HIV感染に伴う皮膚疾患を詳しく解説します!

「Visual Dermatology」(秀潤社)によればHIV感染者の90%には何らかの皮膚疾患が見られるそうです。

これらのHIV感染に伴う皮膚疾患には様々な種類がありますが、その中から代表的なものを9疾患、説明したいと思います。

その前に大事なことを1つ書きます。

HIV感染に伴う皮膚疾患の多くはHIVに感染しなくても発症することがあります。

むしろほとんどはHIV感染以外の要因で発症します。

それゆえ、皮膚疾患の医療現場において、どこまで患者に対してHIV感染の可能性を疑うか、フォローできるか、現実は難しいようです。(HIV感染患者を診察した経験のない皮膚科の医師が多数いる)

しかし、早期のHIV検査が救命的検査の位置づけになっている今日、皮膚科診療に期待される役割は大きいものがあります。

多くのエイズ専門医が指摘しているところでもあります。

もしもあなたに何かの皮膚疾患が現れ、しかもあなたにHIV感染の心当たりがあるなら、この記事を思い出して下さい。

そして、仮に皮膚科の医師があなたに指示しなくてもHIV検査を受けることを考えてみてください。

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◇HIV感染による免疫不全で感染する皮膚疾患

まず、HIV感染による免疫不全が原因で、感染してしまう7種の皮膚疾患を取り上げます。

1.急性期皮疹

HIVに感染して2週目くらいから6週目までがHIV感染の急性期で、この急性期に現れる発疹を 急性期皮疹と言います。

急性期皮疹は直径5mmから10mmくらいの赤い斑点のような発疹が胸や背中に出ます。

発疹と共に発熱や全身の筋肉痛などの症状が出ることもあります。

急性期皮疹はHIV感染者の約75%に見られる皮膚疾患ですが、放置しておいても1週間から2週間で自然治癒します。

そのためにHIV感染としての皮膚疾患であることが見逃されてしまいがちです。本当はHIV感染の早期発見の重要な手がかりなのです。

もし、あなたの体にこのような斑点、発疹が見られたら、皮膚疾患だけでなくHIV感染も疑うことをお勧め致します。

もちろん、感染に心当たりがあれば、即HIV検査を受けて下さい。

 

2.帯状疱疹(たいじょうほうしん)

帯状疱疹は私が自分のHIV感染を疑うきっかけとなっ た皮膚疾患です。

子供の頃に水痘(水ぼうそうのこと)にかかると、病原菌であるヘルペスウイルスは完全には消えず、大人になっても神経節と言う場所に残ったままになっています。

そして免疫力が低下したときにヘルペスウイルスが暴れ出して発症することがあるのです。

症状としては体の左半分か、右半分のどちらか片側に痛みを感じ、その後小さな水泡が現れます。

赤い斑点のようになり帯状に分布します。

帯状疱疹はHIV感染者以外でも珍しくない皮膚疾患なので、帯状疱疹になったからと言ってHIV感染だと決めつける必要はありません。

しかし、一方で帯状疱疹はHIV感染による免疫低下で見られる代表的な皮膚疾患でもあります。

あなたが帯状疱疹を発症したら、HIV感染の心当たりがなくてもHIV検査を受けておく方が安全です。

むろん、心当たりがあれば絶対です。

私の場合は、担当医はHIVには何も言及してくれませんでした。

HIV感染が不安になった私は自分の決断で検査を受けたのです。

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3.単純疱疹((単純ヘルペス)

単純ヘルペスウイルスによる日和見感染により発症しま す。

ヘルペスウイルスによる感染はHIVに感染していない健康な人にも見られます。

単純疱疹は多くの場合、唇や性器に痛みや違和感を感じ、数日後に直径1mmから2mm程度の小さな水泡がたくさん集まって現れます。

 

4.伝染性軟属腫 (水いぼ)

ポックスウイルスによる感染症です。普通は子供の頃に 発症し、大人がかかることは稀です。

HIV感染者については免疫不全による日和見感染症として発症します。

2mm程度の肌と同じ色か、白っぽい丘疹(ふくれのある発疹)で、丘疹の中央に小さな凹みがあります。

 

5.口腔内カンジダ 症

口腔内カンジダ症の病原菌であるカンジダアルビカンスは真菌(カビ)の一種で、健康な人でも約26%は常在していると言われています。(「Visual Dermatology」より)

健康な状態では免疫力によって真菌が抑え込まれているのですが、HIV感染などで免疫力が低下してくると発症します。

口腔カンジダの症状は、口の中のほほの粘膜部や舌が白い苔(こけ)状の物に覆われたようになります。

咽頭や食道にも発症することがあります。

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6.爪白癬(はくせ ん)

『HIV感染に伴う皮膚疾患』によれば、HIV関連の真菌症の中で、爪白癬は口腔カンジダ症に次いで多くみられる皮膚疾患だそうです。

真菌の一種である白癬菌が爪に寄生したもので、爪の先が白く濁ったような色になります。

 

