HIV・エイズの症状>非ホジキンリンパ腫とは?

非ホジキンリンパ腫はエイズ指標疾患の1つです。しかし、ほとんどの人はどんな病気か知らないと思います。

今回は23種類あるエイズ指標疾患の1つ、非ホジキンリンパ腫について説明したいと思います。記事の最後に5年後生存率のデータも載せてあります。

一般的な医学知識としてお読みください。(あまり実用的なお役には立たないかも知れませんが)

◇非ホジキンリンパ腫とはどんな病気?

非ホジキンリンパ腫とは、一言でいうなら「悪性リンパ腫」の一種です。リンパ球にはB細胞、T細胞、NK細胞などの種類がありますが、これらのリンパ球が「がん化」する病気です。

エイズ指標疾患の1つであり、厚生労働省の調べでは、平成23年に新規エイズ患者として報告された473人のうち、非ホジキンリンパ腫を発症したのは18人でした。⇒『エイズ指標疾患・平成23年』

むろん、非ホジキンリンパ腫はHIV感染者以外でも発症する病気です。

「白血病・悪性リンパ腫がわかる本」(法研)によると、日本で1年間に悪性リンパ腫を発症する割合は人口10万人当り10人程度だそうです。

『白血病・悪性リンパ腫がわかる本』 法研

永井 正 著(自治医大血液科准教授)

これを総人口で単純計算すると毎年1200人くらいが悪性リンパ腫を発症していることになります。

また、同書によると、日本国内では悪性リンパ腫の約90%が非ホジキンリンパ腫なのだそうです。これも単純計算すると年間に1080人が非ホジキンリンパ腫を発症していることになります。

エイズ指標疾患として非ホジキンリンパ腫を発症する患者が年間18人ですから、圧倒的にHIV感染以外で発症するケースが多いと分かります。

ちなみに病名の由来を調べてみました。1832年、イギリス人医師トーマス・ホジキンが悪性リンパ腫の一種を発見します。これがホジキンリンパ腫です。

専門書を見ると「ホジキンリンパ腫」という病名で載っています。従って、「非ホジキンリンパ腫」とは、ホジキンリンパ腫の範疇には入らない悪性リンパ腫を指します。

◇非ホジキンリンパ腫とHIV

さて、ここからは非ホジキンリンパ腫を少し詳しく解説したいと思います。

まず、HIVに感染するとどうして非ホジキンリンパ腫を発症するのでしょうか。「HIV感染症 診療マネジメント」を参考にして説明したいと思います。

『HIV感染症 診療マネジメント』 医薬ジャーナル社

今村 顕史 著(都立駒込病院感染症科医長)

同書によれば、非ホジキンンリンパ腫はEBウイルスの感染が関与していることが分かっているそうです。EBウイルスは特別珍しいウイルスではなく、あなたも私も多くの人が感染を経験しています。

しかし、普通の健康状態であれば体内の免疫力によってウイルスの増殖を抑えることができ、健康上の問題は発生しません。

ところが、あなたもご存知のようにHIVに感染すると体内の免疫細胞が破壊され、だんだんと免疫力が低下していきます。普通なら問題にならないEBウイルスを駆除することができず、慢性的にEBウイルスがリンパ球に感染し増殖していきます。

そして「がん化」したリンパ球がどんどん増えていきます。非ホジキンリンパ腫の症状、及び治療法は後ほど説明します。

◇非ホジキンリンパ腫の種類

さて、非ホジキンリンパ腫は大きく分けて3種類に分離することが出来ます。再び「白血病・悪性リンパ腫がわかる本」からその3種類をご紹介します。

悪性リンパ腫の種類 リンパ球の種類 特徴
1.進行が遅いタイプ
濾胞性リンパ腫 B細胞 完治困難。
MALTリンパ腫 B細胞 ピロリ菌除去が有効な場合あり。
2.活動性の強いタイプ
びまん性大細胞型
B細胞リンパ腫
B細胞 このタイプが最も多い。
マントル細胞リンパ腫 B細胞 治療が難しい。
末梢性T細胞リンパ腫 T細胞
治療が難しい。
血管免疫芽球T細胞リンパ腫 T細胞
副腎皮質ホルモン剤が有効の場合あり、
未分化大細胞型リンパ腫 T細胞
ALK遺伝子の異常が多い。
鼻NK・T細胞リンパ腫 T細胞
化学療法・放射線治療を行う。
3.最も活動性が激しいタイプ
バーキットリンパ腫 B細胞 急速に悪化。化学療法が効くことも多い。
リンパ芽球性リンパ腫 B細胞、T細胞 急速に悪化。化学療法が効くことも多い。
成人T細胞白血病・リンパ腫 T細胞 治療は困難。


