HIVに感染して2週目から6週目あたりに現れる風邪やインフルエンザに似た症状を急性HIV感染症と呼びます。この原因は何でしょうか?
最近見かけたあるネットの相談サイト。40代の女性がHIVに感染した可能性のある行為の数週間後に口腔カンジダを発症しました。
その女性はカンジダが免疫力低下によって起きることを知っており、HIV感染による免疫力低下が原因ではないかと心配になります。
それでネットの相談サイトに書き込みを行ったという訳です。彼女の心配は当っているでしょうか?
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・・◇口腔カンジダ症は急性HIV感染症の症状か?
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まず、基本中の基本ですが口腔カンジダ症は急性HIV感染症の症状の1つでしょうか?私が専門書や医療サイトで調べた限り、口腔カンジダ症は急性期の症状ではありません。
詳しくは『急性HIV感染症とは?』を読んでください。HIV感染の急性期には発熱や頭痛、リンパ腺の腫れ、発疹、筋肉痛などの症状が出ます。口腔カンジダを発症すると書かれた例は見たことがありません。
ただし、口腔カンジダ症がHIV感染症と全く無縁かと言えばそうではありません。確かな関連性があります。
どんな関係があるかはちょっと後回しにして、なぜ今回登場の女性は口腔カンジダからHIV感染を心配したのでしょうか。それはこんな連想によるものです。
●口腔カンジダ症⇒免疫力が低下したときに発症する。
●HIV感染症⇒免疫力を低下させる。
つまり、HIV感染による免疫力低下が口腔カンジダの原因ではないかと心配したのです。自分で思い返してみると、数週間前に危険行為をした覚えがあるため、急性HIV感染症として口腔カンジダが思い浮かんだ訳です。
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・・◇急性HIV感染症の原因は?
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では、そもそも急性HIV感染症とは何が原因で発症するのでしょう?ネットで相談した女性が想像したように免疫力が低下して起きるのでしょうか?
いえ、実はそうではありません。別に免疫力が低下して発症するのではないのです。
急性HIV感染症は感染したHIVが体内で急激に増殖し、血管の中に入り込んで全身をめぐる高レベルのウイルス血症によって起きる症状なのです。
下の図を見てください。
HIV RNA量と書いた青い線がHIVの増殖を表しています。感染直後に急激に増えているのがお分かり頂けると思います。
一方、CD4陽性リンパ球と書いた赤い線が免疫力を表しています。確かにHIVが感染すると赤い線は右下がり、すなわち免疫力はどんどん低下していきます。
しかし、日和見感染症を発症するほど低下するのはHIV感染後の急性期ではありません。もっと時間が経って何年もしてからです。
一般にはCD4の値が350を切るとエイズ発症の危険ラインとされています。(むろん、例外もあります)
口腔カンジダは確かにHIV感染による免疫力低下で現れる症状の1つです。ネットで相談した女性は間違っていません。ただし、それが現れるのは感染直後ではなく、もっと時間が経ってからです。
もう一度繰り返します。HIV感染の急性期に現れる風邪やインフルエンザに似た症状は、HIVが急激に増殖して高レベルのウイルス血症を起こすことが原因です。HIV感染による免疫力低下で日和見感染症が現れた訳ではありません。
従って口腔カンジダと同じように、ヘルペスや帯状疱疹なども免疫力低下と共に発症する病気ですが、これらも感染初期ではなくもっと時間が経過してから出てきます。
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・・◇もっとも基本的なこと
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当サイトで何度もしつこいくらいに繰り返し書いてきましたが、HIVに感染しているかどうかはいかなる症状からも判断できません。
今回ネットで相談した女性は口腔カンジダを心配したのですが、これはHIVに感染しなくても体調不良やストレスなどで免疫力が低下すれば誰でも発症する可能性があります。
結局、どんな症状が出たか、ということではなく、HIVに感染した可能性があるか、ないかという観点で心配した方がいいのです。あなたにHIV感染の可能性がある行為に心当たりがあるなら、何も自覚症状がなくてもHIV検査を受けることをお勧め致します。
HIV感染は早期発見によってエイズ発症を防ぐことが出来ます。自覚症状のある、なしに関係なく「いきなりエイズ」防止のためにHIV検査を受けてください。
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■HIVと最も重複感染が多いのが梅毒、B型肝炎。症状がより重症化することがあります。
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