過去にHIV感染症を完治させる治療法やワクチンの開発情報など、世界中の研究がニュースで流れました。

今回もHIV感染を完全にブロック可能なワクチンの開発情報です。

エイズ発見から35年以上経ってもなおワクチンの開発に成功した研究者はいません。

今回は本物でしょうか?

オリジナルニュースはこちらです。

『年間210万人が感染するHIV、ついに完全なる予防法を発見か…エイズ撲滅に光明』

【今回のテーマと目次】

●テーマ:HIVのワクチンは完成するのか?

1.HIV感染症の治療・予防が難しい理由

2.複数の抗体投与でHIV感染を予防する

3.まとめ

1.HIV感染症の治療・予防が難しい理由

まず最初に、なぜHIV感染症の治療、予防が難しいのか、その理由をおさらいしておきたいと思います。

1980年代の最初にアメリカで初のエイズ患者が報告されました。

それから約15年くらいは、まさにHIV感染症は致死的疾患でした。

HIVはいったん感染すると除去することは不可能であり数年先にエイズを発症し、そこからほぼ2年以内に死に至る恐怖の感染症でした。

世界中の医療研究者が治療法を見つけようと苦心しましたが、なかなか成功しなかったのです。

その最大の理由は、HIVと言うウイルスが容易に変異を繰り返すからです。

苦労して新薬を開発しても、その薬が効かないウイルスにさっさと姿を変えてしまうのです。

だからHIVと言うウイルスが特定出来たにもかかわらず、15年以上も有効な治療法なしで多くの患者が尊い命を失ったのです。

しかし、1997年頃、ARTと呼ばれる多剤併用法が開発されました。

1種類の薬では容易に耐性を獲得するHIVも、3種類同時に薬を使うと耐性を得ることが出来ないと分かったのです。

このART導入によって、致死的疾患であったHIV感染症は、現在では慢性疾患に近いとまで言われています。

HIV感染は早期に発見されればエイズ発症を防ぎ、仕事も家庭生活も続けることが可能になったのです。

HIV感染者累計と病変死亡数

上のグラフは日本国内におけるHIV感染者の病変死亡数の推移です。

1997年のART導入以降は死亡者が激減しています。

実は、今回お話しするHIVのワクチンは、今お話したARTの考え方と全く同じ理屈で開発されたものなのです。

 

2.複数の抗体投与でHIV感染を予防する

HIVのワクチンが現在に至るまで完成していないのも、HIVが変異しやすいウイルスであるためです。

せっかく開発したワクチンもHIVが姿を変えることで有効性が発揮できないのです。

そこで今回ニュースとなったHIVのワクチンは、複数の抗体を同時に投与することでHIVがワクチンに対して耐性を持つことを防ごうとするものです。

基本的な考え方はARTと全く同じです。

このワクチンンの研究をしているのは2チームあります。

●アメリカのベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのDan Barouch氏が率いたチーム

2種類の広域中和抗体、PGT121とPGDM1400を使ったワクチンを開発。

 

●Sanofi社のGary Nabel氏らが米国立衛生研究所(NIH)の研究者らと共同チーム

3つの広域中和抗体、VRC01、PGDM1400、10E8v4の機能を併せ持つ単一の抗体を遺伝子組み換え技術を用いて作製。

どちらの研究もサルを使った実験では大成功だったそうです。

新開発されたワクチンを打ったサルにはHIVは感染することが出来ませんでした。

むろん、サルに対する実験でうまくいっても、それが人間にも使えるレベルで完成するまでにはまだまだ時間もかかることでしょう。

 

3.まとめ

現在、日本国内では毎年約1,500人くらいのHIV感染者が報告されています。

そして世界に目を向けると毎年210万人が新規にHIVに感染しています。

確かにARTによって死亡者数は激減しましたが、それでもいったんHIVに感染すれば完治させることは出来ません。

今回ご紹介したワクチンによってHIVに感染せずに済むようになればどんなに素晴らしいことでしょう。

しかし、まだサルを使った実験レベルの成功に過ぎません。

どのくらいHIV感染予防効果があるのか、どのくらいの期間有効なのか、どのくらいの費用で可能なのか。

HIVのワクチンが、インフルエンザのワクチン並みになるには、まだまだハードルがいくつもあることでしょう。

しかし、きっとそう遠くない将来に、必ずやHIVの完全予防、完治への道が拓けるものと信じています。

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