中高年のエイズ患者が増えていることは過去にもお伝えした通りです。

そんな中高年に注意が必要な大事なこととは?

以前、当サイトでは『50歳以上のエイズ患者が急増!』という記事を掲載しました。

これは8月30日に厚生労働省エイズ動向委員会が発表した2013年第2四半期(4月~6月)のエイズ動向を元にした記事です。

新規エイズ患者が四半期ベースでは過去最多であったこと、しかも50歳以上の中高年に最も多かったことなどが注目され、多くのメディアで取り上げられました。

今回はそんなメディアの中から1つ記事を取り上げてみたいと思います。

とい・

◇50代、男性の場合

私が注目したのはAERA10月7日号です

『原因不明の体調不良 中高年でエイズの可能性も?』という記事があります。

ここで私が注目したのは中高年にエイズ患者が増えているという記事ではありません。

それはすでに当サイトで記事にしており、今更振り返って同じ話をあなたにお伝えする積りはありません。

私が注目したのは、AERAの記事に登場する50代男性のエイズ発症までの過程です。

同記事によると、凡そこんな経過をたどっています。

●毎夜のように仕事が終わると飲みに行き、バーやサウナで知り合った男性と性交渉をもっていた。

●その後肺炎になったり、全身が真っ赤に腫れあがったり、慢性的な体調不良を繰り返す。

●病院では膠原病やアトピーの疑いがあると診断された。

●体調不良が治らないまま、ある日通勤途中に激しい息切れで倒れ、救急車で病院へ運ばれる。

●病院でニューモシスチス肺炎と診断され、同時にHIVに感染していたと判明する。

●6ヶ月の入院で肺炎は治るが、その後も髄膜炎で再入院する。

こんな感じです。

記事では中高年のエイズ患者の一人として紹介されていますが、私が最も注目したのは、

「なぜHIV感染がもっと初期に見つからなかったのか?」

という点です。

肺炎や全身が赤く腫れるなどの症状を慢性的に繰り返すのはHIV感染による免疫力低下のせいであり、当然男性を診察した担当医はHIV感染を疑うべきだと思うのです。

これもまた過去に何度も記事にしてきましたが、一般の内科や皮膚科では必ずしもHIV感染に対して感度が高いとは限りません。

これはエイズ専門医が度々指摘するところでもあります。

例えばこちらの記事 『HIV感染症と皮膚疾患』

この男性の場合、自分がHIV感染に対して危険行為を行っていたという自覚は持っていました。

もしかしたら・・・という不安もあったのです。

しかし、度重なる医師の診察を受けても全くHIV感染に触れないのでどこか安心もしていたそうです。

でも、残念ながら男性はHIVに感染していたのです。

もしも、男性がもっと早くにHIV感染と分かっていればニューモシスチス肺炎によるエイズ発症を未然に防げたかも知れません。いや、防げた可能性は非常に高いと思います。

◇自分の身は自分で守る

もしもあなたがHIVに感染して何らかの体調不良をおこし、病院へ行ったとしてもそこでHIV感染が見つかる保証はありません。

あなたを診察した担当医がHIV感染まで視野に入れた診療を行うかどうかにかかっています。

そして先ほどの男性の例にもあるように、全くHIV検査をしないままエイズ発症に至ることもあるのです。

こうした事例を見ると、

「自分の身は自分で守る」

ことがいかに大事か分かります。

まずはHIVに感染しないように予防する。そして万一の場合を考えてHIV検査を受ける。

この2つが大事です。仮にHIVに感染していても早期発見、早期治療によってエイズ発症を防ぐことが出来ます。

AERAの記事によれば、この男性はこう言っています。

『物忘れが激しい。健康な人よりも、血圧や中性脂肪値など生活習慣病のリスクも高いように感じます。』

確かに、私が読んだ専門書にも同様のリスクが書かれていました。

抗HIV医療の進歩によってエイズで亡くなる患者は激減しましたが、未だにHIV感染症は不治の病であり、恐ろしい病気です。

まずはHIVに感染しないよう予防することが何より大事であり、次に早期のHIV検査です。

あなたの身を守るのはあなた自身です。

もしもあなたに慢性的な体調不良があって、そしてHIV感染に少しでも心当たりがあるなら、早期のHIV検査をお勧めします。

保健所に行けば無料匿名で検査を受けることが出来ます。

どうしても保健所や病院に行けない、行きたくないあなたは自宅で使えるHIV検査キットもあります。

なお、今回は50代男性の事例でしたが、HIV感染が見つからないことがある、というリスクは年齢に関係ありません。

20代のあなたも、30代のあなたもご用心ください。