HIV感染症とカンジダ症

カンジダ症はHIV感染の初期から、エイズ発症期まで、いろんな時期に現れます。


カンジダ症とHIV感染症はとても深い関係にあります。と言うのも、カンジダ症はあなたの免疫力が
低下してくると発症する感染症だからです。

ここではHIV感染による免疫不全の代表的な疾患であるカンジダ症をご紹介します。

・・◇カンジダ症ってなに?


そもそもカンジダ症とは、いったいどんな感染症なのでしょうか。

カンジダ症の病原菌はカンジダ・アルビカンスと言う真菌(カビの一種)です。

カンジダ・アルビカンスは常在菌であり、健康なあなたの皮膚や口の中、消化器、膣内にも
常在しています。

ちなみに、この常在菌、いったいどのくらいあなたの体に棲みついているかご存知ですか?
あなたがどんなにきれい好きでも、あなたの体には細菌がウヨウヨいるのです。

「人体常在菌のはなし」(集英社)によると、

●大腸などの消化管には何と100兆個の常在菌

●口の中には100億個の常在菌

●皮膚には1兆個の常在菌

がいます。

人間の細胞は60兆個と言われているので、人間は細胞の数よりも多い常在菌を持っている
ことになります。

しかし、その常在菌の全てが悪玉菌ではなく、中には人間の消化を助けるビフィズス菌のような
善玉菌もいます。

そして、悪玉菌が増殖して増えすぎないように、人間の免疫力が働いています。こうしたことから、
常在菌がいても私たちは健康で暮らせるのです。

カンジダ・アルビカンスもあなたの免疫力が正常なときは病気を起こすことはありません。

HIVに感染し、免疫力が低下してくると増殖を始め、異常に増えたときにカンジダ症として発症
するのです。

カンジダ症として症状が出るのは、

●性器のカンジダ症⇒特に女性に多く、膣カンジダ症と呼ばれる。

●口腔カンジダ症⇒HIV感染症の初期に見られる。

●肺・気管支・食道のカンジダ症⇒エイズ指標疾患に指定されている。

私が調べた限り、主にこの3つです。

では1つずつ見ていきましょう。

・・◇膣カンジダ症


膣カンジダ症は性行為感染するため性感染症の一種でもあります。でも、実際の感染ルートは
性行為感染よりも、免疫力低下による自己感染の方が多いのです。

膣カンジダ症の症状としては、性器から肛門にかけて強いかゆみが出ます。また、ヨーグルトの
ような白いおりものが大量に出ます。

または酒粕やチーズ、牛乳が固まったようなおりものが出ることもあります。そして外陰部や
膣に痛みがあったり、赤くはれたりします。排尿障害や性交痛がでる場合もあります。

一方、男性がカンジダ真菌に感染した場合には、あまり症状は出ません。感染に気が付かない
ことも多く、二次感染でパートナーにうつしてしまうこともあります。

主な症状としては、亀頭炎を起こして発疹が出て、痛かゆい感覚があります。小さな水泡が
出来ることもあります

・・◇口腔カンジダ症


口腔カンジダ症はHIV感染症後の早い時期から多く見られます。先ほども書いたようにカンジダは
常在菌として健康な人でも持っています。

「Visual Dermatology」(秀潤社)によれば、健康な人の約26%の口腔粘膜にカンジダ・アルビ
カンスが見つかったと言うデータもあるそうです。

HIVに感染して免疫力が低下してくると、口腔粘膜のカンジダが増殖し、やがて口の中や喉の
粘膜、舌や唇などに白い苔(こけ)状のものが散在して現れます。

これを放置しているとどんどん拡大し、口の中が広範囲に渡って白い苔で覆われてしまいます。

この白い苔は最初は簡単に剥離するのですが、口の内部の粘膜はただれて炎症を起こし、出血
しやすくなります。そして段々と白い苔は離れなくなっていきます。

口腔カンジダ症はHIV感染の初期症状に多く見られるため要注意です。

・・◇肺・食道・気管・気管支のカンジダ症


性器や口腔ではない肺や食道、気管などに発症するカンジダ症はエイズ指標疾患に指定されて
います。これらの部位のカンジダ症は放置していると致死的症状へと重症化することがあります。

食道のカンジダ症は食品を飲みこむことが出来なくなったり、吐き気や胸部の痛みが出ます。
肺や気管などのカンジダ症は重症化すると呼吸困難に陥ります。

こうした体の各部位に発症するカンジダ症の治療には、抗真菌剤が使われます。

・・◇口腔カンジダ症はHIV検査のきっかけ


これらのカンジダ症は免疫力が低下すると発症します。従って、HIV感染以外にも免疫力が低下
する要因があれば発症します。

例えば、

●風邪や過労、睡眠不足などの体調不良

●精神的なストレス

●膠原病や花粉症、喘息などの疾患でステロイドホルモン剤を使用すると免疫機能を抑制する
働きがあり、カンジダを発症することがある。

●何かの病気で抗生物質を使用すると、カンジダと競合している常在菌が死んでしまい、バランス
が崩れてカンジダ菌が増えてしまう。

以上のようなケースです。

ですから、カンジダ症の症状が出たからといって直ちにHIV感染と決めつける事は出来ません。

しかし口腔カンジダ症がHIV感染症に多く見られる症状であり、HIV検査を受けるきっかけになる
ことは間違いありません。

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