このように非ホジキンリンパ腫は分類されています。

B細胞、T細胞、NK細胞についてはこちらをご覧ください。

『ヒトの免疫機能とは?』

厚生労働省のエイズ関連ホームページによると、これらの非ホジキンリンパ腫のうち、エイズ指標疾患とされているのは、大細胞型(免疫芽球型)とバーキットリンパ種の2種類です。

バーキットリンパ腫はすぐに分かるのですが、大細胞型(免疫芽球型)が上の表でどれに相当するのかよく分かりません。大細胞型と免疫芽球型がそれぞれにあるので、どっちを指しているのか?

一応免疫芽球と文字の入った方に赤色を付けておきました。ここは私もちょっと自信がないのでその積りでお読みください。

 

◇非ホジキンリンパ腫の症状と検査は?

さて、説明が後回しになってしまいましたが、非ホジキンリンパ腫の症状とはいったいどんなものでしょうか。「白血病・悪性リンパ腫がわかる本」によると、以下のような症状が現れます。

●発熱・体重減・寝汗・倦怠感

●頭痛・吐き気・めまい

●腹痛・血便

要するに、体のどの部分のリンパ節が腫れるかによって症状が異なります。首や脇の下、足の付け根などのリンパ節が腫れると目で見て分かります。

しかし胃腸、肝臓、脾臓、脳神経など、外からは見えないし触れることも出来ない部分でリンパ節が腫れたり、がん化したリンパ球がしみ込んでいく場合もあります。

その為、悪性リンパ腫の検査は以下のような手順で行います。

1.第一段階

●血液検査
白血球数、赤血球数、血小板数、LDHなどを調べる。

●超音波検査
リンパ節の形や数、大きさなどを調べる。

●CT検査
造影剤を使って体内のリンパ節や脾臓の腫れを検査します。

この第一段階の検査だけでは非ホジキンリンパ腫かどうかを確定することは出来ません。

2.第二段階

●リンパ節生検
実際に腫れているリンパ節を切り取って病理検査を行います。これによってどのタイプのリンパ腫なのか分かります。つまり、この検査によって確定診断が下されます。

3.第三段階

第三段階では悪性リンパ腫がどこまで広がっているかを調べます。

●骨髄検査
悪性リンパ腫が骨髄に転移していないか調べます。

●PET検査
悪性リンパ腫細胞は、ブドウ糖をたくさん取り込む性質があります。この性質を利用してブドウ糖と似た構造のFDGという薬を使ってどこに悪性リンパ腫が出来ているかを検査します。

●脳脊髄液検査
脳脊髄へ悪性リンパ腫が転移していないか調べます。

●消化管内視鏡検査
胃腸に悪性リンパ腫の転移がないか調べます。

以上が非ホジキンリンパ腫の症状と検査の概要です。

◇非ホジキンリンパ腫の治療

当然ですが、HIV感染によるエイズ指標疾患として非ホジキンリンパ腫を発症した場合は、HIVに感染せずに発症した場合よりも治療は困難です。抗HIV治療を行いつつ、抗がん治療を行うことになるからです。

「HIV感染症 診療マネジメント」によれば、HIV感染と非ホジキンリンパ腫が合併した場合は、早期に抗HIV療法を開始します。

抗HIV療法を早期に開始する理由は2つあります。

●免疫力の回復を早め、その他の日和見感染症を防ぐ。

●HIV感染が進行すると抗がん治療に悪影響が出る。

この2つの理由です。

では、具体的にどんな治療をするのか、簡単に説明します。抗HIV療法についてはこちらをご覧ください。

『エイズの治療とは?』

『エイズ治療薬とは?』

ここでは非ホジキンリンパ腫の治療法について説明します。

非ホジキンリンパ腫を始めとする悪性リンパ腫の治療法は、化学療法、抗体医薬、放射線療法、移植療法の4つが主な治療法です。

●化学療法

抗がん剤を投与する治療法です。非ホジキンリンパ腫の場合は、CHOP療法が多くの場合に使われています。これは次の4つの薬の頭文字をとったものです。

・Cyclophosphamide – シクロフォスファミド。商品名:エンドキサン

・Hydroxydaunorubicin – ドキソルビシン、アドリアマイシンの別名。商品名:アドリアシン

・Oncovin - 商品名:オンコビン

・Prednisone または Prednisolone – ステロイド(プレドニゾロンなど)

