梅毒はHIVとの重複感染が多く、しかも症状が重症化したり進行が早まります。
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◇梅毒とはどんな性感染症?
梅毒に関してよく言われる例えが、
「昔梅毒、今HIV」
これは性感染症の中でも特に死に至る怖い病気を指しています。
今でこそ梅毒は抗生物質で完治出来る病気になりましたが、以前は感染すると不治の病で致死的疾患でした。昭和20年代、30年代までは性病の代表として猛威をふるっていたのです。
例えば、1947年(昭和22年)の報告を見ると、梅毒に感染した人は実に148,191人もいて、亡くなった人が4,444人もいるのです。今では信じられないような数字です。
その当時に比べれば現在は大幅に梅毒感染者は減少しています。ただ、ここ数年は感染者が急増しています。この後の「梅毒感染者の動向」をご覧下さい。
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◇梅毒の病原菌は?
トレポネーマ・パリズム(梅毒トレポネーマ)と言う細菌の一種です。
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◇梅毒の症状は?
梅毒は発症と潜伏を繰り返し、第1期から第4期まであります。たいていは第2期までに感染に気が付き治療を受けることで治ります。
しかし、感染を放置して第4期まで進行すると生命にかかわる深刻な状況となります。かつては梅毒感染による死者が何千人もいたことは前に書いた通りです。
①梅毒の第1期
感染後、2週間から3週間後に発症します。太股のリンパ節が腫れますが、痛みはありません。
女性の場合には外陰部にしこりが出来ることもあります。感染した性器、口の周り、肛門、手、指などの皮膚や粘膜に小豆から大豆くらいの大きさのしこりが出来ます。
しこりはやがてただれて潰瘍になります。これを硬性下疳(こうせいげかん)と言呼びます。
これらの症状は放置しているとやがて消えます。しかし治った訳ではなく、第1期から第2期へ向かう潜伏期に入ります。
②梅毒の第2期
感染してから9週間、長い時は3年くらいして発症します。全身のリンパ節が腫れ、発熱や頭痛、全身の倦怠感といった症状が出ます。
また、全身にバラ疹と呼ばれる梅毒特有の赤い発疹が出ます。この発疹にはかゆみがないのも特徴です。
バラ疹が消えて数ヶ月すると、盛り上がった湿疹や膿(うみ)をもつ湿疹が、出たり消えたりを繰り返します。最後には、それが陰部や口の中、乳房など、特定の場所にだけ現れるようになります。
③梅毒の第3期
感染してから3年後くらい経った時期です。全身にゴム腫と呼ばれる柔らかいしこりが出来ます。放っておけばゴム腫は治りますが、後が残ります。ゴム腫は出ては消えて後を残していくので、見た目にひどい状態になっていきます。
④梅毒の第4期
感染から10年が過ぎた頃の時期です。脳や脊髄が冒され、手足のしびれ、痴呆症状、大動脈瘤などが出ます。また、あらゆる内臓、心臓や血管系、中枢神経も冒されます。日常生活は出来なくなり、最後には死に至ります。
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◇梅毒の感染ルートは?
性行為感染、母子感染、血液感染があります。
●性行為感染
コンドームを着用しても完全には予防できません。男性の性器のつけ根や、女性の外陰部など、コンドームでカバー出来ない部位にも病変が発生するためです。また、オーラルセックス、アナルセックスでも感染します。
●母子感染
梅毒に感染したまま妊娠したり、妊娠の初期に梅毒に感染した場合、そのまま治療を受けずに出産すると赤ちゃんに感染して死亡、もしくは早産、流産と なることがあります。
母子感染の感染確率は約40%と言われています。
また、妊娠の後期に梅毒に感染して出産した場合には、先天梅毒児となり、乳児期や幼児期になってから梅毒の第二期症状が出ます。また、学童以降に様 々な症状が出ることもあります。
従って、妊娠した場合には必ず健康診断で梅毒検査を受けること、また妊娠中に梅毒に感染しないように注意することが大事です。
●血液感染
梅毒トレポネーマに汚染された血液が輸血されて感染しするものです。現在の日本の医療環境ではほとんど見られません。
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◇梅毒の検査方方法は?
