エイズの原因となるHIVはウイルスの仲間です。ウイルスの正体はどんなものでしょうか?
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・・◇ウイルスは超虚弱体質!
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エイズを引き起こすHIVは、
HIV=Human Immunodeficiency Virus=ヒト免疫不全ウイルス(ヒトめんえきふぜんウイルス)
というウイルスの一種です。
ウイルスと同じように色んな病気の原因となっているものに細菌があります。ウイルスと細菌は似てるようで全くの別物です。ここではウイルスの正体を詳しく説明したいと思います。
ウイルスと細菌のちがいについてはこちらから⇒『細菌とウイルスの話』
ウイルスが原因で発症する病気と言えば、エイズの他にもたくさんあります。ちょっとだけ身近なところをご紹介してみましょう。
●インフルエンザウイルス
●ノロウイルス (胃腸炎)
●肝炎ウイルス(B型肝炎・C型肝炎など)
●ムンプスウイルス (おたふく風邪)
●麻疹ウイルス (麻疹、はしか)
●日本脳炎ウイルス
●風疹ウイルス
●狂犬病ウイルス
●エボラウイルス
●ヒトパピローマウイルス (イボ・子宮頸ガン)
●単純ヘルペスウイルス1型 2型
●水痘・帯状疱疹ウイルス
ざっと上げただけでもこんなに出てきます。HIVはむろんですが、怖い病気がいっぱい並んでいます。こうして病名を見ていると、ウイルスはどれだけ凶悪犯かと思います。
ところが、ウイルス自体はとても弱い微生物なのです。(ウイルスを微生物と定義するかどうかは意見が分かれるところです)
通常生物はどんなに小さなものであっても細胞を持ってます。細菌だって細胞があります。でも、ウイルスには細胞がありません。それどころか遺伝子もDNAかRNAか、どちらか片方だけしかなく、それにごく少数のたんぱく質だけで構成されています。
従って、外部環境にとても弱いのです。いったいどのくらい弱いかと言うと、
●周囲の温度が55℃から60℃になると、数分で表面のタンパク質が変性し、感染性を失う。
●常温の環境下でも数時間たつと感染性を失う。
●酸性に弱く、ペーハー5~6で不活性化されてしまう。胃に侵入しても胃酸で退治されてしまう。
こんな感じです。「ウイルスのすべてが分かる本」(楽書ブックス)による。
こんなウイルスに比べると細菌の方がずっとしぶといのです。例えば、淋菌感染症の病原菌はナイセリア・ゴノローエ(Neisseria gonorrhoeae )と言う細菌ですが、タオルなどに付着した場合は24時間生存することが知られています。「性感染症STD」(南山堂)による。
しかもウイルスは自分の力だけでは増殖することができず、他の生物に感染し、宿主細胞の中でのみ自分のコピーを作ることができます。ウイルスには代謝機能も自己増殖機能もないのです。
こんなふうにウイルスは自らの構造も弱いし、増殖機能にしても非常に弱いのです。
でも、ウイルスはとても頭のいいA級知能犯でもあるのです。その驚くべき感染方法をご紹介しましょう。
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・・◇ウイルスは超A級知能犯だった!
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ウイルスがどれだけ知能犯か、それは増殖方法に現れています。その脅威の実態をご紹介しましょう。まず、下の図をご覧ください。
図1.ウイルスの感染
上の図のように、細胞の表面にはタンパク質のトゲが刺さっています。そのタンパク質のトゲがじゃましてウイルスは細胞の中には入れないようになっているのです。
一方、何とかして細胞内に入り込みたいウイルスには表面に突起があります。そしてこの突起が細胞の防御を打ち破るカギを握っています。この突起が、狙った細胞にくっつき、そこから細胞内部へと入っていくのです。
しかも、このウイルスの突起は何にでもくっつくわけではありません。狙った細胞の受容体と呼ばれる構造物にだけくっつくのです。何でもかんでもくっついたらウイルスは体の内部まで侵入できません。うまくできていますよね。
もう少し詳しく説明しましょう。あなたの体は凡そ60兆個の細胞からできています。その細胞は周囲から生命活動に必要な成分を取り込みます。このとき、細胞は無差別に成分を取り込むのではなく、その細胞に必要な成分のみを取り込みます。
では、細胞はどうやって自分に必要な成分と、不要な成分を見分けることが出来るのでしょうか。その見分ける役目をしているのが細胞の「受容体」です。
細胞の表面には「受容体」と呼ばれる突起があり、この受容体とピッタリ合う分子を持った成分、化学物質しか受け入れない仕組みがあるのです。
イメージとして、細胞には「受容体」というカギ穴があります。周囲の化学物質はそれぞれカギを持っており、細胞のカギ穴にピッタリ合うカギを持った成分だけがカギを開けて細胞の中に入り込むのです。こうして細胞は必要な物質だけを取り込みます。
さて、ここからがウイルスの恐ろしいところです。ウイルスは自分が感染しようとする細胞に近づき、この受容体というカギ穴に自分のカギを差し込みます。そして、カギを開けて細胞内へと侵入していくのです。
つまり、ウイルスは狙った細胞に入り込むためのカギを持っているのです。むろん、細胞の受容体はウイルスを招き入れるために存在するのではありません。先ほども説明したように、周囲の化学物質の要・不要を選別するためにあります。
この細胞の機能を実に巧みに利用して、ウイルスはあたかも細胞が必要としている物質を装ってまんまと細胞に侵入、感染してしまうのです。
細胞の中に侵入したウイルスは、宿主細胞の増殖機能を巧みに利用し、自分のコピーを作ります。何せウイルスは自分の力だけではコピーを作ることも出来ない虚弱体質なのです。
しかしA級知能犯のウイルスは感染した宿主細胞の中でものすごい数の自分のコピーを作り、完成するといっせいに細胞の外へ飛び出し、それぞれがまた次の細胞に感染していきます。こうして猛烈なスピードで増殖していくのです。
そしてウイルスに感染された宿主細胞は破壊されてしまいます。
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・・◇HIVが恐ろしい理由
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先ほども説明したように、ウイルスはどんな細胞にでも侵入できるわけではありません。自分が持っているカギとピッタリ合うカギ穴の細胞にしか感染できません。
そしてHIVが持っているカギにピッタリ合うのがCD4陽性Tリンパ球という細胞です。この細胞は人間の免疫機能の中枢細胞であり、本来はHIVのような外敵が侵入したときに中心になって戦う細胞です。
HIVは本来なら自分を攻撃してくるはずの免疫細胞に感染し、その中で増殖と破壊を繰り返します。ここがHIVの最も恐ろしいとろです。免疫細胞が破壊されていくと、単にHIVが増殖するだけでなく、人間の免疫力そのものが低下していきます。HIV以外のウイルスを攻撃することも出来なくなっていくのです。
これがいわゆる免疫不全状態であり、様々な感染症を発症し、やがて死に至るのです。かつてHIVに感染するとこうした免疫不全状態を回復する方法がなく、HIV感染症は致死的疾患でした。
しかし、現在ではHIVがCD4陽性Tリンパ球の中で増殖できないようにする薬ができています。そのため、HIVは免疫細胞を破壊することができず、段々と免疫力を回復させることが可能になったのです。そのおかげでエイズで死ぬ人は劇的に減りました。
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以上が、HIVをはじめとするウイルスが私たちの細胞に感染する仕組みの説明です。まぁ、難しい理屈は正直よく分かりませんが、それにしてもよく出来た仕組みです。細胞からすればウイルスだと見分けがつかず、自分の必要な物質だと思って取り込むのですから。
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