HIV感染からエイズ発症まで

HIVに感染してからエイズを発症するまでの概要を説明します。

・・◇もしもあなたがHIVに感染したら、その後のあなたはどうなってしまうのか?

一言で言ってしまえば、

あなたの免疫力がどんどん低下し、色んな病気(日和見感染症)にかかってしまう

と言うことです。

HIVと言うウイルスはあなたの免疫細胞に取り付き、免疫力を奪います。ここが他のウイルスとは違うHIVの最も恐ろしい点です。あなたや私が日頃健康に生きていられるのは免疫力が外敵から私達を守ってくれているからです。

その大事な免疫力を破壊してしまうのがHIVというウイルスです。


・・◇免疫力が低下すると、どうなる?


私達は誰も自分の免疫力なしには生きていくことはできません。免疫力に守られて生きているのです。

例えば、あなたが風邪をひいてもやがて治るのは、あなたの免疫力が風邪のウイルスを退治してくれるからです。医者がくれる薬は単に対処療法で症状を緩和するだけであり、ウイルスそのものを退治しているわけではありません。あなたの病気を治しているのはあなた自身の免疫力です。

よく、風邪をひいたときには睡眠や休養が大事だと言いますね。それは免疫力が落ちないようにするためなのです。

風邪に限らずウイルスが細胞に取り着いたら免疫細胞が攻撃して退治してくれるのですが、HIVは肝心の免疫細胞そのものに取り付くのでHIVを退治することが出来ません。

実際、あなたの周囲には目には見えないウイルス、細菌がうじゃうじゃいます。また、あなたの体内に元々棲みついているウイルス(常在菌と言います)も何億個といます。

「人体常在菌のはなし」(集英社)によれば、大腸などの消化器官内には100兆個、口腔内には100億個、皮膚には1兆個の常在菌がいるそうです。まさにウイルス、細菌だらけです。

こうしたウイルスや細菌がいてもあなたが健康に暮らせるのは、あなたの免疫力のおかげです。悪玉細菌が増えないようにしっかり見張りをし、外部から病原性の侵入者があれば退治してくれます。その免疫力が低下してきたらどうなるでしょう。

今までは大人しくしていた病原菌がどんどん数を増やし、暴れ出します。そしてあなたは色んな病気にかかってしまうのです。このように健康なときなら問題なく、免疫力が落ちてきたときに感染する病気のことを日和見感染症と言います。

かつてHIVが致死的疾患であったころ、多くの患者が亡くなったのはHIVによる免疫不全が原因で様々な日和見感染症にかかったからです。HIVそのもので命を落としたのではなく、免疫不全が回復出来なくて日和見感染症で亡くなったのです。


・・◇HIVに感染したら、すぐにエイズになる?


ただ、あなたがHIVに感染してもいっきに免疫力が低下する訳ではありません。何年もかけて徐々に低下していくのです。

HIVに感染しても、まだ免疫力がそれほど低下していない時期は全く症状が出ないので、あなたはHIVに感染していることに気がつきません。

この時期を無症候期と言います。

このように、HIVに感染しているけどエイズ発症までは至ってない人を、HIVキャリアと呼びます。

下の図(1)を見て下さい。あなたがHIVに感染すると、次の3つの段階が待っています。

HIV感染初期⇒無症候期⇒エイズ発症

この3つです。


(図1)HIV感染からエイズ発症

かつてはHIVに感染してからエイズ発症までは、5年から10年くらいと言われていました。しかし、近年ではHIV感染後3年から4年でエイズを発症する例が多くなっており、厚生労働省はじめ色んなメディアが警告しています。

上の図にも書いてありますが、

HIVに感染して気がつかなければ数年後にエイズを発症する

のです。

では、エイズ発症前にHIV感染に気が付いたらどうなるのでしょうか。実は、現代医学ではエイズ発症前にHIV感染が分かれば、治療によってエイズ発症を防ぐことが出来るようになりました。

先ほど出て来た、

HIV感染初期⇒無症候期⇒エイズ発症

と言う3段階の最後、エイズ発症までいかずに済むのです。

HIV感染初期⇒無症候期⇒HIV検査・治療⇒免疫力回復(エイズ未発症)

このような経過になります。

これは、1997年頃から始まった、ARTと呼ばれる多剤併用法の成果によります。ARTによってHIV感染者の体内でHIVが増えるのを防ぐことが可能になったのです。⇒『HIV・エイズの治療とは?』参照

この医学の進歩により、かつて致死的疾患であったHIV感染症は、今では慢性疾患に近づきつつあります。ただし、HIV検査による早期発見が重要であり、エイズを発症してしまってからの治療はより困難となります。

ところが厚生労働省エイズ動向委員会の報告では、2011年に新規にHIVに感染した人の合計は1,486人で、このうち467人が自分のHIV感染に気が付かず「いきなりエイズ」を発症しています。これは約3人に1人の割合です。

「いきなりエイズ」発症前であればエイズの発症を防ぐことも可能であったのに、非常に残念なことです。

以上、HIVに感染してからエイズ発症までについて説明してきました。ここであなたに一番知っておいて欲しいことは、HIVに感染することと、エイズを発症することは別だと言うことです。

何度も繰り返しますが、エイズ発症前に検査でHIV感染が分かれば、エイズ発症を防ぐことも可能です。早期のHIV検査が救命的検査であることを考えると、もしもあなたにHIV感染の不安があるなら、何も自覚症状がなくても念のためにHIV検査を受けることをお勧め致します。

保健所や病院に行く時間と手間はかかりますが、万一あなたがHIVに感染したときのことを思えば時間や手間を惜しんでいる場合ではありません。

ちなみに、「私はしっかり予防が出来ている」と思っているあなた。あなたの予防が完全かどうか、それはHIV検査を受ける以外に確かめる方法はありません。HIVに感染しても自覚症状は出ないので感染していないことを証明する方法はHIV検査しかないのです。

あなたがHIV検査に行くなら、もっともお勧めは保健所です。無料匿名だし、専門スタッフもいます。でも、どうしてもあなたが保健所や病院には行きたくない、行けないと思うならHIV検査キットを使うこともできます。

あなたの自宅で誰にも知られず、あなたの都合のいいときに検査ができます。2009年に検査キットを使ってHIV検査を受けた人は5万4千人もいました。(STD研究所のホームページによる)私も下の検査キットを利用しました。その利便性と匿名性には感心しました。

■「もしかして・・・」 HIV感染が不安になったら迷わず検査。早期発見が大事です。

・STD研究所 STDチェッカー TypeJ(男女共通)

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