平成27年(2015年)のエイズ動向がエイズ動向委員会より発表になりました。
2016年8月8日に公開されたデータから、2015年のエイズ指標疾患について調べてみました。
◇2015年のエイズ指標疾患
当サイトですでに何度も説明した通り、HIV感染者がエイズ指標疾患のどれか1つでも発症したとき、エイズ患者と認定されます。
その指標となる疾患は全部で23種類指定されています。しかし、実際に発症した件数としてはかなり偏りが見られます。
今回は日本人と外国人と別々にデータを見てみましょう。
●日本人のエイズ指標疾患
指標疾患 | 2013年 | 2014年 | 2015年 |
ニューモシスティス肺炎 | 267 | 241 | 241 |
カンジダ症 | 146 | 135 | 117 |
サイトメガロウィルス感染症 | 70 | 75 | 55 |
HIV消耗性症候群 | 36 | 30 | 23 |
非ホジキンリンパ腫 | 20 | 6 | 22 |
HIV脳症 | 16 | 24 | 17 |
カポジ肉腫 | 15 | 17 | 13 |
進行性多発性白質脳症 | 10 | 12 | 11 |
活動性結核 | 12 | 9 | 10 |
クリプトコックス症 | 10 | 9 | 9 |
単純ヘルペスウィルス感染症 | 6 | 8 | 7 |
非結核性抗酸菌症 | 4 | 7 | 5 |
反復性肺炎 | 9 | 4 | 4 |
クリプトスポリジウム症 | 4 | 2 | 3 |
トキソプラズマ脳症 | 3 | 8 | 3 |
原発性脳リンパ腫 | 5 | 6 | 2 |
サルモネラ菌血症 | 1 | 2 | 1 |
リンパ性間質性肺炎 | 1 | 1 | 0 |
化膿性細菌感染症 | 3 | 4 | 0 |
コクシジオイデス症 | 0 | 0 | 0 |
ヒストプラズマ症 | 0 | 1 | 0 |
イソスポラ症 | 0 | 0 | 0 |
浸潤性子宮頸癌 | 0 | 0 | 0 |
合計(報告数) | 449 | 422 | 390 |
表1.日本人のエイズ指標疾患
2015年に新規に報告された日本人のエイズ患者は390人でした。そしてエイズ指標疾患の合計件数は543件でした。
エイズ指標疾患で報告の多かった上位3件を見るとこんな感じです。
1位 ニューモシスティス肺炎 241件(44.4%)
2位 カンジダ症 117件(21.5%)
3位 サイトメガロウィルス感染症 55件(10.1%)
となっています。この3疾患で実に全体の76%を占めています。過去のデータを見てもやはりこの3疾患が多く、この傾向はずっと変わっていないようです。
表1をグラフ化したものが、図1です。
図1.日本人のエイズ指標疾患
グラフで見るとニューモシスティス肺炎が断然多いのがよく分かります。ニューモシスティス肺炎の詳しい説明はこちらからどうぞ。
その他のエイズ指標疾患についてもこのページからご覧下さい。
●外国人のエイズ指標疾患
では次に外国人のエイズ指標疾患を見てみましょう。
指標疾患 | 2013年 | 2014年 | 2015年 |
ニューモシスティス肺炎 | 15 | 20 | 18 |
カンジダ症 | 7 | 13 | 9 |
サイトメガロウィルス感染症 | 6 | 2 | 5 |
クリプトコックス症 | 3 | 0 | 4 |
HIV脳症 | 0 | 0 | 4 |
活動性結核 | 6 | 5 | 4 |
HIV消耗性症候群 | 3 | 2 | 4 |
カポジ肉腫 | 1 | 3 | 2 |
単純ヘルペスウィルス感染症 | 2 | 0 | 1 |
進行性多発性白質脳症 | 0 | 0 | 1 |
トキソプラズマ脳症 | 2 | 0 | 1 |
非ホジキンリンパ腫 | 1 | 1 | 1 |
反復性肺炎 | 0 | 1 | 1 |
クリプトスポリジウム症 | 0 | 0 | 0 |
原発性脳リンパ腫 | 0 | 0 | 0 |
リンパ性間質性肺炎 | 1 | 0 | 0 |
非結核性抗酸菌症 | 1 | 1 | 0 |
化膿性細菌感染症 | 0 | 1 | 0 |
コクシジオイデス症 | 0 | 0 | 0 |
ヒストプラズマ症 | 0 | 0 | 0 |
イソスポラ症 | 0 | 0 | 0 |
サルモネラ菌血症 | 0 | 0 | 0 |
浸潤性子宮頸癌 | 0 | 0 | 0 |
合計(報告数) | 35 | 33 | 38 |
表2.外国人のエイズ指標疾患
2015年の外国人エイズ指標疾患の上位3疾患は次の通りです。
1位 ニューモシスティス肺炎 18件(32.7%)
2位 カンジダ症 9件(16.4%)
3位 サイトメガロウィルス感染症 5件(9.1%)
この3疾患で全体の58.2%を占めています。日本人と比べると割合に差はありますが上位3疾患は同じです。
表2をグラフにしたものが図2になります。
図2.外国人のエイズ指標疾患
エイズ指標疾患の上位3疾患はHIVに感染しなくても発症することがあります。決してHIV感染特有の病気という訳ではありません。
HIV感染以外の理由によって免疫力が低下した場合でも発症の可能性はあります。
とは言え、普通に健康な人の免疫力があればめったに感染する病気ではありません。その意味でこれらの感染症が見つかった場合には一応HIV感染を疑い検査を行うことが多いようです。
まぁ、図1、図2をご覧頂ければ当然の処置かなと思います。
●日本人のエイズ指標疾患累計(1985年~2015年)
では、最後に日本人のエイズ指標疾患を1985年からの累計でご覧頂きましょう。図3をご覧ください。
図3.日本人のエイズ指標疾患累計9434
1985年からの累計でも上位3疾患は2015年と同じです。
1位 ニューモシスティス肺炎 3,689件(39.1%)
2位 カンジダ症 1,966件(20.8%)
3位 サイトメガロウィルス感染症 1,009件(10.7%)
累計データもニューモシスティス肺炎が一番多いのですが、累計では39%、2015年では44%ですから近年増加傾向にあるのでしょうか。
例えば2000年の日本人エイズ指標疾患を見ると、ニューモシスティス肺炎がトップながら比率は33%です。
以上、今回は平成27年(2015年)のエイズ指標疾患データをご紹介しました。
あなたは決してエイズ指標疾患を発症することなく、少しでもHIV感染不安があればHIV検査を受けて下さい。抗HIV医療の進歩によって、エイズ指標疾患を発症して死ぬ患者は激減しました。
しかし、それでもなお生存率に差があり、また重大な後遺症が残ることもあります。エイズ発症前のHIV検査は救命的検査となります。
全国の保健所では無料・匿名でHIV検査が受けられます。どうしても忙しくて保健所や病院に行けない人は自宅で使えるHIV検査キットもあります。
早期のHIV検査はエイズ発症を防ぎ、救命的検査となります。
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