あなたの体内に侵入したHIVは、実に巧妙に自分のコピーを作ります!
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HIVはどうやって体内で増殖していくのか?そのメカニズムは?
そして、なぜHIVに感染すると免疫力が低下していくのか?
全てはHIVの驚異的、かつ巧妙な増殖方法に秘密があったのです・・・。
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◇HIVはどうやって自分のコピーを作るのか?
ここでは、HIVが体内に侵入してから増殖する過程について説明します。
医学には素人の私が苦労して図を作ってみました。
正確さには欠けるかも知れませんが、イメージをつかんで頂ければと思います。
では、下の図1を見て下さい。番号が1番から7番までふってあります。
HIV増殖の過程をこの番号順にお話したいと思います。
図1.HIV増殖の過程
【1】HIVがCD4レセプターに取り付く
HIVがあなたの体内に侵入すると、CD4陽性Tリンパ球と言う免疫細胞に取り付きます。
このCD4陽性Tリンパ球は血液の白血球の中にあり、あなたの体をウイルスや細菌から守る免疫機能の中枢細胞です。
あなたの免疫力を支えている大事な細胞です。
ここがHIVの恐ろしいところで、本来ならHIVのような外敵をやっつける免疫細胞に取り付くのです。
CD4陽性Tリンパ球にはCD4レセプターという目印があります。
HIVはこのCD4レセプターによって他の細胞とCD4陽性Tリンパ球を見分けて、確実に襲いかかるのです。
CD4はHIVが取り付く目印であると同時に細胞内への入口のカギ穴でもあります。
HIVは自分のカギをこのカギ穴に入れて、CD4陽性T細胞リンパ球の細胞ドアを開けます。
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【2】HIVのRNAと逆転写酵素を放出
次にHIVはCD4陽性T細胞内に入ると、さっそく自分のコピーを作りはじまます。
実は、HIVに限らずウイルスは自分の力だけで増殖することが出来ません。自己増殖の機能を持っていないのです。
そのため、感染して入り込んだ宿主細胞を巧みに利用して自分のコピーを作っていきます。
まず、HIVはCD4陽性T細胞内に入り込むと、自分のRNAと逆転写酵素の2つを放出します。
通常、生物はDNAとRNAの2つの遺伝子を持っています。しかし、ウイルスはRNAかDNAか、どちらか一方しか持っていません。
HIVは自分の遺伝子としてRNAしか持っておらず、DNAを持ちません。それでRNAウイルスと呼ばれています。
そして、HIVが遺伝子をRNAしか持っていないのに自分のコピー作りを可能にしているのが、逆転写酵素なのです。
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【3】逆転写酵素によってDNAが作られる
CD4陽性T細胞内に放出されたHIVのRNAと逆転写酵素。
逆転写酵素はその名の通り、RNAを逆転写してDNAを作りだします。
このDNAは2本の鎖のようになっています。
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【4】CD4陽性T細胞の核内へ入る
次に、逆転写酵素によって作られたHIVのDNAは、取り付いたCD4陽性T細胞の核に入り込み、もともと存在していたT細胞のDNAの一部分として組み込まれてしまうのです。
つまり、HIVは自分のコピーを作るのに、取り付いた宿主細胞の遺伝子を利用するのです。
何とも不思議というか、恐ろしい増殖の仕組みです。
HIVは自分が持っていない遺伝子機能を、感染した宿主細胞を使って補うのです。
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【5】HIVの部品を作りはじめる
まんまとT細胞のDNAに入り込むことに成功したHIVのDNAは、T細胞が持っている増殖機能を使って、自分のコピーを作り始めます。
つまり、本来であればCD4陽性T細胞が自分の細胞を増やすための機能を利用し、HIVの部品を作らせるのです。
HIVの設計図を受け取ったT細胞内では、悲しいことに、せっせとHIVの部品を作り始めるのです・・・・。
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【6】HIVの部品を組み立てる
T細胞内で作られたHIVの部品は、同じT細胞内で組み立てられます。
こうして、新しいHIVが次々と宿主細胞であるCD4陽性T細胞内でコピーされていきます。
本来ならHIVを攻撃するはずのT細胞内で、HIVが作られていくのです。
何と恐ろしい仕組みでしょうか。
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【7】CD4陽性T細胞の破壊と増殖
新しくコピーされたHIVはT細胞の外へ飛び出します。
1つのCD4陽性T細胞から、約1000個のHIVが作られるそうです。
何ともすさまじい数です。
この新しくコピーされたHIVは次の宿主細胞に取り付き、【1】から【7】を繰り返します。
HIVが1日10億個から100億個と言う途方もない増え方をするのも、こうした増殖のシステムがあるからなのです。
そして、HIVの生産工場と化したCD4陽性T細胞ですが、HIVが飛び出た後は破壊されてしまいます。
このCD4陽性T細胞と言うのは、人の免疫機能の中枢細胞なのです。
この細胞が破壊されると他の免疫細胞も十分機能することが出来なくなります。
こうして、HIVは自分を大量コピーすると同時に、免疫細胞を破壊し続けます。
【8】エイズ発症
こうしてあなたがHIVに感染したら、あなたの体内ではHIVの増殖と免疫力の低下が同時に進行していきます。
そして数年間という時間をかけて、ついにあなたの免疫力はウイルスや細菌を攻撃することが出来ないくらい弱ります。
健康な状態なら問題にならないような日和見感染症を発症するようになります。
厚生労働省が指定した23種類の疾患があって、HIV感染者がこのうちのどれか1つでも発症すると、その段階でエイズ患者と認定されます。
それがエイズ指標疾患です。
従って、エイズ発症とはHIV感染による免疫力低下によって、エイズ指標疾患を発症した状態を指します。
エイズ、と言う単独の何かの病気がある訳ではありません。
エイズとは、その名の通り免疫不全症候群なのです。
◇まとめ
●HIVは自分だけでは増殖することが出来ず、感染した細胞を利用して増殖する。
●HIVは体内に侵入すると、CD4陽性Tリンパ球と言う、免疫機能の中枢細胞を宿主細胞として取り付き細胞内へ入り込む。
●HIVはRNAと逆転写酵素を放出し、宿主細胞の増殖機能を巧みに利用して自分のコピーを作る。
●HIVのコピーを作り終えた宿主細胞は最後は破壊されてしまう。このため、免疫機能が低下する。
●こうしてHIVの増殖と免疫力の低下は同時進行する。
●数年間の潜伏期間を経て、免疫力は更に低下して免疫不全状態となり、日和見感染症を発症するようになる。
●エイズ指標疾患を発症した段階でエイズ患者と認定される。
今回はHIVに感染した後、体内で何が起きているのか説明してみました。
かつてHIV感染症が致死的疾患だった頃、今回説明したHIVの増殖と免疫力の低下を防ぐことは不可能でした。
エイズ発症後、凡そ2年以内に死に至る恐ろしい病気でした。
しかし、今では薬でHIVの増殖をコントロールできるようになり、免疫力の低下も防ぐことが可能になりました。
エイズで亡くなる人は1997年以降、激減したのです。
今やHIV感染症は慢性疾患に近いとさえ言われています。
それでもなるべく免疫力が高い状態から抗HIV治療に入った方が生存率が高いし、予後がいいのです。
まさしく早期のHIV検査は救命的検査となります。
あなたもHIV感染の不安があれば決して放置せず、出来るだけ早くHIV検査を受けて下さい。
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