HIV感染者のパートナーに対する健診の勧めはどこまで?

たまたまですが、ネットでこんな記事を見つけました。

『HIV感染症診療におけるパートナー健診の現状と促進・阻害因子の検討』

これは「日本伝染病学会機関誌」(2011年3月)に掲載された論文です。この中で、全国のエイズ診療拠点病院診療担当医513名にアンケート調査を行い、医療現場におけるHIV陽性者のパートナー健診の実態を報告しています。

論文作成者は、聖路加看護大学 堀成美氏・岡山市保健所 中瀬克己氏・立命館大学 中谷友樹・国立感染症研究所 谷口清州氏の4氏となっています。

・・◇HIV陽性者のパートナーとは?


アンケート調査におけるHIV陽性者パートナーとは、次のように定義されています。

『HIV感染症患者の過去及び現在の性交渉相手』

とされています。

全国のエイズ拠点病院では、HIV感染者が見つかったとき、その感染者のパートナーに対してHIV検査を受けるよう勧める取組がどの程度されているのでしょうか。

ではまず、アンケート結果からご紹介しましょう。


・・◇HIV感染者のパートナーへの検査勧奨は?


アンケート結果によれば、医療現場においてHIV陽性者を診察したとき、患者に対して、

●パートナー健診が必要であることをほぼ全員に話す・・・・・・66.5%

●パートナー健診が必要であることを半分以上に話す・・・・・・16.5%

●パートナー健診が必要であることを半分以下に話す・・・・・・・8.3%

●パートナー健診の重要性は理解しているが話していない・・・6.9%

●医師が話す必要はない・・・・2%

●その他/無回答・・・・・・・・・・2%

という結果になっています。(n=218)

実は私は100%パートナー健診を進めているのかと思っていました。実際には、66.5%なのですね。

そこで、患者に対してなぜ、パートナー健診を勧めないのか、その理由を調査しています。その結果は次の通りです。

●話づらい話題だから・・・・19名

●患者のパーソナリティや理解に問題がある・・・・13名

●忙しくてそこまでできない・・・・12名

●法的根拠やガイドラインがない・・・・8名

●そこまで医師の責任とは考えていない・・・・6名

となっています。意外にも最も多い回答は「話しづらい」でした。何となく、私たち医療を受ける側の感覚としては、「それが医者のお仕事では?」と思いたくなりません?

上記以外にも、こんな理由が挙げられていたそうです。

●相手が不特定・不明瞭なことが多い

●患者が言いたくないという

●必要性は理解しているがそこまで気が回らない

こんな理由です。

確かに、パートナーが「不特定多数」だと健診を勧めることも出来ませんね。


・・◇HIV感染者はにパートナーに感染を告げたか?


先ほどのアンケート調査によれば、HIV感染者の診察にあたった医師の66.5%は患者のパートナーもHIV検査を受けるように勧めています。

しかし、患者経由でパートナーにHIV検査を勧める場合には、医師が直接告げる訳ではないので患者の実行性にかかっています。医師に言われてその場では「ハイ」と言ったものの、どうしてもパートナーには言えない患者もいるかも知れません。

中にはどうしても自分からは言えないので医師やソーシャルワーカーに依頼するケースもあります。

さて、ここでちょっと先のアンケートを離れます。私の手元に「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」(医薬ジャーナル社)という本があります。この本は国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター長 岡慎一氏が編集したものです。

この本の中で、同センターにおけるHIV感染者の「性行動に関するアンケート調査結果(2005年)」が記載されています。

そのアンケート調査結果の中にこんなデータがあります。

●パートナーへHIV感染を告げたか(n数不明)

告げた・・・・・・・34%

告げてない・・・37%

実際にはパートナーへHIV感染を告げない患者の方が多いという結果になっています。

むろん、これはn数不明だし、ほんの一例に過ぎないデータかも知れません。でも、現在の日本ではHIV感染者が見つかったとき、パートナーに対する感染通知や検査勧奨について何も法的な規制はありません。患者本人が誰にも知られたくないと思えばそれも可能です。


・・◇今後の課題は?


ここでまた最初の論文に戻ります。論文の最後の考察において、更にパートナー健診を広げるための施策として、次のような項目を指摘しています。

●多忙な医師だけに任せない公衆衛生領域における人的資源確保

●学会ガイドラインや法的根拠の整備

●標準化された説明用資料の作成

などが挙げられています。

また、

『パートナー健診はHIVだけでいいのか』

といった疑問も指摘されています。HIV感染抑制のためには、先行する他の性感染症を抑制する必要があると指摘しています。仮にHIVに感染していなくても、クラミジア、淋菌、性器ヘルペスなどに感染していればHIV感染の確率は何倍にも高くなります。

最後に、今回の論文のアンケートを見て私が思ったことを書きます。予想外に医師はパートナー健診を勧めない。そう思いました。私のイメージでは100%勧めるものだと思っていました。

HIV検査は原則本人の同意なしには出来ません。こっそり採血して検査、とはいかないのです。ゆえにHIV感染のリスクをパートナーに正確に伝えることは非常に重要であり、パートナー本人の立場に立って考えれば「当然教えて欲しい」と思うのではないでしょうか。

ただし、文中にも出てきた、「不特定多数との性交渉」ではそれは物理的に不可能です。つまり、「不特定多数との性行為」はHIV感染のリスクと同時に、万一相手がHIV陽性と分かっても教えてもらえないリスクもあるということです。

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