7.カポジ肉腫

カポジ肉腫はエイズ指標疾患にも指定されており、 HIV感染者に非常に多く見られる皮膚疾患です。

HIV感染の免疫不全によって発症する、腫瘍性病変の代表です。

腫瘍(しゅよう)とは、細胞や組織が体の正常な制御に従わず、かってに増殖して出来た組織の塊(かたまり)です。

体の表面に出来ることもあるし、体の内部に出来ることもあります。

カポジ肉腫の病原菌はHHV-8(ヒトヘルペスウイルス8型)で あることが分かっており、多くの場合、CD4が300/μL以下になると発症します。

*50以下で発症とする専門書もありました。(CD4は免疫力の指標となる数値で、健康は人は700~1300/μLあります)

カポジ肉腫は、最初は暗い紅色か紫色の平坦な斑点です。

この斑点が段々と盛り上がっていきます。

肉腫は下半身から始まってお腹や腕、首、顔と色んな場所に次々と出てきます。

皮膚だけでなく、気道や消化管の粘膜、リンパ節など臓器にも出ます。

かつてはHIV感染によるカポジ肉腫は治療が困難で、そのまま進行して致死的経過をたどることもありました。

しかし、現在ではARTと呼ばれる坑HIV療法と、ドキソルビシンと言うアドリアマイシン系の抗ガン剤が有効で完治する例が多くなっているそうです。

カポジ肉腫以外の腫瘍性病変としては、悪性リンパ腫、肛門部扁平上皮ガンなどがあります。

以上がHIV感染による免疫不全がきっかけとなって発症する皮膚疾患の例です。

もしもあなたがこれらの皮膚疾患を経験してHIV感染が不安になったら、HIV検査を受けて下さい。

 

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◇HIVと重複感染の多い性感染症による皮膚疾患

次に、HIV感染が直接の原因ではありませんが、HIV感染者に多く見られる重複感染した性感染症によって発症する皮膚疾患を2種類説明します。

8.梅毒による皮膚 疾患

私が保健所にHIV検査に行ったときにもらったHIV感染予防マニュアルには、

「HIVと重複感染が一番多いのが梅毒である」

と書いてありました。

従って、もしもあなたが皮膚科で梅毒感染だと分かった場合には、必ずHIV検査も同時に受けることを強くお勧め致します。

梅毒はトレポネーマ・パリズム(梅毒トレポネーマ)と言う細菌の一種によって発症します。

多くの場合、梅毒に感染するとおよそ3週間くらい後に感染した場所の粘膜部や皮膚に丘疹(盛り上がった斑点)が出来ます。

やがてこの丘疹は浅い潰瘍(かいよう)となります。しかし、痛みは伴わず、自然に治ってしまいます。

これが梅毒の第1期に現れる皮膚疾患です。

次に感染してから約3ヶ月くらいすると、梅毒は第2期に入り、梅毒性バラ疹と呼ばれる淡い紅色の斑点が体の色んな場所に多発します。

あるいは、梅毒性丘疹と呼ばれる暗い紅色の丘疹が多発します。

これらの2期疹はかゆみを伴わないのが特徴です。しかし、時には発熱、関節痛、リンパ腺の腫れなどが出ます。

最初に書いた通り、梅毒感染者はHIVに重複感染するリスクが高く、重複感染すると梅毒の進行が速まったり、重症化することがあるので要注意です。

従って、もしもあなたに、ここに書いたような皮膚疾患が現れた場合にはまず梅毒を疑い、HIVも同時に検査されることをお勧め致します。

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9.尖圭コンジロー マによる皮膚疾患

尖圭コンジローマは梅毒、B型肝炎などと同じくHIV と重複感染の多い性感染症です。

尖圭コンジローマに感染していると性器の炎症部、潰瘍部からHIVが感染しやすく、そのために重複感染が多くなっています。

尖圭コンジローマの病原菌は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の6 型、11型とされています。

症状としては、性器や肛門の周囲に先のとがった小さなイボが出来ます。

特にHIVとの重複感染においては、肛門周辺への発症が多いとする報告もあります。

 

◇その他のHIV関連皮膚疾患

好酸球性膿疱性毛包炎、そう痒性丘疹、薬疹、尋常性乾癬、色素異常症、アト ピー性皮疹などがあります。

これらの疾患を調べてみましたが、専門用語のオンパレードに参りました。

申し訳ありませんが、あなたがもっと詳しく知りたい場合には、ネットで検索すれば複数のサイトで説明を読むことが出来ます。ただし非常に難解ですが。

 

◇まとめ

以上、HIV感染に伴う皮膚疾患について説明しました。

素人の私が何冊か専門書を読んでもよく分からないことが沢山ありました。

そもそも皮膚疾患は専門医でも体に現れた症状だけで病名や原因を確定させるのが難しく、様々な検査や経過観察を要するようです。

私やあなたが覚えておくことは、

●何かの皮膚疾患が現れたらそのまま放置せず、速やかに皮膚科で診てもらうこと。

●HIV感染の心当たりがあればHIV検査も考えてみること。この場合、仮に皮膚科の医師が指示しなくても、あなたの判断でHIV検査を受けて下さい。

この2つです。

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