HIV感染症と皮膚疾患(1)
HIV感染者の90%は何らかの皮膚疾患を発症しています。
実は私がHIV感染症疑惑に陥ったのも、2つの皮膚疾患が原因でした・・・・
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『HIV感染に伴う皮膚疾患』を特集した雑誌、「Visual Dermatology」(秀潤社)
からの情報をあなたにもお届け致します。
HIV感染者の90%は何らかの皮膚疾患を発症するのだそうです。
いったいどんな皮膚疾患を発症するのか、同書からご紹介していきましょう。
そして、冒頭にも書きましたが私自身がかつてHIV感染の疑惑に悩んだ経験があるのですが、
その直接のきっかけは2つの皮膚疾患でした。
それは、全身の発疹と帯状疱疹(たいじょうほうしん)だったのです。
この2つは代表的なHIV感染による皮膚疾患です。
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◇HIV感染による皮膚疾患とはどんなもの?
HIV感染者に現れる皮膚疾患は、大きく分けると2種類あります。
●HIV感染による免疫不全が原因で感染する皮膚疾患
●HIVが直接の原因ではないが、HIV感染と重複感染が多く見られる皮膚疾患
この2種類です。
前者は因果関係、後者は前後関係と言えばいいでしょうか。
では、具体的にどんな皮膚疾患なのか、みていきましょう。
【HIV感染による免疫不全で感染する皮膚疾患】
| HIV感染による免疫不全で発症する皮膚疾患 | |
| 疾患名 | 主な症状 |
| 1.急性期皮疹 | ・ 直径が5mmから10mmくらいで、赤い膨れた丘疹が体中に出来ます。 そのまま放置しておいても1週間から2週間ほどで自然と治ります。 ・ |
| 2.帯状疱疹 | ・ 通常体の左右どちらか片側に発症します。ヒリヒリするような 痛みから始まり、やがて虫に刺されたような赤い発疹と水ぶくれが 出ます。 ・ |
| 3.単純ヘルペス | ・ 唇やその周辺、性器やお尻などに小さな水ぶくれが何個か集まって出来ます。感染した場所の近くのリンパ節が腫れて痛みを伴ったり、発熱や頭痛を伴うこともあります。 ・ |
| 4.伝染性軟属腫(水いぼ) | ・ 2mm程度の肌と同じ色か、白っぽい丘疹(ふくれのある発疹)で、 丘疹の中央に小さな凹みがあります。 ・ |
| 5.口腔内カンジダ症 | ・ 口の中のほおの粘膜部や舌が白い苔(こけ)状の物に覆われた ようになります。咽頭や食道にも発症することもあります。 ・ |
| 6.爪白癬(はくせん) | 足の爪が白くなります。 |
| 7.カポジ肉腫 | ・ 暗い紅色か紫色の平坦な斑点が段々と盛り上がり、肉腫となって下半身からお腹や腕、首、顔と色んな場所に次々と出ます。 気道や消化管の粘膜、リンパ節などにも出ます。 ・ |
| 8.尋常性白斑 | ・ 皮膚の色が抜けて白くなっていく病気です。 ・ |
| 9.乾癬(かんせん) | ・ 赤い斑点ができて、やがてかさぶたになって皮膚がボロボロになる病気です。 ・ |
(表1)HIV感染にる免疫不全で感染する皮膚疾患
私が体験した皮膚疾患は全身の発疹と帯状疱疹ですから、まさにHIV感染による免疫不全を
疑わせるものです。
しかも私は2つの皮膚疾患を連続で発症したため、間違いなくHIVに感染していると思い込み
ました。
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【HIV感染と重複感染が多くみられる皮膚疾患】
| HIV感染と重複感染の多い皮膚疾患(性感染症) | |
| 疾患名 | 主な症状 |
| 8.梅毒 | ・ 第1期は粘膜部や皮膚に丘疹(盛り上がった斑点)が出来ます。第2期には梅毒性バラ疹と呼ばれる淡い紅色の斑点が体の色んな場所に多発します。 ・ |
| 9.尖圭コンジローマ | 性器や肛門の周囲に先のとがった小さなイボが出来ます。 |
(表2)HIV感染と重複感染が多くみられる皮膚疾患
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梅毒と尖圭コンジローマの2つの性感染症はどちらもHIVとの重複感染が多い性感染症で、
かつ皮膚疾患を伴います。
ここにあげた症状が出たら梅毒、尖圭コンジローマの感染を疑うと同時に、HIV感染にも注意
した方がいいと思われます。
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◇皮膚疾患に対して特に注意すべき点は何か?
私が全身の発疹で大きな総合病院の皮膚科で診察を受けたとき、担当医はHIV感染の可能性に
ついては全く触れませんでした。
次に私が帯状疱疹を発症して、近くの皮膚科の専門医に診てもらったときも、HIV感染については
何も触れませんでした。
しかし、全身の発疹も帯状疱疹もHIV感染の免疫不全による皮膚疾患としては非常に多い皮膚
疾患です。本来であれば、一応はHIV感染の可能性を疑ってみるべき疾患だと思います。
『HIV感染に伴う皮膚疾患』の中で、東京医科大学皮膚科の斉藤万寿吉助教授、坪井良治主任教授は
次のように書かれています。
『HIV感染に伴う皮膚疾患を熟知することで、皮膚疾患からHIV感染を診断出来れば、HIV感染の
早期発見がもたらす個人的、社会的メリットは大きく、皮膚科医の果たす役割は大きい。』
両氏が敢えてこう提言されている裏には、皮膚科の医師がHIV感染の可能性を見逃して早期発見の
チャンスを逃している現実があるからです。
また、「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」(医薬ジャーナル)の中で、国立国際医療
センターの岡慎一エイズ治療・開発センター長も次のように書かれています。
『急性期に発熱、皮疹、リンパ節腫脹などの経験をする人が50%から90%いると言われています。
この時期が最も早くHIV感染症を診断出来るポイントであり、医療者が見逃さないための努力が
必要です。』
この提言もまた現状の医療現場がHIV感染の早期発見のチャンスを逃していることを示しています。
確かに、私やあなたの体に発疹が出たからと言って、HIV感染の可能性は低いかも知れません。
でも、いくら可能性が低くても、私やあなたがHIVに感染していないと言う保証はどこにもありません。
私が住んでいるような地方都市ではHIV感染者そのものが少ないのは事実です。
従って皮膚科の専門医が医療現場でHIV感染者を発見することも非常にまれでしょう。
でも、だからと言って、頭から完全にHIV感染の可能性が飛んでいるのはいかがなものでしょうか。
結局、あなたの身を守るのはあなたです。あなたが決断してHIV検査を受けるしかありません。
あなたの担当医から何も指示がなかったとしてもです。
HIVに感染しているかどうかは、検査を受けることでしか絶対に分からないのです。
保健所や病院が嫌なら、あなたの自宅で簡単にHIV検査を受ける方法もあります。
少しでも不安を感じたらそのままにせず、エイズ発症前に必ずHIV検査を受けて下さい。
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■この記事のポイント
○HIV感染者の90%は、何らかの皮膚疾患を発症している。
○HIV感染による免疫不全が原因で感染する皮膚疾患と、HIVとの重複感染が多くみられる
性感染症による皮膚疾患の2種類がある。
○皮膚科の医療現場ではHIV感染の可能性まで診察範囲が及ばないこともある。医師の
指示がなくても、あなたに不安があればHIV検査を自分の意思で受けた方がいい。
早期発見のチャンスを逃してしまうかも知れない。
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