エイズ指標疾患とは?

エイズ指標疾患とは何ですか?またエイズ患者の定義とは何ですか?

非常に基本的なことですが・・・あなたは正確に説明出来ますか?

HIVに感染している人が、23種類あるエイズ指標疾患をどれか1つでも発症したら、
その時点でエイズ患者と認定されます。

つまり、HIVに感染しているだけではエイズ患者ではありません。
これがHIVとエイズの違いです。

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◇エイズ指標疾患とは?

では、エイズ指標疾患とはどんな疾患でしょうか。具体的にみてみましょう。

エイズ指標疾患に指定されている23疾患を全部あげて見ます。

・・◆真菌症(カビなど)

1.カンジダ症(食道、気管、気管支、肺など)
2.クリプトコッカス症(肺以外)
3.コクシジオイデス症
4.ヒストプラズマ症
5.ニューモシスチス肺炎

・・◆原虫症

6.トキソプラズマ脳症(生後1ヶ月以後)
7.クリプトスポリジウム症(1ヶ月以上続く下痢を伴ったもの)
8.イソスポラ症(1ヶ月以上続く下痢を伴ったもの)

・・◆細菌感染症

9.化膿性細菌感染症
10.サルモネラ血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)
11.活動性結核
12.非結核性抗酸菌症

・・◆ウィルス感染症

13.サイトメガロウィルス感染症
14.単純ヘルペスウィルス感染症
15.進行性多巣性白質脳症

・・◆腫瘍

16.カポジ肉腫
17.原発性脳リンパ腫
18.非ホジキンリンパ腫
19.浸潤性子宮頸癌

・・◆その他

20.反復性肺炎
21.リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成
22.HIV脳症(認知症、または亜急性脳炎)
23.HIV消耗性症候群(全身衰弱、またはスリム病)

以上、23疾患がエイズ指標疾患です。日頃なじみのない病名ばかりで、病名を見ただけでは
どんな病気なのか、さっぱり分かりませんね。

どれも、健康で免疫力のある人なら、簡単に感染したり発症しない病気なのですが、HIVによって
免疫力が低下しているためにかかる病気です。

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◇実際には23疾患のうち、どの疾患が多いのか?

1980年代の初め、初めてエイズ患者がテレビなどで報道されるようになったとき、必ずといって
いいほどニューモシスチス肺炎やカポジ肉腫の患者が映し出されていました。

この2つはエイズ指標疾患でも非常に患者が多い疾患です。

では、2010年に報告された新規エイズ患者が実際に発症した疾患を見てみましょう。

下の表1をご覧下さい。

疾患名 件数 頻度
ニューモシスティス肺炎 284 42.7%
カンジダ症 132 19.8%
サイトメガロウイルス感染症 77 11.6%
HIV消耗性症候群 41 6.2%
活動性結核 22 3.3%
HIV脳症 20 3.0%
カポジ肉腫 16 2.4%
クリプトコックス症 15 2.3%
非ホジキンリンパ腫 15 2.3%
進行性多発性白質脳症 8 1.2%
反復性肺炎 6 0.9%
非結核性抗酸菌症 5 0.8%
単俊ヘルペスウイルス感染症 4 0.6%
トキソプラズマ脳症 4 0.6%
化膿性細菌感染症 4 0.6%
サルモネラ菌血症 4 0.6%
原発性脳リンパ腫 3 0.5%
クリプトスポリジウム症 2 0.3%
リンパ性間質性肺炎 2 0.3%
浸潤性子宮頸癌 1 0.2%
コクシジオイデス症 0 0.0%
ヒストプラズマ症 0 0.0%
イソスポラ症 0 0.0%
合計 665 100.0%

表1 エイズ指標疾患分布(2010年エイズ動向委員会報告による)

表1をご覧頂いてお分かりのように、報告された指標疾患の合計は665件でした。

2010年に報告された新規エイズ患者の件数は469件でした。従って、1人のエイズ患者が
複数の指標疾患を発症したものと思われます。

特に発症件数の多い上位10疾患についてグラフにしてみました。

・・◇2010年 エイズ指標疾患分布グラフ

1:ニューモシスティス肺炎
2:カンジダ症
3:サイトメガロウイルス感染症
4:HIV消耗性症候群
5:活動性結核
6:HIV脳症
7:カポジ肉腫
8:クリプトコックス症
9:非ホジキンリンパ種
10:進行性多発性白質脳症

グラフにしてみるとよく分かりますが、上位の3疾患で全体の71.4%、ほぼ3/4を占めて
います。

では、この上位3疾患について、どんな疾患か説明しておきます。

・・ニューモシスチス肺炎


以前は「カリニ肺炎」と呼ばれていましたが、今でははこの名前に変わっています。

カリニという原虫が引き起こす肺炎だと思われていたのですが、実際の原因は真菌である
ことが分かったためです。エイズ指標疾患の中では最も多く見られる疾患です。

主な症状は呼吸困難や発熱、痰(たん)を伴わない咳(せき)などです。何も治療をしないと
致死的です。治療には抗生剤を使用します。

・・カンジダ症


カンジダという真菌(カビ)が引き起こす病気です。カンジダはもともと健康な人の体内にも存在して
いることがあります。免疫力が通常であれば、別に何の症状も出ません。

症状としては皮膚、口の中、食道、気管、肺などに炎症を起こします。ただ し、エイズ指標疾患と
しては、食道、気管、肺に限定されています。

治療としては、抗真菌薬を投与します。

・・サイトメガロウィルス症候群


ヒトヘルペスウィルス5型というウィルス感染によって発症します。症状としては、肺炎、網膜炎、
胃腸炎、脳炎などをひきおこします。

治療には抗ウイルス薬を投与しますが、長期化することが多いそうです。
治療せずに放置すれば死に至ります。

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◇エイズ指標疾患を発症するとどうなる?

カンジダなどは健康な人でも常在菌として体内に病原菌を持っています。しかし免疫機能が
働いているうちはカンジダ症として発症することはありません。

HIVによって免疫機能が破壊されているゆえに何でもないような弱い病原菌でも致命傷となる
のです。

かつてHIV感染症が致死的疾患であった頃はエイズを発症すると2年以内に死至るケースが
ほとんどでした。

それは免疫力を回復させることが出来ないため、病状が悪化、重症化するのを防げなかった
からです。

しかし、1997年頃からHAART(多剤併用法)と呼ばれる抗HIV治療によって、免疫力を回復
させることが可能になりました。

現在ではエイズを発症して亡くなる患者は激減しています。

ただし、早期発見、早期治療がHIV感染症にも大事であり、エイズ発症前の治療の方が、
指標疾患を発症してから治療を開始するより生存率が高くなっています。

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以上がエイズ指標疾患の説明です。

なお、HIVに感染していない人が23種の指定疾患のどれかを発症しても、それをエイズ患者とは
言いません。

あくまでもHIV感染による免疫不全が原因で発症した場合をエイズ患者と言います。

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■この記事のポイ ント
○HIV感染者が、23種類あるエイズ指標疾患のどれか1つでも発症すると、エイズ患者となる。

○エイズ指標疾患の中でも、ニューモシスティス肺炎、カンジダ症、サイトメガロウイルス感染症
の上位3疾患で全体の71.4%、ほぼ3/4を占めている。

○かつてはエイズ指標疾患を発症すると非常に高い確率で死に至っていたが、現在では抗HIV
医療によって免疫力を回復させることが出来、死ぬことは少なくなった。

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