HIVは感染してすぐに隠れ家に逃げ込んでしまう・・・こんなニュースがネットで話題になっています。
2014年7月22日、AFP通信によって配信されたニュースからあなたにお届けします。
『HIVの隠れ家』(多分、短期間でリンクが切れます。リンク切れの際はご容赦ください)
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◇抗HIV医療に新たな壁?
今回見つけたニュースは、アメリカのベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(Beth Israel Deaconess Medical Centre、BIDMC)などの研究チームがイギリスの科学誌ネイチャー(Nature)に論文発表したものです。
実は今回の論文で発表された実験は、アカゲザルにサル免疫不全ウイルス(SIV)を感染させてデータを集めたものです。つまり、人間とアカゲザル、HIVとSIVという差があり、そのまま私たち人間に当てはめることは出来ません。
あくまでも可能性を研究する途中段階の論文発表なのです。この点は論文の中でも強調されています。
そういった、相違点を含んだ論文であることを前もってご承知おきの上、この先をお読みください。
今回の実験で推測されたことは、あなたがもしもHIVに感染すると、血液検査が可能になる前に、すでにHIVはあなたの体内で隠れ家を見つけて入り込んでしまう可能性がある、というものです。その隠れ家とは、免疫細胞です。
HIVは感染した免疫細胞の中で何年もの間、抗レトロウイルス治療(ART)や免疫系の影響を受けずに「休眠の状態」になることができるそうです。(正確にはHIVの遺伝子情報が存在し続ける)
そして長い眠りの後に、再び活性化して増殖を始めるのです。免疫細胞を破壊しながらです。
それがいったい何を意味するか?
そうです。抗HIV医療において、HIVを完治させようとする研究にとっては、この隠れ家が高い壁となります。隠れ家に入り込んだHIVには薬の効果が届かないのです。
現状の抗HIV医療(ART)では、あなたがHIVに感染してもエイズ発症を防ぐことは可能になりました。しかし、あなたの体内からHIVを完全に駆除することは出来ません。現状では生涯治療となってしまうのです。
では、なぜこれだけ医学が発達した今日、登場から30年も経つHIVを駆除することが不可能なのか?その理由の1つにHIVが免疫細胞に感染し、細胞内に隠れてしまうことがあります。
当サイトで以前に、『HIV感染症は何年で完治できる?』という記事を掲載したことがあります。抗HIV治療によって、体内のHIVを減少させ続けていくと、何年経ったときに完全に消滅できるか、という記事です。
この記事の中では、何と74年かかる計算になっています。これは現実的には治療不可と同じことです。この記事の中でも触れていますが、HIVがメモリーT細胞という大変寿命の長い免疫細胞の中に入り込み、そこでじっと潜伏するために駆除が出来ないのです。
今回のニュースでも同様のことが書かれています。(全く同じかどうか不明です。私が個人的に同じような話だと思っているだけです)
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◇血液検査の前に治療ができるか?
今回の論文の中で最も私が興味深いと感じたのは、HIVが隠れ家である免疫細胞に入り込むタイミングです。論文によれば、それは血液検査によるHIV検査が可能になる前だそうです。そのくらい早いタイミングだそうです。
現在、最も早いHIV検査はNAT検査で感染から11日後とされています。この11日間にすでにHIVは隠れ家に入り込むと言う訳です。
このタイミングが何を意味するか?
そうです。HIV検査で感染が分かってから治療を開始したのではもう遅い、手遅れということです。かと言って、HIVに感染しているかどうかも分からないのに抗HIV薬を使うのも難しいことでしょう。それこそ針刺し事故の緊急マニュアル対応みたいなものです。
第一、現在の抗HIV療法でこのHIVが隠れ場に入り込む対策が可能なのかどうか?それもハッキリしません。いずれにしてもHIV感染症の完治を目指す抗HIV療法には高い壁となりそうです。
ただ、冒頭にも書きましたが、あくまでこの論文の実験はアカゲザルにSIVを感染させたものです。人間がHIVに感染した場合と全く同じではありません。あくまでも可能性を論じるものであり推論です。
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◇あなたが出来ること
HIV感染症、エイズの治療法に関しては毎月何かしら新しいニュースが流れます。しかし、残念ながら実用化されて目覚ましい成果を上げているものは極めて少ないようです。
ましてや、HIVの完全駆除、完治への道を開く治療法、薬はまだまだ時間がかかりそうです。
このような中、あなたや私に出来ること、それは早期のHIV検査を受けることです。これ以外にありません。例え感染直後にHIVが隠れ家に入り込んだとしても、抗HIV治療がまだ免疫力の高いレベルで開始した方が効果的であることに変わりありません。
現状での抗HIV医療の目標は、とにかくエイズ発症を防ぎ、体内のHIV量を検出限界以下にまで減らすこと。それには早期のHIV検査が必要です。そして、きっと医学の進歩はHIVの完治へ道を拓いてくれるに違いありません。
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