梅毒検査には大きく分けて2つの方法があります。
●梅毒抗体検査
梅毒の感染によって作られた抗体を見つける方法で、梅毒血清反応検査と呼ばれます。梅毒血清反応検査にはSTS法とTP抗原法の2種類があります。一般にはこの梅毒抗体検査が用いられます。梅毒に感染して4週間から5週間で検査可能です。
●TP検出検査
病原体である梅毒トレポネーマ(TP)そのものを見つける方法です。
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◇梅毒の治療方法は?
梅毒の治療にはペニシリンが使われます。投与期間の目安は感染の進み具合で次にように
異なります。
●第一期での治療・・・・2週間から4週間
●第二期での治療・・・・4週間から8週間
●第三期以降の治療・・・8週間から12週間
以上のように、早期に発見されるほど、治療期間は短くてすみます。
ペニシリンを投与すると、数時間後から梅毒トレポネーマがが破壊され始め、39度前後の発熱、全身の倦怠感、悪寒、頭痛、筋肉痛、発疹などが見られることがあります。
治療によって完治したかどうかは、STS法と呼ばれる抗体検査によって確認します。医師の指示を最後まで守ることが大事で、症状がなくなったからと いって、勝手に薬を止めたり、治療を止めると再発することがあります。
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◇梅毒感染者の動向は?
図1をご覧下さい。
●感染者推移 平成15年(2003年)から平成29年(2017年)までの15年間 全数報告データ使用
図1.梅毒感染者の推移
「梅毒なんて過去の性病だ」
と思っているあなた。とんでもありません!グラフをご覧頂いてお分かりのように、平成25年辺りから梅毒感染者は増加傾向にあり、ここ数年は急増しています。まさに爆発的な増加ぶりです。
梅毒感染者は発見されると全数報告が法律で義務付けられており、7日以内に保健所経由で都道府県知事へ報告されます。HIVも同様です。
しかし、梅毒はHIVに比べると薬で完治する病気であるため、医療現場での扱いがHIVに比べると軽いのだそうです。そのため、報告義務を怠る例も中にはあるそうです。
だとすれば梅毒感染者は実際にはまだ多いのかも知れません。まさに要注意の性感染症です。
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◇梅毒感染者の年齢層は?
図2をご覧下さい。平成29年のデータです。
●梅毒年齢層別感染者 平成29年(2017年)における年齢層別感染者 全数報告データ使用
図2.梅毒感染者の年齢別分布
男性の梅毒感染者は20代から40代に広く存在し、女性の梅毒感染者は20代の若者に集中しています。
高齢者にも梅毒感染者が多く見つかっているのは、すでに治療済みの過去の梅毒感染ではないかと思います。梅毒は完治しても抗体検査で陽性が残ることがあります。
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◇HIVとの重複感染にご注意
私が保健所にHIV検査を受けに行ったときもらった予防マニュアルには、
「HIVと重複感染が最も多い性感染症は梅毒」
と書いてありました。
そして、
「梅毒とHIVが重複感染すると、梅毒の進行が早くなったり、重症化したりすることがある」
とも書かれていました。
また、梅毒感染者はHIVに感染する確率が健康な人に比べて数倍も高くなります。
つまり、梅毒とHIVは非常に密接に関係し合っており、もしもあなたがHIVが心配、あるいは梅毒が心配、と言うときにはHIVと梅毒の両方を疑っておいた方が安全です。
最後に繰り返しになりますが、梅毒は完治出来る病気です。それも、早期に治療を開始するほど早く治ります。従って、あなたに梅毒の不安があるなら、早期に検査を受けて下さい。
また、梅毒は感染後の第一期、第二期が最も感染力の強い時期です。この時期に梅毒感染に気付かず性行為を繰り返していると二次感染を起こす可能性大です。
この意味からも早期の検査が大事です。
ここ数年増加傾向にある梅毒、決して過去の性病だと軽く考えず、ご用心下さい。
なお、梅毒は病院に行かなくてもあなたの自宅で検査が可能です。私も自宅で検査しました。
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