世の中には、信じられないような、奇跡に近いことが起きるものですね。HIV偽陽性にまつわる、そんなウソみたいなお話をご紹介しましょう。
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・・◇大ショック!二人ともHIV陽性に!
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ある若いカップルが、保健所でHIV検査を受けました。別にHIV感染を不安に思って検査を受けたのではなく、あくまで万一のことがあってはいけないと、余裕で検査を受けに行ったのです。
保健所でも余裕の二人は待合室でパンフレットを見たり、「HIV陽性になった人は大変だろうなぁ」なんてまるで他人事みたいに話していたそうです。
そして二人はHIV検査の即日検査を受けました。検査結果が1時間以内に分かる検査です。
そして・・・何と、検査結果はお二人とも「陽性」だったのです!
これは二人にとってはもう大ショックです。まさか、まさかの緊急事態です。HIV感染の不安を抱えて保健所に来た訳ではありません。あくまでも万一に備えての検査だったのです。
それが、いきなり二人一緒にその万一のケースにぶち当たってしまったのです。
むろん、二人が受けたHIV検査は一次検査、スクリーニング検査なので、まだ本当にHIVに感染したと決まった訳ではありません。もしかしたら偽陽性、すなわちHIVには感染していないのに、検査結果が陽性と出た可能性もありました。
当サイトでもご紹介している通り、保健所のHIV抗体検査では、偽陽性の確率は
●即日検査では・・・100人に1人の割合
●通常検査では・・・1000人に3人の割合
とされています。⇒『HIV検査の偽陽性・偽陰性とは?』
従って、お二人の陽性はまだ分かりません。
しかしですね・・・二人同時に陽性、というのが、メチャ不安にさせますよね。いかにも本当にHIV感染を思わせる結果です。
スクリーニング検査で陽性になったお二人は、確認検査を受けることになりました。今度は偽陽性の出ない、もっと検査精度の高いHIV検査です。
ただ、確認検査はスクリーニング検査のように検査結果が1時間以内で分かる、というわけには行きません。その日から2週間後に検査結果が分かると告げられたのです。
普通、確認検査は1週間から2週間後に検査結果が分かります。お二人の場合は最も長い2週間後だったのです。
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・・◇奇跡のような確率だった
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さて、確認検査を受けて結果が出るまでの2週間。いったいお二人がどんな気持ちで過ごしたか、あなたには想像できますか?
これはもう、当事者でしか分からない不安、恐怖だったと思います。何しろお二人揃って陽性だったのです。普通に考えれば、どどうしたって陽性である可能性が高いと思うでしょう。
治療費はいったいいくらかかるんだろう・・・
これからの生活はどうなるんだろう・・・
親には何と言おうか・・・
友人たちはいったいどう思うだろう・・・
いや、友人には話さない方がいいのだろうか・・・
そんな思いが頭の中を駆け巡ったに違いありません。そして夜も眠れない、食事ものどを通らない、そんな2週間だったに違いありません。
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ところが・・・
2週間後に出た確認検査の結果は、二人とも陰性だったのです!
つまり、二人とも偽陽性だったということです。
これ、ものすごい確率です。
確率計算してみると、まずお二人が偽陽性の判定を受ける確率はそれぞれ1/100ずつです。従って二人同時に偽陽性になる確率は掛け算して1/10000となります。
お分かりですか?何と、お二人が一緒に1万回HIV即日検査を受けてやっと1回発生する確率だったのです。
1万回に1回って、これはもう奇跡に近い数字ですよね。それなのに、このお二人は最初の1回目で、その1万回の1回にぶち当たってしまったのです。
お二人がどんなに安堵したか、これは想像できます。本当に嬉しかったでしょうね。それまでは生きた心地もしなかったことでしょう、
以上の実話はつい最近ネットで話題になったものです。いろんなメディアが取り上げていました。
しかし・・・
実は、私はこのお二人と全く同じケースの実話を以前にネットで読んで知っています。極めて可能性の低い、まれなケースでしょうが、1万回に1回というのはこうして実際に繰り返し起きるものなのですね。
そこで私はふっと考えてしまいます。
HIVに感染する確率についてです。
当サイトでもご紹介していますが、厚生労働省の関連サイトでは行為別のHIV感染確率を掲載しています。⇒『行為別感染確率』
このデータからいくと、相手の女性がHIV感染者で、コンドーム無しの性行為をした男性がHIVに感染する確率は0.05%です。
0.05%とは、分かりやすく言えば1万回に5回の割合です。まぁ、普通の感覚ではとてつもなく小さい確率であり、心配無用とも言える確率です。(むろん、1回当りの確率です。性行為の回数が増えれば当然感染確率も大きくなります)
しかし、さっきの若いカップルのケースを思いだして下さい。あちらの発生確率は1万回に1回だったのです。0.01%の確率でした。
それでも、可能性がゼロでない限り、最初の1回目で発生することもあり得るのです。この事実は、同様にあなたがHIVに感染するかも知れない確率にも当てまります。
感染確率0.05%という、とてつもなく小さい確率でありながら、あなたは最初の1回目でHIVに感染するかも知れません。
「まさか・・・信じられない・・・」
あなたはそう絶叫することでしょう。しかし、可能性がゼロでない限り起こり得るのです。先の若いカップルのように。
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・・◇現実問題としては・・・
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まぁ、確かに現実問題として0.01%や0.05%の確率にそんな過剰反応して不安を抱えたり、心配し過ぎてノイローゼになる必要はありません。
そんな事を言いだしたら飛行機にも車にも乗れません。表を歩くことさえできなくなります。私たちの身の回りには程度の差こそあれ、危険は常に存在します。
しかし、だからと言って全くの無関心、無警戒はこれまた間違いです。どんなに小さい可能性であっても、それが発生した場合のダメージが大きければそれなりの用心はしておくべきです。
例えば言えば、火災保険や地震保険と同じようなものです。自分の家が燃えるなんて、そうそうあっては困ります。まず、そんな火災は起きないでしょう。
しかし、万一燃えた場合、住む場所がなくなります。財産だって失くすかも知れません。そうなったら即生活に困ります。だから多くの人は万一に備えて火災保険に入るのです。
HIV検査も同じことです。あなたはめったなことではHIVに感染したりしません。しかし、万一HIVに感染していたら、これはもうエイズを発症する前に治療を開始することが絶対に大事です。その後の生存率に大きな差が出ます。
今回ご紹介した若いカップルがHIV感染の不安を持ってなくても万一に備えて保健所でHIV検査を受けた、これは大正解です。まぁ、10000万回に1回という、信じられない不運には合いましたが。
どうかあなたもHIV感染、エイズ発症を決して他人事だと思わずに、あなたの危機管理としてとらえて下さい。
そして「いきなりエイズ」発症前の早期発見、早期治療があなたにとって救命的検査であることを絶対に忘れないで下さい。
今回は、若いカップルが保健所でHIV検査を受けたら二人とも偽陽性判定だった、という極めて珍しいお話をご紹介しました。ここで私があなたにお伝えしたかったのは、どんな小さい可能性でもゼロでなければ起こり得る、という事実です。
最後に繰り返します。あなたにとって早期のHIV検査が救命的検査であることを忘れないで下さい。
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