エイズが登場して30年。未だにHIV感染が完治出来ない理由とは?


HIV感染症はかつては致死的疾患で、感染してから数年後にエイズを発症して死に至る病気でした。感染者の命を救う有効な治療法はなかったのです。

しかし、現在では完治出来ないまでもエイズを発症して死ぬことは激減しました。いったい、どんな治療を行うのでしょうか?

◇HIV感染症が完治出来ない理由とは?

HIVが発見されてもう30年が経とうとしています。しかし、未だにHIV感染症を完治させる薬はありません。

世界中でHIV、エイズの研究が行われているにも関わらず、こうした状況なのです。いったい、その理由はどこにあるのでしょうか?

HIV感染症が完治出来ないその理由とは、

HIVが免疫細胞を破壊して、免疫力を低下させるため

なのです。

実は、HIVに限らずウイルスに感染した時に使用する薬は、直接ウイルスを攻撃してやっつける薬ではありません。

ちょっと前、新型インフルエンザが大流行したときに話題となった、タミフルと言う薬がありましたね。

あのタミフルもインフルエンザウイルスを攻撃する訳ではありません。どんな働きをするかと言えば、あなたの体内でインフルエンザウイルスが増えるのを防ぐ働きをする薬なのです。

では、なぜそれが治療薬として有効かと言えば、薬でウイルスが増えるのを防いでいる間に、あなた自身の免疫力がウイルスを退治して、それで病気が回復していくのです。

そう、インフルエンザウイルスを直接攻撃して退治するのは、タミフルではなくあなたの免疫力なのです。

『HIVが破壊する免疫機能とは?』でも詳しく説明しましたが、あなたの血液中にあるリンパ球に何種類かの免疫細胞があり、それらがウイルスを攻撃して退治するのです。

ところが、HIVの場合は、この免疫細胞そのものに取り付き、破壊していきます。言わばHIVは自分の天敵を破壊しながら勢力拡大を図るのです。これがHIVの恐ろしいところです。

従って、あなたが一度HIVに感染してしまうと、現在のところ完全にHIVを駆除する方法はありません。

何しろ、本来なら外敵であるHIVを駆除する働きの免疫細胞が破壊されてしまうので、どうしようもないのです。

もし、何からの新薬が出来てHIVを攻撃することが出来たとしても、HIVは免疫細胞の中に感染するので、免疫細胞までいっしょに破壊されてしまいます。これでは治療になりません。

このHIVの特殊性のために、エイズ登場から現在まで30年が経過しても、完治出来ないままなのです。

◇では、どうやって治療するのか?

今お話したように、一度あなたの体内に侵入してしまったHIVを完全に駆除することは出来ません。しかし、駆除出来ないまでも、ある程度増えることを防ぐことは可能になりました。

HIVは自分のコピーを作りながら免疫細胞を破壊していきます。従って、HIVが増えるのを防ぐことが出来れば、それは免疫細胞の破壊を防ぐことになり、免疫力低下も防げるのです。

これによって、HIVに感染してもエイズ発症を防ぐことが出来るようになったり、仮にエイズを発症しても免疫力の回復が可能になりました。

では、具体的にはどうやってHIVの増殖を防ぐのか、図1をご覧下さい。

『HIV増殖のメカニズム』でも詳しく説明しましたが、HIVは免疫機能の中枢細胞である、CD4陽性T細胞に取り付きます。

そして、CD4陽性T細胞が持っている増殖機能を巧みに利用して、自分のコピーを作っていきます。

この、CD4陽性T細胞の中で自分のコピーを作る工程はいくつかに分かれているのですが、抗HIV薬とは、この工程を阻害する、じゃまする薬です。


図1.抗HIV薬の働き

抗HIV薬は、主に次の3種類に分類されます。その働きを説明しますので、図1を見ながら読んで下さい。

●核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)

NRTIはHIVのコピー工程の3番を阻害します。3番の工程とは、HIVが自分の遺伝子情報を、感染したCD4陽性T細胞に送り込む工程です。

もう少し詳しく説明すると、HIVは自分のRNA遺伝子を逆転写酵素でDNAに変えて、CD4陽性T細胞のDNAにもぐりこませようとします。

なぜそんなことをするかと言えば、HIVは自分の力だけではコピーを作れないため、CD4陽性T細胞の持っている増殖機能を巧みに利用してコピーを作るのです。

つまり、CD4陽性T細胞のDNA遺伝子の中に自分のDNA遺伝子情報を入れて、CD4陽性T細胞に自分のコピーを作らせるのです。

HIVが逆転写酵素でRNAからDNAを作ろうとするとき、NRTIはDNAの中に組み込まれます。この余計なNRTIが組み込まれたために、いわばHIVの純正DNAを作ることが出来なくなります。

その結果、その後の増殖プロセスに進むことが出来なくなり、HIVのコピーが作れません。

この薬が初めて抗HIV治療に使われた薬だそうです。名前に「核酸系」とあるのは、核酸の構成物質を使っているからです。


●非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)

NNRTIもコピー工程の3番を阻害します。阻害する方法が異なるだけで、目的はNRTIと同じです。この薬はHIVの逆転写酵素と結合し、逆転写酵素本来の役割である、RNAからDNAを作る機能を妨害するのです。

この薬は核酸を基本にしていないので、「非核酸系」と呼ばれています。


●プロアテーゼ阻害薬(PI)

PIは、コピー工程の5番を邪魔する薬です。HIVは宿主細胞であるCD4陽性T細胞のDNAを巧みに利用して自分のコピー部品をどんどん作らせ、それを宿主細胞内で組立てます。これが5番です。

この薬は、HIVの部品を作る工程5番を妨害し、HIVの部品を作らせないようにします。

当然ながら、HIVのコピーを組み立てる部品が全部揃わなければ、新しいHIVを組み立てることは出来ません。結果的にHIVの増殖を防止することが出来ま す。


●インテグラーゼ阻害薬(INSTI)

INSTIはHIV遺伝子の宿主遺伝子への「組み込み」を担う酵素インテグラーゼを阻害する薬です。結果的にHIVは自分のコピーを作ることができません。


●侵入阻害薬

この薬はHIVがCD4陽性リンパ球に感染するとき、CCR5という受容体と結合するのを阻害します。つまり、コピー工程の1番を阻害します。結果的にHIVはCD4に感染することができず、自分のコピーを作れません。

◇ARTとは?

これらの薬って、けっこう大きな錠剤なのですね。1個の大きさが、だいたい1.5cmから2cmくらいあります。実物がご覧になりたい方は、こちらからどうぞ⇒「抗HIV薬の種類」

こういった抗HIV薬は、一番最初に書いた通り、HIVがコピーを作るのを色んな方法でブロックする薬です。直接HIVを攻撃して駆除する薬ではあ りません。

実際の治療には、これらの坑HIV薬を何種類か混ぜ合わせて患者に投与します。HIVは容易に変異を繰り返すウイルスなので、1種類の薬ではすぐに耐性が出来て効かなくなってしまうからです。

ARTと呼ばれるこの坑HIV療法は、薬を何種類も使うため、多剤併用法カクテル療法とも呼ばれています。(ART=Anti-Retroviral Therapy)

ARTによって早期にHIV感染が分かればエイズの発症が防げるようになりました。あるいはエイズ発症後においても免疫力の回復が可能となり、日和見感染症の治療が可能となったのです。

ただ、残念なことにそれでも体内のHIVを完全に除去することは出来ず、完治には至りません。それでもHIV感染症は致死的疾患から慢性疾患に近づきつつあります。まさに早期のHIV検査は救命的検査となっています。

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