「HIV検査のタイミングとコツ」という座談会からご紹介します。

ちょっと古い情報なのですが、2007年5月にアボットジャパン株式会社が企画した医師や医療コンサル5名によるHIV検査の座談会がありました。

その座談会の記録から「HIV検査のタイミングとコツ」についてあなたのお役に立ちそうな情報をお届け致します。5年前の座談会ですが、今でもきっと参考にして頂ける内容だと思います。

・・◇座談会の出席者


まず、その座談会に出席された方をご紹介したいと思います。

●岡村 暢大氏 (湘南鎌倉総合病院)

●味澤 篤氏 (東京都立駒込病院)

●青木 眞 氏 (サクラ精機株式会社/感染症コンサルタント)

●山中 晃 氏 (新宿東口クリニック)

●中村 朗 氏 (国保旭中央病院)

以上の5名の専門家による座談会でした。この中で青木 眞 氏は私もお名前を知っています。同氏のブログ、『感染症診療の原則』をときどき読ませて頂いています。専門的な情報をとても分かり易く解説してくれるブログです。

それから味澤氏が勤務される都立駒込病院は、最近読んだ「エイズのなにが恐いのか」という本に紹介されています。1980年代後半、日本国内にエイズ患者が見つかり、エイズパニックが起きた頃、都立駒込病院は数少ないエイズ患者を受け入れることが可能な病院だったそうです。

話が横道にそれましたが、それでは「HIV検査のタイミングとコツ」からお届けしたいと思います。


・・◇医者の「HIV検査を勧める勇気」


座談会の記録を読んで私が特に印象に残ったのは、山中氏の「HIV検査を勧める勇気」というお話です。山中氏の勤務される新宿東口クリニックは内科・皮膚科・アレルギー科などが専門の病院で泌尿器科や婦人科、性感染症科はありません。

しかし、同病院を訪れる患者さんの中にはHIV感染の可能性がうかがえる人がいます。そうした患者さんを見つけたときに、医師がHIV検査を勧めることが大事だというご指摘です。皮膚科だと梅毒による皮疹やコンジロームなどです。

しかし、こうした症状からHIV検査を患者に勧めるのは医師の立場からすると勇気がいる場合もあるそうです。でも、その勇気が患者の早期HIV感染の発見につながるのですね。

冒頭でもご紹介した味澤氏の勤務される都立駒込病院はエイズ中核拠点病院として多くのエイズ患者の治療にあたっています。

ここには他の病院からHIV感染者の紹介があるそうなのですが、そのうち1割から2割は開業医からの紹介だそうです。そして開業医からの紹介の場合はまだエイズ発症に至らないケースが多いそうです。

一方、一般病院からの紹介で来た患者の場合はすでにエイズを発症しているケースが多いそうです。つまり、クリニックの方が患者に対して早期HIV検査を促していることになります。一般病院では何年も治療して症状が改善せず、重症化してやっとHIV感染に気付くという訳です。

例えば、ただの風邪の症状で来た患者に対して、「普段の性行動までは聞けない」のが実際の医療現場だそうです。そこで患者の既往症を聞いて、過去に帯状疱疹があったり性感染症の治療歴があればHIV検査を勧めることになります。

これは医師の立場からすると勇気のいることなのですね。私自身は過去に帯状疱疹や全身の発疹、肝機能障害などでHIV感染を疑ったことがあります。そのとき、私を診察してくれた医師は誰一人としてHIV検査に触れませんでした。

今になってその医師の対応は私としては少し不満に思うのですが、実は医師としてもうかつにはHIV検査を勧めることは出来ない、勇気のいることだったのですね。

どのようなケースにHIV検査を勧めるか、予め明確にしておくことが大事だそうです。例えば既往症からHIV検査を勧めるケースとしては以下のような症状があります。

●梅毒
●アメーバ症
●口腔内カンジダ
●急性感染(急性HIV感染症のことだと思われます)
●帯状疱疹
●B型肝炎
●血球減少
●不明熱
●尿路STI(クラミジア・淋菌などを指していると思われます)

