「いきなりエイズ」が一番多い年代とは・・・?ご存知ですか?
HIVに感染した人が、自分のHIV感染に気が付かず、免疫不全に陥ってエイズを発症して初めて感染に気が付くことを、「いきなりエイズ」と呼びます。
厚生労働省エイズ動向委員会の「平成23年エイズ動向年報」によると、平成23年に新規にHIVに感染したと報告された人の30%以上が「いきなりエイズ」を発症していました。
現在の医療では早期にHIV感染が分かれば薬によってエイズ発症を防ぐことが出来ます。従って感染者の30%以上もの人が早期発見が出来なかったことは非常に残念なことだと思います。
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・・◇「いきなりエイズ」が多い世代とは?
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日本国内全体の平均でみると「いきなりエイズ」報告率は平成23年実績で30.9%でした。しかし、これをもう少し世代別に詳しくみて見ると、意外な事実が分かります。
まず、言葉の定義を明確にしておきます。
●いきなりエイズ報告率=新規エイズ患者/(新規HIV感染者+新規エイズ患者)
「いきなりエイズ報告率」とは、HIVに感染したと報告された人の中で、すでにエイズを発症していた人の割合を言います。なお、これは私がかってに名づけたもので広く周知された呼び方ではありません。
この新規HIV感染者と新規エイズ患者とは重複してカウントしません。例えば、昨年新規HIV感染者として報告された人が、今年にエイズを発症しても、新規エイズ患者として報告されません。その場合は病変報告となります。
すなわち、新規エイズ患者とは、HIV感染者としての報告を飛び越えて、「いきなりエイズ」を発症した人を指します。
では、この計算式で、平成23年における各世代の報告率をみて見ましょう。
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◇各年代における「いきなりエイズ」報告率
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年代 | 新規HIV感染者 | 新規エイズ患者 | いきなりエイズ報告率 |
10歳未満 | 1 | 0 | 0.0% |
10歳~19歳 | 16 | 1 | 0.1% |
20歳~29歳 | 329 | 48 | 3.1% |
30歳~39歳 | 368 | 153 | 10.0% |
40歳~49歳 | 201 | 149 | 9.7% |
50歳~59歳 | 87 | 72 | 4.7% |
60歳以上 | 54 | 50 | 3.3% |
合計 | 1,056 | 473 | 30.9% |
表1.年代別「いきなりエイズ」報告率(エイズ動向委員会データより算出)
表1をご覧頂いてお分かりのように、30代、40代に「いきなりエイズ」が多くなっています。
さて、表1は全ての年代のHIV感染者を合計した値を分母にして、各年代の「いきなりエイズ」を計算しました。今度は各年代の感染者合計を分母にして、それぞれの年代だけ計算したときに、どのくらいの「いきなりエイズ」発症率になるのか見てみましょう。
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◇平成23年 年代別「いきなりエイズ」報告率
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年代 | いきなりエイズ報告率(年代別) | いきなりエイズ報告率(全体) |
10歳未満 | 0.0% | 0.0% |
10歳~19歳 | 5.9% | 0.1% |
20歳~29歳 | 12.7% | 3.1% |
30歳~39歳 | 29.4% | 10.0% |
40歳~49歳 | 42.5% | 9.7% |
50歳~59歳 | 45.3% | 4.7% |
60歳以上 | 48.1% | 3.3% |
合計 | - | 30.9% |
表2.年代別「いきなりエイズ」報告率
誤解のないように表2をもう一度説明しておきます。各年代ごとに2つの発症率が記入されています。それぞれ次のような計算式で計算しています。
●「いきなりエイズ」報告率(年代別)=その年代の新規エイズ患者/その年代のHIV感染者
●「いきなりエイズ」報告率(全体)=その年代の新規エイズ患者/全ての世代のHIV感染者
つまり、年代別の報告率とは、その年代のHIV感染者の中で、どのくらいの割合の人が自分のHIV感染に気が付かなかったか、という指標になります。
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それで改めて表2を見てみると、年齢が高くなるほど自分のHIV感染に気が付かない人の割合が増えています。
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確かにエイズは潜伏期間が長いので、高い年齢層に発症者が多いのはある意味当然です。しかし、「いきなりエイズ」は検査で感染が見つかれば防ぐことが出来ます。
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従って表2は高齢者になるほどHIV検査を受ける人の割合が少ないことを意味しています。60歳以上のHIV感染者はほぼ2人に1人の割合で「いきなりエイズ」を発症しています。
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参考までに平成23年における新規エイズ患者の年代別分布をグラフにしておきます。
◇平成23年 新規エイズ患者 年齢別分布
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図1.平成23年 新規エイズ患者 年齢別分布(エイズ動向委員会データによる)
50歳以上の新規エイズ患者は全体の約26%を占めています。50代が15.2%、60代が10.6%です。HIV感染、エイズに年齢は関係ありません。どの年代であっても感染します。
そうしてみると、やはり高齢者ほど検査を受けていないのだと言えるのではないでしょうか。これは私の個人的な推測ですが、HIV検査を受けない理由を考えてみました。
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●HIVやエイズに関する知識、情報が少なく、危機意識が低い。自分だけは感染しないと思っている。
●年齢的に世間体が気になって保健所や病院に行きづらい。
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こうした理由があるのではないでしょうか。私には50代の友人が何人かいますが、やはり彼らの中には世間体が気になって保健所に行けない人がいました。その気持ちはとてもよく分かります。
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・・◇「いきなりエイズ」の予防には早期のHIV検査
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先ほども文中に書きましたがHIVに感染してもエイズ発症前に検査で感染が見つかれば、エイズ発症を防ぐことが可能です。
もしもあなたにHIV感染の不安や心当たりがあるなら、自覚症状がなくても早期の検査をお勧め致します。早期のHIV検査は救命的検査となります。
あなたの最寄の保健所に行けば無料・匿名で検査を受けることが出来ます。でも、どうしても保健所や病院には行きたくないと思うあなたには、自宅で簡単にHIV検査ができる検査キットもあります。世間体が気になるあなたにはお勧めです。私も使いました。これで「いきなりエイズ」を防いでください。
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