昨年(2013年)の11月に発生した献血によるHIV血液感染のニュースは大変世間の注目を集めました。
それは随分久しぶりにHIV感染やエイズがメディアに取り上げられた事件でした。
つまり、今やこうした大きな事件でもない限りHIVやエイズは世間の関心を得られない存在なのです。
その理由の1つが、エイズは死の病気ではなくなったからだと言われています。*
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◇HIV感染症・エイズは致死的疾患ではない
かつてHIV感染症は致死的疾患でした。
HIVに感染すると5年から10年くらいでエイズを発症し、そこから2年以内に死に至るというのがほとんどのケースだったのです。
しかし、今ではHIVに感染してもエイズ発症を防ぐことができます。
あるいはエイズを発症しても免疫力を回復させることができます。HIV感染症を完治させることは出来ないけど、命を救うことは出来るようになりました。
それをハッキリ示しているのが次のグラフです。
グラフ1.エイズ病変死の推移
このグラフは新規のHIV感染者、新規のエイズ患者、そしてエイズ病変死の推移を表しています。
厚生労働省エイズ動向委員会が発表した平成1年(1989年)から平成24年(2012年)までの24年間のデータです。
グラフの赤い折れ線は新規HIV感染者の推移を、青い折れ線は新規エイズ患者を、そして黄色い棒グラフはエイズ病変死の推移を示しています。
ただ、新規HIV感染者と新規エイズ患者は全数報告ですが、病変死は任意の報告となっています。
病変死は全数報告ではありません。実際にはこのデータ以外にもエイズで亡くなった人がいる可能性があります。
しかし、エイズ病変死が全数報告でなくてもその傾向は間違いなく見てとれます。
平成9年(1997年)にARTという抗HIV医療が始まってから劇的に死亡者が減少しています。
そう、1997年頃を境にエイズは死の病気ではなくなったのです。新規のHIV感染者、新規エイズ患者が増加の一途をたどる中、死亡件数は減っていきます。
死亡者が完全にゼロにはなりませんが、しかし年間20人以下ですから本当に多くの命が助かるようになりました。
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◇TVドラマからエイズの時代背景が見える
ところで話は少し横道にそれますが、あなたは『神様、もう少しだけ』というTVドラマをご存知でしょうか。
このドラマはHIV感染、エイズをテーマにしたドラマです。
テレビのオンエアは1998年の7月から9月、全12話でした。今をときめく深田恭子、金城武の2人が揃って大ブレイクするきっかけとなったドラマでした。
主人公、深田恭子扮する叶野真生は女子高生で、たった1度の援助交際でHIVに感染します。
そして恋人金城武扮する石川啓吾との間に赤ちゃんを産み、そして死んでいきます。
ドラマでの中ではHIV感染者に対する世間の偏見から就職できなかったり、母子感染の危機を乗り越えて出産したりといった話も出てきます。
HIVやエイズをテーマにしたドラマということで非常に話題となり、最終回の視聴率は28.3%と大人気でした。
ここで私が注目したいのは、このドラマが放送された時期です。
それは1998年でした。ARTが始まった翌年です。まだ世間の人たちはARTなんて知りませんでした。
HIVに感染することは数年先の死を意味すると思っていたのです。
もし、このドラマが現在に作られていたらどんなストーリーになっていたでしょう。
主人公真生はHIVに感染してもエイズを発症することもなかったし、あんなに早死にすることもなかったでしょう。
全く別の物語になっていたはずです。
それにしても当時の深田恭子、初々しくて可愛くて、すっかりファンになったものでした。少し太めの体型も私的には好感度アップでした。
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◇それでも早期発見が大事!
確かにHIV感染症は致死的疾患ではなくなりました。そしてエイズを発症しても免疫力を回復出来るようになりました。
しかし、それでもHIV感染の発見が遅れれば死に至ることもあるし、後遺症が残ることもあります。
私が調べた複数の専門書には早期発見の患者の方がその後の生存率が高いとデータを示してありました。
抗HIV医療が進化したとはいえ、早期発見、早期治療が大事なことは言うまでもありません。
あなたにとって早期のHIV検査は救命的検査になるかも知れないのです。
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