●抗体療法

抗体医療とは、薬を使って悪性リンパ腫の細胞を破壊する治療法です。非ホジキンリンパ腫ではリツキサンという商品名の薬が多く使われています。

リツキサンはB細胞性リンパ腫の細胞表面にあるCD20と呼ばれる蛋白質に結合し、リンパ腫細胞を破壊します。その成分が抗体から出来ているため、抗体療法と呼ばれています。(私が調べた範囲でそう思います)

抗体療法は前述のCHOP療法と同時に行うこともあります。

●放射線療法

いろんながん治療でも行われている治療法です。放射線をがん細胞に照射して殺します。先に説明した化学療法と合わせて使われることもあります。

●移植療法

造血幹細胞移植とも呼ばれます。造血幹細胞とは血液を生み出す、血液の元になる細胞です。人間の体では主に骨髄に存在します。

造血幹細胞移植は患者本人の細胞を移植する場合と、他人の細胞を移植する場合の2通りがあります。

以上、非ホジキンリンパ腫の治療法を4つご紹介してきました。いずれの治療法も薬による副作用や手術による合併症のリスクがあります。

◇非ホジキンリンパ腫の生存率

最後に非ホジキンリンパ腫の5年後生存率をご紹介しておきます。専門書や医療サイトを探したのですが、HIV感染によるエイズ指標疾患として発症した場合の生存率データは見つかりませんでした。

ここではHIV感染以外で非ホジキンリンパ腫を発症した場合の生存率をご紹介します。(データは新潟県立がんセンターによる)

非ホジキンリンパ腫患者の生存率は、病期のステージと予後因子の数によって異なります。病期とは病気がどこまで進んでいるかを示すものです。

●病期ステージ

・Ⅰ期
体のどこか1ヶ所で、一つのリンパ節が腫れている。

・Ⅱ期
上半身もしくは下半身のどちらかで、2ヶ所以上のリンパ節が腫れている。

・Ⅲ期
上半身、下半身の両方のリンパ節が腫れている。

・Ⅳ期
悪性リンパ腫が臓器を侵していたり、骨髄や血液中に悪性細胞が広がっている。

●予後因子

1.年齢が60歳以上である。

2.臨床病期がⅢ期、Ⅳ期である。

3.血清LDHが正常値を超えている。

4.リンパ節以外へリンパ腫細胞が浸潤した場所が2ヶ所以上ある。

5.一般状態(Performance status)がPS2~PS4である。

・PS0
無症状で社会活動に制限を受けない。

・PS1
肉体労働は制限を受けるが軽い家事、事務労働は制限を受けない。

・PS2
身の回りのことは自分でできるが労働は出来ない。日中の50%以上は起きている。

・PS3
身の回りのことはある程度しか出来ない。しばしば介助を要する。日中の50%以上は就床している。

・PS4
身の回りのことに常に介助を要する。終日就床を必要とする。

●5年後生存率

予後因子による5年後生存率

予後因子の数 レベル 5年後生存率
0または1つ 73%
2つ L-Ⅰ 51%
3つ H-Ⅰ 43%
4つまたは5つ 26%

以上のような生存率になるそうです。

先ほども書きましたが、この5年後生存率は非HIV感染の場合です。エイズ指標疾患としての非ホジキンリンパ腫の生存率ではありませんので、その点ご注意ください。

なお、参考資料として「The Journal of AIDS Research Vol. 12 No. 3 2010」に掲載されていた、「HIV 感染症患者に発生する悪性腫瘍の臨床的特徴とマネージメントの注意点」をご紹介しておきます。

1.非HIV 感染症患者に比して進行が早い。

2.より若年で発生する。

3.抗腫瘍化学療法による副作用の頻度が高い。

4.治療の際の日和見感染症の増加。

5.抗HIV 薬との相互作用の問題。

こうした点が注意点だそうです。詳細を読みたあなたはこちらから。

『HIVと悪性腫瘍』

以上、記事が長くなりましたがエイズ指標疾患の1つである非ホジキンリンパ腫についてその概要を説明しました。

実際のところ、この記事の情報があなたのHIV感染予防やいきなりエイズの予防に役立つとは思えませんが、一般的な医療知識としてお読み頂ければと思います。

HIV・エイズの症状>非ホジキンリンパ腫とは?

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