皮膚非結核性抗酸菌症はHIV感染による免疫力低下が原因で発症することがあります。
あまり聞きなれない皮膚疾患ですが、HIV感染とも関連があるので取り上げてみました。
また、非結核性抗酸菌症は皮膚以外の患部によってはエイズ指標疾患の1つでもあります。
◇皮膚非結核性抗酸菌症とは?
まず、抗酸菌について説明しましょう。抗酸菌とはマイコバクテリウム属に属する細菌グループの総称なんだそうです。名前の由来は塩酸酸性アルコールによる脱色素剤に抵抗性を示すことからこの名が付けられたのだとか。(以上ウィキペディアより)
つまり酸に対して抵抗力を持つ細菌なのですね。
それでこの抗酸菌の中には結核菌やハンセン病の原因となるらい菌も含まれます。この結核菌とらい菌を除く抗酸菌のことを、非結核性抗酸菌と呼びます。
この非結核性抗酸菌が感染して起こす皮膚疾患を皮膚非結核性抗酸菌症と言うわけです。非結核性抗酸菌は皮膚疾患以外にも発症することがあり、症状によってはエイズ指標疾患の1つとなります。
エイズ指標疾患としての非結核性抗酸菌症については最後に説明することにして、皮膚非結核性抗酸菌症から説明します。
まず具体的には非結核性抗酸菌には次のようなものがあります。
●マイコバクテリウム・マリヌム
●マイコバクテリウム・フォーチュイツム
●マイコバクテリウム・アヴィウム‐イントラセルラーレ・コンプレックス
●マイコバクテリウム・ケロネ
では、それぞれの菌に感染して発症するとどんな症状になるのか説明しましょう。
◇皮膚非結核性抗酸菌症の症状とは?
●マイコバクテリウム・マリヌム
マリヌム菌は魚や水の中に存在し、熱帯魚や水槽の水から感染します。だから水族館の職員や熱帯魚の業者などが多く感染します。
発症すると肘、膝、手足、指などに赤い点の斑点が出たり皮膚の固まり、しこり、潰瘍が出来ます。身体の一か所に固まって発症する場合もあるし、患部が全身に及ぶ場合もあります。
見た目はかなりひどい症状ですが、痛みはほとんどありません。
治療にはミノサイクリン、リファンピシン、オフロキサシンなどの抗生物質が使われます。
●マイコバクテリウム・フォーチュイツム
フォーチュイツム菌は土の中や水中にいて、そこから皮膚に小さい傷があると感染します。患部はお尻や両手、両足に多く発疹が出ます。
治療法はマリヌム菌と同じ、ミノサイクリン、リファンピシン、オフロキサシンなどの抗生物質が使われます。
●マイコバクテリウム・アヴィウム‐イントラセルラーレ・コンプレックス
アヴィウム‐イントラセルラーレ・コンプレックス菌は土、水、野鳥、家畜など広く存在する菌です。私たちの生活環境では24時間風呂、温泉などから多く感染します。
患部は腰や足などに多く、赤い斑点、しこり、潰瘍などが出てきます。一か所だけでなく多発することもあります。
治療には、クラリスロマイシン、イソニアジド、リファンピシンなどを併用します。
●マイコバクテリウム・ケロネ
感染場所、症状、治療法はフォーチュイツム菌と同じです。
冒頭にも書きましたが、皮膚非結核性抗酸菌は特別珍しい細菌ではありません。自然界に広く存在し私たちの身近にもいます。ただ、私たちが健康で免疫力が働いている時には感染しても発症することはまれです。
それがHIV感染によって免疫力が低下していると菌を退治することが出来ず、体内で増殖して皮膚疾患を発症します。むろん、HIV感染以外の理由による免疫力低下によっても発症することがあります。
例えば免疫抑制剤であるステロイド薬で治療を受けている患者が感染発症することがあります。従って皮膚非結核性抗酸菌症を発症したからただちにHIV感染だと言う訳ではありません。
しかしHIV感染起因も可能性がある以上、決して軽く見過ごすことが出来ない皮膚疾患です。
◇エイズ指標疾患としての非結核性抗酸菌症
さて、非結核性抗酸菌症は以下の場合エイズ指標疾患となります。
①全身に播種(はしゅ:広がること)した場合。
②肺、皮膚、頸部、肺門リンパ節以外の部位に発症した場合。
つまり皮膚非結核性抗酸菌症だけではエイズ指標疾患となりません。②であげた部位以外に、肝臓や脾臓、腹部リンパ節などが腫れて患部を作った場合にエイズ指標疾患と言います。
皮膚非結核性抗酸菌症が見た目がひどくてもほとんど痛みがないのに対し、エイズ指標疾患としての非結核性抗酸菌症は発熱、寝汗、体重減、下痢、腹痛などの様々な非特異的な症状を伴います。
どれも症状から病気を特定できるものではなく、HIV検査によって感染が分かります。
HIV感染による非結核性抗酸菌症の発症はCD4が50/μL以下で多いそうです。また、播種性非結核性抗酸菌症の95%以上はアヴィウム‐イントラセルラーレ・コンプレックス菌です。
エイズ動向委員会の発表によると、平成26年(2014年)に報告されたエイズ指標疾患の中では、発症件数全650件中、非結核性抗酸菌症は8件でした。⇒『エイズ指標疾患(平成26年)』
先ほども説明しましたが、皮膚非結核性抗酸菌症だけではエイズ指標疾患ではありません。しかし、万一あなたが皮膚科で皮膚非結核性抗酸菌症と診断されたら念のためにHIV検査を受けることをお勧めします。
必ずしも皮膚科の医師があなたのHIV感染までも考慮してHIV検査を勧めてくれるとは限りません。
早期のHIV検査はエイズ発症を防ぎ、救命的検査となります。
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