あなたの健康を支える免疫機能。HIVはその大事な免疫機能を破壊します。
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◇HIV感染が怖い理由とは?
あなたや私が毎日健康で暮らすことが出来るのは、私たちの免疫機能が正常に働いているからと言っても過言ではありません。免疫機能は健康体を維持するもっとも大事な働きの1つなのです。
そして、HIV感染が怖いのは、この大事な私たちの免疫機能を破壊してしまうからです。
免疫機能を失ったあなたや私はノーガードでリングに上がったボクサーみたいなものです。相手のパンチをモロに浴びてノックアウトされ、マットに沈むのは時間の問題です。
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◇あなたの周囲、あなたの体内は敵だらけ?
実は、私たちの周囲や体内にはそれこそ無数のウィルス、細菌が存在しています。特に細菌は、地球上に5×10の30乗も存在しているそうです。気が 遠くなる数です。
ですから、この地球上で最も数多く存在する生物は、実は細菌なのです。それゆえ、いや応なしに毎日大量の細菌があなたの体内に入ってきます。
あなたの身体の中に、ウィルスや細菌などが侵入して来ると、白血球にある免疫防御システムがいっせいに侵入者に対して攻撃をしかけ、破壊してしまい ます。
そのおかげで、私たちは見た目何もなかったかのように健康で暮らすことが可能なのです。
また、外から侵入してくるだけでなく、元々あなたの体内にも細菌やウイルスは棲みついています。
「人体常在菌のはなし」(集英社新書)によれば、私たち人間は、大腸を中心にした消化管内に60種類から100種類、100兆個の常在菌がいるそうです。
口の中には100億個、皮膚には1兆個もいるのだそうです。
しかし、それでもあなたはまったく異常なく健康に暮らすことができます。その理由の1つは、常在菌の全てが悪玉菌ではなく、善玉菌も沢山いること。
そしてあなたの免疫力が働いて悪玉菌が増殖するのを防いでいるのです。
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◇ヒトの免疫機能とは?
あなたの体内に存在する免疫機能を図にしてみました。図1をご覧下さい。
図1.ヒトの免疫システム
あなたも中学校の生物で習ったはずです。人間の血液成分には、赤血球、白血球、血小板の3つがあります。そして免疫機能は白血球の中にあるのです。
あなたの白血球の中で活躍する免疫部隊は、マクロファージ、顆粒球、リンパ球の3つの部隊です。この顆粒球とリンパ球は、それぞれがまた3つの部隊に分かれています。軍隊で言えば、中隊、小隊、みたいなもんでしょうか。私がかってにそうイメージしているだけで、学問上はどうか知りませんけど。
まず、顆粒球中隊ですが、これは好酸球、好中球、好塩基球の3小隊に分かれます。このうち、好中球小隊が、体内パト ロールと先制攻撃を担当しています。
次に、リンパ球中隊ですが、こちらも3つの小隊に分かれています。それがNK細胞、B細胞、T細胞と呼ばれる3小隊です。
更にこのうち、T細胞小隊は、役割が異なる3つのグループに分かれています。ヘルパーT細胞、キラーT細胞、サブレッサーT細胞の3つです。
ここまで読んでくれた人、もういい加減に嫌気がさしていませんか?何層にも続く防御システムが、こんなつたない文章では理解出来ませんよね。
申し訳あ りません。確かに奥が深いのです。血液から始まって、例えばヘルパーT細胞までたどり着くには、
血液>血球成分> 白血球>リンパ球>T細胞>ヘルパーT細胞
実に6層構造のシステムです。
分かりにくいと思いますので、上の図1を見て理解して頂けたらと思います。まぁ、私が作った図なので、あまり分かりやす くないかも知れませんが。
とにかく、人間の免疫防御システムは高度でかつ複雑であり、それぞれ役割の異なるいくつかの大隊・中隊・小隊・グループが存在していると思って下さ い。
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●マクロファージと顆粒球
では、それぞれがどんな役割を負っているのか、簡単に説明します。まず、あなたの体内に入ってくるウィルスや細菌などの侵入者を常時体内パトロールで警戒しているのが、マクロファージと顆粒球です。
