HIV感染の不安がある人で、リンパ球が増えていたら感染していない?
これが今回のテーマです。
あるネットの相談サイトで見つけた質問です。
風俗で遊んでしまい、自分のHIV感染を心配している男性が、たまたま会社の健康診断で血液検査を受けました。
するとその血液検査でリンパ球が前回よりも増えていることが分かりました。
そこでその男性はこう考えました。
「HIVに感染するとリンパ球は減るはずだ。増えてるってことは、HIVには感染していない!」
さて、男性の考えは正解でしょうか。男性はHIVに感染していないと言えるのでしょうか?
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◇HIV感染の基本中の基本
まず、いきなり答えを書きます。
「HIVに感染しているかどうかは、HIV検査を受ける以外に分かりません。」
これが大原則です。
例えリンパ球が増えていてもHIVに感染していないとは言えません。
今回はこのリンパ球の変化とHIV感染の関係について説明したいと思います。
まず、HIVに感染すると免疫細胞が破壊され、そのために免疫不全に陥ると言われます。
これは確かに事実です。
そして、それゆえ先ほどの男性はリンパ球が増えていることでHIV感染が否定出来るのではないかと考えたのです。
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◇HIVが破壊する免疫細胞とは?
そもそもリンパ球とは何でしょうか?
当サイトの『HIV感染で免疫不全になる理由』という記事で、次のような図で免疫システム全体を説明しています。
図1.免疫システム
図1のようにあなたの血液は血球成分と液体成分に二分されます。
血球成分には赤血球と白血球と血小板があります。
人間の免疫機能は白血球の中にあります。
そして白血球はマクロファージ、顆粒球、リンパ球から成っています。
「病院で受ける検査がわかる本」(法研)によると、白血球数の基準値は3,500~9,000/μLだそうです。(1/μLは1リットルの百万分の1です)
そしてその中でリンパ球数の基準値は1,500~4,000/μLとされています。
ただ、この基準値は調べる専門書や医療サイトによってけっこう数値にバラツキがあります。あくまでも参考値と思って下さい。
このリンパ球の中にT細胞があり、そのまたT細胞の中のヘルパーT細胞がHIVによって破壊される免疫細胞です。
随分と回りくどい説明になりましたが、要するに白血球の成分としてリンパ球があり、そのリンパ球の中にヘルパーT細胞があります。
HIVはヘルパーT細胞の表面にあるCD4という目印を見つけて感染し、内部で自分のコピーを作りつつ、ヘルパーT細胞を破壊していきます。
ヘルパーT細胞は免疫細胞の中でも司令塔の働きをする中枢細胞なので、これを破壊されることによって免疫不全へと陥ってしまいます。
国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センターのホームページによると、CD4陽性Tリンパ球数(ヘルパーT細胞)の基準値は700~1,300/μLだそうです。
ここでもういちど数値データを整理しておきます。
●白血球数 3,500~9,000/μL
●リンパ球数 1,500~4,000/μL
●CD4陽性T細胞数 700~1,300/μL
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◇リンパ球数とHIV感染
さて、ここで冒頭の男性のお話に戻ります。
男性はHIV感染の不安を持っているものの、健康診断でリンパ球数が増加していることを理由にHIVには感染していないのではないかと思っています。
確かに先ほども書いたようにリンパ球の一種であるCD4陽性Tリンパ球はHIV感染によって破壊され、減少していきます。
抗HIV治療ではCD4が350以下になると薬の投与を開始する目安にしています。
管理人注記:2017年9月7日
現在ではもっと早いタイミング、例えばCD4が500以下を基準にするような見直しが行われています。早期治療開始が効果的であると分かってきたからです。
これからすると、HIV感染症が進行するとリンパ球数が減ると言えます。
しかし、感染初期においては著しい低下まではいかず、基準値内に入っていることもあります。
従ってリンパ球が減っていないから感染していないとは言えません。
またリンパ球数が減ったからといってHIVに感染しているとも言えません。
なぜなら、HIV感染以外の原因でリンパ球が減ることがあるからです。
例えばHIV以外の急性感染症や遺伝性免疫不全、更にはうっ血性心不全、全身性エリテマトーデスなどによってもリンパ球は減少します。
こうしたことからリンパ球の減少でHIV感染の有無は判定出来ません。
この男性の場合はリンパ球が増加傾向にあるということです。
リンパ球が増加する理由としては、ウイルス感染症、リンパ性白血病、百日咳などが考えられます。
従って、リンパ球が大きく増減している場合には精密検査を受ける必要があります。
HIVに感染していなくても今まで例に出した病気であればすぐに治療が必要です。
◇まとめ
最後に繰り返しになりますが結論です。
リンパ球は病気の種類によって増えたり減ったりします。
単にリンパ球が増えているからHIVには感染していないとは言えません。
他の症状からも分かりません。
HIV感染の不安があればHIV検査を受けるしか確かめる方法はありません。
全国の保健所では無料・匿名でHIV検査を受けることが可能です。
どうしても保健所、病院へ行けないあなたは自宅で使える郵送式HIV検査キットもあります。
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