座談会の中では、こうした症状からHIV感染の可能性を見逃さないためには、医師がHIV感染を警戒する高いレベルと専門知識が大事だと指摘されています。



・・◇「まさか・・・」思い込みが危険


当サイトでは「いきなりエイズ」を発症した患者の多くは、「まさか自分がHIVに感染しているなんて・・・」と驚くケースが多いと記事にしました。

しかし、「まさか・・・」と思うのは当人だけではなく、診察した医師もまた同じなのです。座談会の中で、医師が「まさかこの患者がHIVに感染するはずがない。」と思い込むことが危険だと指摘されています。

具体的にどんな患者かと言えば、「57歳の夫と死に別れた未亡人」の例が載っていました。社会通念的にはウイルスと関係なさそうですが、39歳のボーイフレンドがいてHIVに感染していたそうです。

一般に更年期以降の女性は避妊の必要性がないのでコンドームによる感染予防がされないケースも多いのです。

ちなみに、平成23年(2011年)における新規HIV感染者、新規エイズ患者の年代別分布をご紹介しましょう。(データは厚生労働省エイズ動向委員会の年報による)

1.HIV感染者

HIV感染症の年齢別・男女別分布
グラフ1.新規HIV感染者

ご覧頂いてお分かりのように、50歳以上、60歳以上の女性にも新規HIV感染者はいます。全ての女性感染者のうち、50歳以上の感染者が16%もいるのです。HIV感染に年齢は関係ありません。

2.エイズ患者

新規エイズ患者の年齢層別・男女別分布
グラフ2.新規エイズ患者

新規エイズ患者もまた年齢に関係なく報告されています。全ての女性患者のうち、30%が50歳以上です。これは男性も同じなのですが、高齢者になるほどHIV検査を受ける人が減り、自分のHIV感染に気が付かず「いきなりエイズ」を発症しています。

座談会の中で紹介されていた事例としてはこんな例があります。70代の女性が痴ほう症だとして診察を受けにきました。ところが診察してみると、エイズ指標疾患の1つであるトキソプラズマ脳炎でした。エイズを発症していたのです。

そしてこの70代女性のご主人はHIV検査の結果陰性でした。つまり、ご主人以外の誰かから感染したのです。いつ感染したのかは不明でしょうが、70代の女性でも「いきなりエイズ」は発症します。本当にエイズは年齢には関係ありません。

専門家の医師でさえ年齢や性別、家庭環境などから先入観を持って「まさか・・・」と思い込むことがあるのです。それは非常に危険だと改めて指摘されています。



・・◇最新情報が大事、でももっと大事なのは・・・


この座談会の最後で出てきたお話は、「医師も最新の検査情報が必要」ということでした。座談会は2007年の5月に開かれたものですが、ちょうどその当時HIV検査は第四世代、抗原・抗体検査が使われ始めました。

座談会に出席された方の中にはまだ第四世代の検査をご存じない方もいて、最新情報の入手が必要だとお話されています。実際の医療現場でHIV感染の可能性がある患者を早期に見つけ、いきなりエイズを未然に防ぐには検査情報も必要でしょう。

でも、私自身の体験から思うのですが、医師に100%期待して頼ることは出来ないと思います。なぜならHIV感染は基本的には無症候であり、医師があなたの感染を疑うきっかけがないケースも多いからです。

あなたご自身がHIV感染の不安や可能性、心当たりを感じたら自らHIV検査を受けることをお勧めしたいと思います。医師にすれば、あなたは大勢の患者の中の1人に過ぎません。

しかし、あなたにとってあなた自身はかけがえのない100%です。あなたの身を守るのはあなたご自身だと思います。今やHIV感染症は慢性疾患に近く、エイズは予防できます。早期のHIV検査は救命的検査です。

以上、2007年5月に開かれた座談会、「HIV検査のタイミングとコツ」からお届けしました。

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