血中のHIV RNA量が示すもの、それはHIV感染症の進行速度です。
HIV感染症において、血中のHIV RNA量を測定することはとても大事です。なぜなら、感染の進行速度を測る指標の1つだからです。
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・・◇HIV RNA量とは何か?
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HIV RNA量というのは、血液中にどのくらいHIVの遺伝子であるRNAが存在するかを測った量です。
HIVは遺伝子としてはRNAのみでDNAを持ちません。従って自己増殖する能力はなく、感染した宿主細胞の増殖機能を巧みに利用して自分のコピーを作ります。
あなたがHIVに感染したとすると、あなたの体内ではHIVが増殖していきます。その増殖の度合いを測るのがHIV RNA量という指標です。
下の図1をご覧下さい。
あなたがもしもHIVに感染したら、その後HIV RNA量がどんな推移をたどるかを示しています。
図1.HIV RNA量の推移
まず、あなたがHIVに感染すると、感染直後はHIVは急激に増殖します。これは体内にまだ抗体が出来ていないため、免疫機能の攻撃を受けずにHIVが増殖できるためです。
厚生労働省の「抗HIV治療ガイドライン」によると、HIVに感染して1週間から2週間くらいすると、血中のHIV RNA量は100万コピー/mLを超えるのだそうです。
HIV RNA量の単位は「コピー」です。コピーというのは、RNAの実数を計測した値ではなく、血液中のウイルス濃度を測定した値だそうです。(ここ、まだ調査中です。ハッキリした定義が私もよく分かっていません。)
なお、mLという単位は、1リットルの1000分の1の単位です。この1mL中にRNAがいくつあるかを調べます。
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・・◇ウイルス学的セットポイントとは?
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先ほどの図1を再度見て下さい。あなたがHIVに感染すると、あなたの体内では急激にHIVが増殖します。しかし、やがてあなたの体内にHIV抗体ができると、HIVは減少していきます。
HIV抗体がHIVを攻撃して排除するからです。そして、HIVが増える速度と、排除される速度が釣り合ったレベルでHIV RNA量は一定のレベルを保つようになります。
このレベルのことを、
ウイルス学的セットポイント
と呼ぶそうです。
つまり、ウイルス学的セットポイントは、あなたの体内でHIVがどのくらいの量で落ち着いているかを示します。
当然ながら、HIVは少ない方がいいに決まっているので、ウイルス学的セットポイントも低いレベルにある方がエイズ発症のリスクは少なくなります。
ただ、このレベルは非常に個人差があって、レベルが高い人も低い人もいます。もしもあなたがHIVに感染したとして、セットポイントがどのくらいの値になるかは測定してみないと分かりません。
しかし、そうした個人のバラツキはあっても、全体の傾向としては近年セットポイントが高いレベルになっているそうです。
そのために、HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間が短くなる傾向にあるのです。
セットポイントがどのレベルにあっても、やがては再び増加していきます。そしてエイズを発症します。
従って、定期的にHIV RNA量を測定しておくことは非常に重要です。あなたの体内のHIV感染の進行状況、進行速度を測ることができるのです。
実際の治療にあたっては、このHIV RNA量と合わせて、免疫力の指標であるCD4の値もまた管理指標となります。
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・・◇抗HIV治療によるHIV RNA量の目標値
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あなたがHIVに感染したとき、何も治療を受けなければ図1のようなグラフ曲線で、あなたの免疫力は低下し、逆に体内のHIVはどんどん増加してエイズ発症に至ります。
しかし、エイズ発症前にHIV検査によって感染が分かれば、抗HIV治療によってHIVの増殖を抑え、エイズの発症を防ぐことが可能です。
抗HIV薬はHIVがあなたの体内で増殖するのを阻害し、一方で免疫細胞がHIVを攻撃するために体内のHIV量は減っていきます。
実際にどこまで治療によってHIV RNA量を減らせるかというと、実は検出限界以下まで減らすことが出来ます。
検出限界とは、その検査方法で検出出来る最小限界のことです。その限界は検査方法によって異なります。
リアルタイムPCR法という、最も精度の高い検査方法では、検出限界は40コピー/mLです。
抗HIV治療の目標としては40コピー/mL以下に抑え込むことであり、少なくとも200コピー/mL以下のレベルに保つことができなければ治療は失敗という認識だそうです。
ただ、検出限界以下までHIV RNA量を減らすことが出来ても、完全に排除出来た訳ではなく、体内にHIVは残り続け、完治することはありません。
残念ながら現代医学をもってしても、HIV感染は完治させることは出来ないのです。
とは言え、先ほども説明したように、早期発見、早期治療によってHIV RNA量を減らし、エイズの発症を防ぐことは出来ます。
そうした抗HIV治療において、HIV RNA量はHIV感染の進行状況、進行速度を知る手掛かりとなり、適切に抗HIV薬服用の時期を決めたり、効果の確認判断を可能にしています。
あなたが少しでもHIV感染の不安を感じているなら、迷わず保健所などでHIV検査を受けて下さい。エイズ発症前に治療を受けることがとても大事です。
もしもあなたが、保健所には行けない、行きたくない事情があるなら、あなたの自宅でもHIV検査は可能です。
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