顆粒球はその90%が好中球と呼ばれるものなのですが、これが強力なパトロール部隊であり、同時に攻撃部隊でもあります。
侵入者を見つけた好中球は即座に攻撃に入ります。侵入者を取り込んで殺してしまうのです。
しかし、相手が手強いとマクロファージの応援を依頼します。マクロファージは助っ人に行くと同時に、相手の情報をT細胞へ伝えます。この連絡にはサイトカインやケモカインと呼ばれる分子量の小さな物質を放出 して行います。
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●T細胞は免疫機能の中枢細胞
しかし、好中球やマクロファージの手に負えない強敵となると、マクロファージから情報を受けたT細胞が応援に繰り出します。
T細胞の中の、ヘルパーT細胞は、免疫制御の司令塔の役割です。B細胞やキラーT細胞に攻撃命令を出します。そしてキラーT細胞はその名の通り、外部からの敵に直接取り付いて、殺してしまいます。いわば殺し屋部隊です。
T細胞はこんなふうに細胞自体で攻撃するので、細胞性免疫と呼びます。
一方、B細胞は、ヘルパーT細胞からの指示を受けて、次々と抗体を作り出して血液中に放出します。この抗体がウィルスや細菌と戦います。
キラーT細胞が自分自身で戦うのに対して、B細胞は、抗体という飛び道具で戦います。地対空ミサイル発射!みたいな感じですかね。こちらを体液性免疫と呼びます。
このように、実はキラーT細胞もB細胞も、ヘルパーT細胞からの指示を受けて初めて戦えるのです。指示なしではウィルスや細菌と戦えません。
人間の戦闘部隊でも同じですね。司令塔からしっかり指示が下りてこなければ、前線部隊は右往左往して、混乱するばかりでまともに戦えません。これとまったく同じです。
そしてHIVは、恐ろしいことに、この司令塔であるヘルパーT細胞に取り付き、次々と破壊していきます。これがHIV感染者が免疫不全に陥る原因と なるのです。
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◇免疫機能が破壊されるとどうなる?
では、HIVによってヘルパーT細胞が破壊され、あなたの免疫機能が破壊されていくと、いったいどんなことが起きるのでしょうか?
冒頭にも書いたように、あなたの周囲や体内には細菌もウイルスもうじゃうじゃいます。
健康なときなら何も悪さをしない弱い病原菌も、免疫細胞が働かないとなると、どんどん増殖して暴れ出します。
また、外部から侵入してきた恐ろしい病原菌も、免疫細胞が感染を防いでくれないので、たやすく感染、発症してしまいます。
このように、免疫力低下によって感染していくことを、日和(ひよりみ)見感染と言います。
あなたがHIVに感染したまま、何も治療をせずに放置していると、だんだんとあなたの免疫力は低下していき、あるレベルよりも下がってしまうと日和見感染が始まります。
それがエイズの発症です。
かつてHIV感染が致死的疾患であったころは、この免疫力低下をどうすることも出来ませんでした。治療の方法が何もなかったのです。20歳でHIVに感染すると、平均余命はわずか7年でした。
しかし、抗HIV医療が進化した今日では、抗HIV薬の投与によって、免疫力の低下を回復させる
ことが可能になりました。
正確にはHIVの増殖を防ぎ、体内のHIV量をコントロール出来るようになったのです。ただ、残念なことにHIVを完全に体内から除去することは出来ません。
いつの日か、HIV感染症が完治出来るようになることを願うばかりです。
■この記事のポイ ント
○人間の免疫機能は白血球の中にあり、マクロファージ、顆粒球、白血球とそれぞれ役割の異なる免疫機能を持っている。
○HIVが体内に侵入すると、白血球の中のヘルパーT細胞と言う免疫機能の中枢細胞を破壊してしまう。そのため、HIV感染者は段々と免疫力が低下していく。
○免疫力が低下すると、健康なときには問題にならないような病原菌にも感染、発症してしまい、日和見感染症を起こす。
○現在の抗HIV医療ではHIVによって破壊された免疫機能を回復させ、日和見感染症を防いだり治療することが出来る。
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