エイズパニックをあなたはご存じですか?それは今から26年も前のこと・・・
今ではすっかりメディアに取り上げられる機会も減ってしまったエイズ。医学の進歩によって死亡者が激減したことも世間の関心が低くなった理由の1つとされています。
でも、今から26年前におきたエイズパニックでは、日本中がエイズの恐怖でパニック状態に陥っていました。当時はエイズを発症すれば治療法もなく、死ぬのを待つだけの恐怖の感染症だったのです。
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・・◇エイズ患者を始めて見たとき
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私が初めてテレビで見たエイズ患者はアメリカ人の患者でした。全身に広がる肉腫や肺炎になってゲッソリとやせ細ったその姿を見て、とても怖い病気だと思いました。あれはたぶん、カポジ肉腫とニューモシスチス肺炎(当時はカリニ肺炎)の症状だったと思います。
その映像はやがて週刊誌や新聞、雑誌にも登場しました。メディアはひたすらエイズの恐怖をあおっていたように思います。それというのも、エイズはアメリカで登場したときは男性同性愛者や麻薬中毒患者(注射器の回し打ち)の病気だと思われていました。
エイズは怖い。でも、自分には関係ない。なぜなら、
「自分は同性愛者じゃないから・・・」
「私は麻薬中毒患者じゃないから・・・」
そんな理由で多くの人は自分にはHIV感染もエイズも無関係だと思っていました。正直言って、最初は興味本位だったのです。
ところが、実際にはそうではなく、誰でも感染の可能性があることが次第に分かってきました。同性愛者じゃなくても、薬物注射をしなくても、ごく普通の性行為によって誰でも感染すると分かったのです。
そして日本中を震撼させたエイズパニックが起きます。
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・・◇長野県松本市で起きたエイズパニック
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1986年11月、長野県松本市にフィリピンから出稼ぎに来ていた女性がフィリピン帰国後にHIVに感染していたことが判明します。
そして、その女性が長野で売春行為を行っていたと報道されました。女性の実名も公表され、女性が働いていたとされる店や、そこに行った客までも探そうとマスコミ各社が松本に殺到したのです。
つまり、そのフィリピン女性から感染した日本人がいるのではないかと関心をあおり立てたのです。テレビのワイドショーでは連日のようにこの騒動を取り上げました。写真週刊誌もこぞって特集を組みました。
その当時はHIVやエイズについての正しい情報、知識が乏しく、HIV感染者やエイズ患者に対する偏見と差別がすさまじい勢いで広まりました。
そのフィリピン女性のお客だったと噂が広まった男性は付近住民から村八分状態にされました。また、長野県内では外国人であるという理由で銭湯やスーパー、飲食店などが入店を拒否したり、更には長野県在住というだけで全国のホテル、旅館が宿泊を拒否するようになりました。
今では信じられないような言われのない差別ですが、当時はHIVの感染ルート、感染の原理が理解されていなかったのです。まるでインフルエンザと同じ、空気感染するかのような扱いでした。
しかも、本当にHIVに感染しているかどうかも分からない、単に外国人、長野県在住、といった理由だけで差別したのです。
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・・◇兵庫県神戸市で起きたエイズパニック
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松本でのエイズパニックの翌年、1987年、今度は神戸でパニックが起きます。この年、厚生省は神戸で日本人女性初の感染者が確認されたことを発表します。そして、その女性は男性同性愛者の疑いのある外国人船員からHIVを感染したと報道されました。
女性の死後、名前や顔写真がマスコミによって公開され、更にはその女性が多くの日本人相手に売春行為を繰り返していたと報道されます。
そして、松本の場合と同様、マ スコミ各社は神戸へ押しかけ、女性の客だったと思われる男性探しが始まったのです。そのニュースを見て不安になった男性たちがHIV検査を受けに保健所に殺到したそうです。
しかし、後に女性患者の遺族が名誉棄損で裁判を起こし、この女性が売春行為を行ったと言う事実は否定されました。まさにエイズパニックの中、患者個人のプライバシーや人権は軽く扱われていたのです。
当時の報道は、HIV感染やエイズ患者の恐ろしさだけを強調する偏ったもので、感染者や患者のプライバシー保護の観点が欠如していました。
マスコミ各社の主張は、
「2次感染を防ぐための、やむ得ない報道」
と言うものでしたが、今から考えるとそれは全くの口実であり、HIV感染防止には役立ちませんでした。HIV感染者に対する偏見と差別だけを残したのです。
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・・◇エイズパニックから26年
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長野県松本市でエイズパニックが発生してから26年が過ぎました。従って30歳より若いあなたはリアルタイムでの記憶はないと思います。
当時私は大学を卒業して関西でサラリーマンをしていました。エイズパニックにつては今でもかなり鮮明に記憶に残っていますが、完全に他人事でした。
さしたる根拠もなくエイズは自分とは遠い世界の出来事であり、自分とは無関係だと信じていました。もっとも危ないパターンです。
HIVやエイズに対する差別や偏見、あるいは私のように無関心、無警戒はどちらも根っこは同じだという気がします。それは正しい情報、知識がないために、何が危険で、何が安全かを知らないことです。
そして、その根っこはエイズパニックから26年が過ぎた今もなお、日本の社会の中に残っているように思います。
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