もしもあなたがHIVに感染して、気づかずに3年が経過したとき、
あなたがエイズを発症する確率はどのくらいでしょうか?
HIVに感染した後、エイズを発症するまでの潜伏期間はだんだんと短くなっていると言われています。
かつてはHIVに感染して5年から10年だった潜伏期間は、近年では3年以内に発症する例が多いと
報告されています。⇒『エイズの潜伏期間が1年?』
同時にまた、個人差もあります。短期間にエイズを発症する人がいれば、一方で何年も発症しない
人もいます。
では、仮にあなたがHIVに感染して、そのことに気が付かずに3年が経過してしまった場合、あなたの
エイズ発症確率はどのくらいでしょうか?
◇CD4数とウイルス量の2つの指標
HIV感染後の経過を観察するのに2つの指標が使われます。それが、CD4陽性Tリンパ球数と、
ウイルス量(HIV RNA量)です。
●CD4陽性Tリンパ球数
CD4陽性Tリンパ球とは、あなたの体の免疫機能の中枢細胞です。免疫力を発揮するための
肝心要の細胞です。
あなたが健康な状態なら、血液1μL当たり700から1,300くらいあります。
しかし、HIVがあなたの体内に侵入すると、恐ろしいことにこの大事な細胞に取り付き、破壊して
いきます。
CD4陽性Tリンパ球数が減少するとあなたの免疫力も低下していき、ついには日和見感染症に
かかり、エイズ発症となります。
すなわち、CD4陽性Tリンパ球数は、あなたの免疫力を測る指標になります。
●ウイルス量
あなたの体内にどのくらいの量HIVが増えているか、あるいは減っているかを測る指標です。
HIVの遺伝子であるRNAの量を測定します。
HIV RNA量が多ければ多いほど、あなたの体内でHIVの増殖が進行していることを示しており、
この指標を観察し続けることで感染スピードもわかります。
ウイルス量の単位はコピー/mLで表します。1コピーはRNAが1つという意味です。
厚生労働省の「抗HIV治療ガイドライン」によると、HIVに感染して1週間から2週間くらいすると、
血中のHIV RNA量は100万コピー/mLを超えるのだそうです。
そして、抗HIV治療の目標としては、少なくとも200コピー以下まで下げないと治療が成功した
とは言えないのだそうです。
◇HIV感染から3年後のエイズ発症確率は?
では、もしもHIVに感染して、何も治療を受けずに3年が経過したとき、エイズを発症する可能性が
どのくらいあるか、先ほどの2つの指標でHIV感染者を分類してまとめたものが次の表1です。
データは前述の「抗HIV治療ガイドライン」からです。
表1.HIV感染から3年後のエイズ発症確率(未治療の場合)
ウイルス量 | CD4陽性Tリンパ球数(/μL) | ||||
コピー/mL | >750 | 750-501 | 500-351 | 350-201 | <200 |
<1,500 | データ なし |
3.7% | データ なし |
データ なし |
データ なし |
1,500-7,000 | 2% | 2% | 2% | データ なし |
データ なし |
7,000-20,000 | 3.2% | 8.1% | 8.1% | 8.1% | データ なし |
20,000-55,000 | 9.5% | 16.1% | 16.1% | 40.1% | 40.1% |
>55,000 | 32.6% | 32.6% | 42.9% | 64.4% | 85.5% |
・
表1をご覧いただいてお分かりの通り、ウイルス量が55,000コピーを超えるか、CD4数が350を
下回るとエイズの発症リスクは30%を超えます。表中ピンクの部分です。
いっきにエイズ発症確率が高くなってしまいます。
冒頭にも書きましたが、HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間はどんどん短くなっています。
あなたがHIVに感染して、それに気づかずにいると血中のウイルス量は増加し、CD4数は減少し、
そしてエイズを発症します。
では、表1で危険領域とされるCD4数が350を下回るHIV感染者はどのくらいの割合で存在する
のでしょうか。もうひとつデータをご紹介します。
2010年7月15日に、
「日経メディカル オンラインサービス ”短くなったエイズ発症までの猶予期間”」(無料登録必要)
の中で紹介されているデータです。
次のグラフ1をご覧ください。
グラフ1.HIV感染3年後のCD4数
このデータは、国際医療研究センター戸山病院における1988年と2007年のHIV感染者の
比較データです。
(「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」岡 慎一 編集 医薬ジャーナル社)
1988年にはHIV感染から3年後にCD4数が350以下の感染者は52.4%だったのが、
2007年には86.5%に増えています。
これらのデータから、いかに早期のHIV検査が重要か、お分かりいただけると思います。
まさに早期HIV検査は救命的検査と言えます。
・
◇治療開始時期が遅くなると、生存率も下がる
最後にもうひとつ、「抗HIV治療ガイドライン」に載っていたデータをご紹介したいと思います。
●CD4数が200/μL未満の患者は、200/μL以上の患者に比べて死亡率が高い。
●CD4数が350/μL未満の患者と、350/μL以上の患者では、死亡率に有意差は認められない。
これは、3,729名のHIV感染者のデータによるものだそうです。
ここでもやはり、CD4数350/μLという値がひとつの目安になっています。CD4数が350を
切る前に治療を開始することが命を救うことになります。
何度も書きますが、早期のHIV検査は救命的検査となります。
もしもあなたにHIV感染の不安があるなら、一刻も早く保健所でHIV検査を受けてください。
手間もかかるし、多少の時間も費やします。しかし、万一あなたがHIVに感染していたときのことを
思えば、その手間や時間がどれほどのものでしょう。
あなたにとって、あなたの命より大事なものはないはずです。
あなたがどうしても保健所には行きたくない、行けない事情があるのなら、あなたの自宅で
HIV検査キットを使う方法もあります。
■自覚症状なし!あなたの不安を解消するのはHIV検査だけです。
■STDチェッカータイプJ(男女共用)
あなたの自宅でいつでもHIV検査が可能です。早期のHIV検査は救命的検査です。
■HIV・梅毒・B型肝炎!重複感染でより重症化することがあります。
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HIV・梅毒・B型肝炎の3種類を同時検査。重複感染が多い感染症です。