今回はHIV感染症と発がんリスクについて情報発信したいと思います。
今回の記事作成にあたっては、『HIV感染症と悪性腫瘍』(国立感染症研究所)を参考にさせて頂きました。
◇エイズ指標悪性腫瘍のリスクは低くなったけれど・・・
当サイトで幾度となく記事にしてきましたが、かつてHIV感染症は致死的疾患でした。HIV感染による免疫力低下で日和見感染症を発症し、やがて死に至る怖い病気でした。
しかし、1997年頃から始まったARTによってHIV陽性者、エイズ患者の予後は劇的に改善され、エイズで亡くなる患者も激減しました。
そのARTが始まるまで日和見感染症と並んで死因の1つであったのがエイズ指標悪性腫瘍でした。
●エイズ指標悪性腫瘍(AIDS-defining cancers: ADCs)
悪性腫瘍とは分かりやすく言えばがんのことです。悪性新生物とも言います。エイズ指標悪性腫瘍とは具体的に言えば、カポジ肉腫、非ホジキンリンパ腫などです。
これらの悪性腫瘍によって命を落とすエイズ患者が多数いたのです。
しかし、こうしたエイズ指標悪性腫瘍もまた、ARTの開始と共に予後の改善が可能になりました。日和見感染症と同じように免疫力の回復によって治療可能となったのです。
◇非エイズ指標悪性腫瘍のリスクが大きくなった
ARTによって日和見感染症、エイズ指標悪性腫瘍で亡くなるエイズ患者は激減しました。しかし、今度は非エイズ指標悪性腫瘍が新たな死因リスクとして問題視されるようになりました。
●非エイズ指標悪性腫瘍 (non-AIDS- defining cancers: NADCs)
HIV感染とは直接関係ないと考えられていた悪性腫瘍で、具体的には肛門がん、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、大腸がん、肝臓がん、肺がんなどです。
国立感染症研究所のホームページによると、これらの非エイズ指標悪性腫瘍は現在ではHIV陽性者の死因のトップなのだそうです。
もっとも、現在の日本ではHIV陽性者以外でもがんは死亡原因の第1位であり、3人に1人はがんで亡くなっています。それを考えるとARTの導入によってHIV陽性者も非HIV陽性者も死因は同じになったのかなと思います。
◇HIV陽性者は10歳加齢が進行する?
同じく国立感染症研究所のホームページによるとこうした非エイズ指標悪性腫瘍の中でも、肺がんによる死亡者が最も多いのだそうです。
国立がん研究センターのホームページによると、2015年に肺がんで亡くなった人は77,200人で、がんの中では最も死亡者が多くなっています。
ここでもHIV陽性者、非HIV陽性者は同じなのですが、ただHIV陽性者には高齢化の問題があるそうです。
むろん、人は誰でも年齢を重ね高齢化していくものですが、そうした自然の高齢化とは別にHIV陽性者の場合は長期間慢性炎症状態が持続することで実年齢よりも10歳は前倒しで加齢が進むのだそうです。
その為に肺がんの発症年齢をHIV陽性者と非HIV陽性者で比較すると、HIV陽性者の方が10歳以上早く肺がんを発症するのだそうです。
詳細はこちらのグラフをご覧ください。⇒「肺がん患者の予測数」
HIV陽性者は非HIV陽性者よりも10歳早く肺がんを発症するリスクがあり、しかも発症後の予後は非HIV陽性者より悪いそうです。
更に、同じHIV陽性者でも煙草を吸う人は吸わない人に比べて5倍も肺がんの発症リスクが高いことが分かっているそうです。
なお、国立がん研究センターの資料によると、HIV陽性者に特定しない調査では、たばこを吸う人は吸わない人に比べて、男性で4.4倍、女性で2.8倍ほど肺がんになるリスクが高くなるそうです。
◇早期のHIV検査は救命的検査となる
以上のように、HIV陽性者にとってはエイズ指標悪性腫瘍から非エイズ指標悪性腫瘍へと死因リスクが変わりました。中でも肺がんが最も死亡者数が多くなっています。
先ほども説明したようにHIV陽性者においては10歳ほど加齢が早いため、肺がんを始めとする非エイズ指標悪性腫瘍の早期発見、早期治療はまさしく救命的となります。
同時に、CD4値が高い状態を維持することで肺がんの発症リスクが減ることも分かっているそうです。CD4値を高く保つためにも早期のHIV検査が大事と言えます。
今回はHIV陽性者と発がんリスクについて、国立感染症研究所のデータを参考にして記事にしてみました。
いつもながら結論として、「早期のHIV検査は救命的検査となる」と言えます。
早期のHIV検査はエイズ発症を防ぎ、救命的検査となります。
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