ウイルスと細菌はどちらも感染症を引き起こす病原菌です。では、どう違う?

・・◇ウイルスと細菌はどう違う?


どちらも人間には大の嫌われ者です。いろんな怖い病気を引き起こす病原菌ですから嫌われ
ても当然です。

一般にはどちらも「ばい菌」などと呼ばれたりします。

何となくあなたのイメージとしては、ウイルスも細菌も似たようなもの、そんな感じではありま
せんか?

実は私もウイルスと細菌がどう違うのかなんて、まるで知りませんでした。
自分がHIV感染疑惑を持って色んな専門書や医療サイトを見ているうちに知識を得ました。

ウイルスと細菌って、見た目の大きさからして随分違うのです。むろん、あなたや私の肉眼では
絶対見えませんから、そんな大きさの違いなど気がつくはずもありません。

図1をご覧下さい。


図1.ウイルスと細菌

ウイルスも細菌もちっこいのですが、でも2つの大きさを比べてみれば、ウイルスは細菌の
1/10くらいの大きさしかありません。

また、自分のコピーを作るのに必要な遺伝子も、ウイルスはDNAかRNAか、どちらか一方しか
持っていません。

ウイルスと細菌にはこうした違いがあります。

でも、ウイルスと細菌の違いをもっと端的に言うなら、

「ウイルスは生物ではないが、細菌は生物である。」

と言うことになります。

「ウイルスが生物ではない?」

こんなことを書くと、あなたは驚くかも知れませんね。

ウイルスが生物と言えるかどうか、これは専門家の間でも議論を呼んでいるテーマであり、
生物ではないとする学者もいれば、いや生物だとする学者もいます。

私のような素人にはその議論も難しすぎてよく分かりません。
ウイルスが生物でないなら、いったい何物か?当然そんな疑問も湧いてきます。

・・◇そもそも生物とは何か?


ではウイルスが生物かどうかを議論する前提となる、生物そのものの定義とは何でしょう?
「生きている」とは、具体的に何をもってそう言うのでしょうか。
人間なら、心臓が動いていること、それが生きていると言うことでしょうか。

私が色々な本で調べたところ、生物と呼ぶには次の3つの条件を備えていることが必要です。

1.自己増殖能力
これは、自分の力で自分の子孫を残していく力のことです。人間は無論ですが、どんな小さな、
また下等な生物であっても、必ず自分の複製をつくって次の世代へ残そうとします。

そうしないと、自分たちの代で種が終わってしまいますからね。これは私にも理解出来ます。


2.エネルギー変換能力(代謝)
人間で言えば、食事をしてエネルギーに変える能力ですね。変換したエネルギーを日常の運動
に使ったり、血や肉となって体を成長させたりします。

植物も地中から養分を吸い上げて葉をつけ花を咲かせますね。どんな微生物でも、外部から何か
を取り込んで自分の体内で何かのエネルギーに変えて生きているわけです。

こうした働きを代謝と言います。まぁ、これも私なりに理解出来そうな気がします。


3.恒常性維持能力
これは、外部環境が変わっても体の中を一定の状態に保とうとする能力を言います。例えば、
人間なら外が暑ければ汗をかいて体温を下げようとします。急激なダイエットをするとリバウンド
するのもこれです。元に戻そうとする働きですね。

いつかテレビで見たのですが、アメーバーみたいな下等動物で、体を半分に切られても、また
どんどん伸びてきて元通りになってしまうのがいました。究極の恒常性維持能力ですね。

以上の3つが生物の条件なんだそうです。

どうも3番目の恒常性維持能力が生物の必要条件と言うのが、私にはちょっとピンときませんが。

この3つの条件を別の見方をすると、

「細胞を持っているのが生物」

なのだそうです。つまり、先ほどの3つの条件、3つの働きは細胞活動を通して行われるのですね。
ちっぽけな下等生物も単細胞ですが、一応細胞を持っているのです。

・・◇では、ウイルスは?


さて、ウイルスはこの3つの必要条件についてどうなのか?

まず、ウイルスは細胞と言うものを持ちません。遺伝子はあるのですが、細胞はないのです。
それで、他の生物に取り付いて、その細胞を利用して、自分の複製をつくり増殖を繰り返します。

しかもウイルスは遺伝子もDNAかRNAか、どちらか片方しか持っていません。自分のコピーを作る
には両方の遺伝子が必要となるため、ウイルスは感染した細胞の遺伝子を利用して自分のコピー
を作ります。

このように、ウイルスは自分の力だけでは増殖することが出来ないのです。生物であるための1番
目の条件である自己増殖機能がありません。

そして、2番目の条件である、エネルギー変換能力、代謝機能もありません。私にはよく分かり
ませんが、代謝機能がないと言うことは、逆に言えば何も栄養分が要らないと言うことでしょうか。

それから3番目の恒常性維持能力ですが、この点について解説のある専門書が見つかりません
でした。私が探せないだけだと思うのですが、今のところ結論が出ていません。

しかし、1番目、2番目がすでにアウトなので、生物学上ではウィルスを生物とは認めない意見が
多いのだそうです。

しかし、一方では、遺伝子を持っているし、他の生物の細胞を利用するとは言え、自分の複製を
作ろうとする仕組は生物に限りなく近い。いや、生物そのものだ、と言う意見もあるのだそうです。

・・◇もし、ウイルスが生物でなければ?


ウイルスがもしも生物でないとしたら、いったい何者でしょうか?単なる物質?化合物?
この問題を説明する本やサイトによく出て来る話が、ウイルスの「結晶化」です。

1935年、W.M.スタンレー(アメリカ)がタバコモザイクと言うウイルスを結晶化する実験に
成功しました。

結晶化、と言うのは文字通り何かを結晶構造にすることです。結晶とは、原子・分子・イオン
などが規則正しく立法的(3次元的)に配列されたものを言います。例えば塩や砂糖の粒は結晶
です。そして、生物を結晶化することは出来ません。

スタンレーがウイルスを結晶化することに成功するまで、ウイルスも細菌と同じような生物だと
思われていました。そのため、この結晶化の実験成功はかなりの衝撃だったそうです。

こうして、ウイルスは生物と無生物の中間的存在として研究が続けられることになったのです。

・・◇最後に・・・


ウイルスのことをもっと説明しようと思っていたのですが、ウイルスが生物か無生物か、という
お話に終始してしまいました。

ウイルスの特徴的な増殖方法については、HIVを例に詳しく説明してありますので、こちらから

ご覧下さい。⇒『HIV増殖のメカニズム』

では、この記事の最後を、フランスのノーベル生理学・医学賞受賞者、アンドレ・ルヴォフの一言で
締めくくることにします。

「ウイルスが生物として見なされるかどうかは、好みの問題だ。
ウイルスはウイルスだ!」

ノーベル賞をもらったえらい学者でさえ、こう言ってる訳で、私たち素人の頭がこんがらがるのは
当然ですね。

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