CD4数(CD4陽性Tリンパ球数)が高い段階でHIV感染が分かれば、治療もより効果的です。
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CD4陽性Tリンパ球というのはあなたの体の免疫機能の中枢細胞です。あなたの体内に侵入してくるウイルスや細菌、異物などを見つけて排除するためには欠かせない細胞です。
しかし、HIVに感染すると、このCD4陽性Tリンパ球が徐々に破壊され、免疫力を失っていきます。あなたのCD4数を調べれば、あなたの免疫力がどのくらいあるか測る指標の1つとなります。
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・・◇HIV感染症が分かったとき、すでにCD4は下がっている
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そもそもHIVとは、
HIV=Human Immunodeficiency Virus
の頭文字をとったものであり、日本語で言えば、
ヒト免疫不全ウイルス(ヒトめんえきふぜんウイルス)
です。すなわち、人間に感染して免疫不全を起こすウイルスなのです。
あなたも私も、日頃健康に暮らせるのは何と言っても免疫力のおかげです。
あなたの周囲、皮膚の表面、口の中、頭皮や体の中には、それこそ無数の細菌がウヨウヨしています。ただ見えないだけです。
それらの細菌の全てが悪玉菌ではありませんが、中には増え過ぎるといろんな健康障害を引き起こす危険な菌もいます。
あなたの免疫力はそうした菌が増えないように監視したり駆除したりしています。
ところが、HIVに感染するとCD4陽性Tリンパ球という、免疫機能の中枢細胞が破壊されていきます。この細胞が破壊されると、他の免疫細胞も十分な機能をしなくなります。
CD4がどんどん減って、あるレベル以下になると日和見感染症といって、健康なときなら何でもないような病原菌にやられていろんな感染症を発症します。
この状態がエイズ発症状態です。
一般に、あなたが健康な状態であれば、CD4は700から1300くらいあります。
CD4についてもっと詳しく知りたいあなたはこちら⇒『HIV増殖のメカニズム』
では、HIVに感染し、エイズを発症するとどのくらいCD4は低下するのでしょうか。
それを調べたデータがあります。(第22回日本エイズ学会学術集会 2008年11月より)下のグラフをご覧下さい。このデータは、HIV感染症と診断された654人について調査したもので、診断に至った経緯を4つに分類しています。
●自発的な検査
何かの自覚症状があったり、HIV感染が不安になる行為があったりして、自分から検査を受けた。
●スクリーニング検査
他の病気で入院したり、手術を受けたときに院内感染防止や治療のために検査を受けた。
●性感染症の罹患
梅毒やクラミジア、淋菌などの性感染症が見つかったとき、HIV検査もいっしょに検査した。
●HIV関連疾患・症状
すでにHIV感染症を疑わせる症状が発症して検査を受けた。
図1.検査を受けた理由とCD4数
4つの分類ごとに、CD4の平均値を出したものがグラフの値です。
グラフをご覧頂いてお分かりの通り、当然ですがすでにエイズを発症した段階で見つかればCD4はかなり低下しています。
私が色んな専門書を読んだところ、CD4が350を下回るとエイズ発症の危険があり、抗HIV薬の投与が開始されるようです。(例えば「これでわかるHIV/エイズ診療の基本」南江堂など)
ただ、最近になってCD4のレベルがもっと高いうちに治療を開始した方がその後の経過がいいとする見解が出ています。CD4が350から500くらいでも場合によっては薬の投与を開始するようです。
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・・◇CD4が高いレベルで治療を受けるには?
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当たり前ですが、早期発見、装置治療に勝るものはありません。他の病気と同じです。
しかし、日本では毎年1500人くらいの新規HIV感染者が見つかっていますが、そのうち自主的にHIV検査を受けて感染が見つかるのは1/3くらいです。後はスクリーニング検査や他の病気の検査で見つかっています。(「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」医薬ジャーナル社による)
つまり、自分がHIVに感染しているリスクに気がつかず、HIV検査を受けようとしていないのです。確かにHIV感染症は感染初期を除けば自覚症状がないことが多いので、感染に気付きません。
でも、エイズの発症を防ぎ、その後の合併症を避けるためには、可能な限りCD4がまだ高いレベルで治療を開始することが望ましいのです。
従って、あなたや私が何かの病気、例えば皮膚疾患や性感染症などで病院に行ったとき、担当の医師がHIV感染症の可能性まで視野に入れて診察してくれると助かります。
また、私たち自身も医師だけに頼るのではなく、HIV感染の不安や可能性に思い当たる過去があれば、自主的にHIV検査を受けることが必要です。
万一、あなたがHIVに感染していれば、早期のHIV検査はあなたにとって救命的検査となります。
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「生存率」・「い きなりエイ ズ」・「潜伏期間」 3つのキーワードとデータが物語るエイズのリスク。
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