名)は脂質代謝の副作用が少ないとされているそうです。


●肝機能障害
全ての抗HIV薬で肝機能障害を起こす可能性が分かっています。特にNRTIでは脂肪肝、肝腫大が起こりやすく注意が必要とされています。

当サイトでは過去に、『HIV感染者の死亡原因は?』と言う記事を載せています。ここでHIV感染者の肝疾患による死因を説明しています。よかったら関連記事としてお読み下さい。


●腎障害
PIの一種であるIDVは腎結石が発生しやすいことが分かっています。またその他の抗HIV薬でも慢性腎疾患のリスクが高いと言われています。


●リポアトロフィー
あまり聞いたことのない症状名だと思います。これは体脂肪の分布異常を言います。もっと分かりやすく言うと、顔面や手足の脂肪が減っていき、腹部の内臓脂肪が増える症状です。

顔つきがげっそりして見た目で分かると本人には大きな苦痛、負担となります。


●乳酸アシドーシス
NRTIの服用に共通でみられる副作用です。嘔気、嘔吐、腹痛などの症状が出ますが、致死的な代謝障害です。発症率は1000人に1.3人とされています。


●薬疹
下記のような抗HIV薬に薬疹が多くみられます。

・NRTI⇒ABC(薬品名)

・NNRTI⇒NVP、EFV、ERT

・PI⇒NFV、FPV、ATV、DVR

特にABCの過敏反応では重篤で致死的となるリスクもあるそうです。


●骨壊死・骨減少症
骨が壊死していく疾患ですが、発症場所としては大腿骨頭(だいたいこっとう=太腿の骨で、太腿の付け根部分のボール状になった骨)に多くみられます。また一般にHIV感染者は非感染者に比べて骨密度が低い傾向にあるそうです。


●免疫再構築症候群(IRIS)

免疫不全が進行した状態で抗HIV治療(ART)を行い、免疫力が復活し、文字通り再構築しようとしたときに現れる様々な症状を言います。これは過去に当サイトで記事にしています。⇒『免疫再構築症候群』

以上が私の調べた抗HIV薬による主な副作用です。

◇あなたにお伝えしたいこと

抗HIV薬の副作用など、専門的な知識がないとチンプンカンプンです。自分で記事を書いていてさっぱり分かりません。きっとあまたにも十分伝わっていないと思います。

しかし、それでいいと思っています。抗HIV薬の副作用、その難しい詳細を知る必要はありません。ただ、私があなたにお伝えしたかったのは、今回書いたように抗HIV治療(ART)においては副作用の問題が存在するということです。中には致死的な重篤な症状が出るものもあります。

確かにARTの登場によってHIV感染症は致死的疾患ではなくなりました。しかし、依然として一度感染すると体内から完全にHIVを除去することは出来ません。生涯治療となって抗HIV薬を飲み続けなければなりません。決してHIV感染症が軽い病気になった訳ではありません。

むろん、薬で重い副作用が出るのは抗HIV治療だけではありません。例えばがん患者に行う抗がん剤治療もなどもかなりひどい副作用が出ます。吐き気、脱毛、高熱、痛み、そうした症状が出ます。抗HIV薬だけがハイリスクという訳ではありません。

ただ、がんと違ってHIV感染はあなたがその気になればほぼ100%感染防止をすることが可能です。日本人の2人に1人はがんになる時代ですが、HIVは違います。

HIV感染症が致死的疾患ではなくなったとは言え、抗HIV薬には副作用があることを知って頂き、決して薬を飲めば大丈夫、などと軽く考えないで下さい。

くれぐれもHIV感染予防に注意して頂き、抗HIV薬を使わずに済むよう、お気を付け下さい。

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