淋菌感染症(淋病)は20代から30代の男性に多い性感染症です。特に性風俗からの感染が目立ちます。


淋菌感染症は、かつては梅毒と並んで性病の代名詞のように流行していました。しかし、決して過去の病気ではなく、現在もなお感染者の多い性感染症です。

特に男性のあなたは、性風俗からの咽頭感染にご注意下さい。

◇淋菌感染症の名前の由来

あなたは淋菌感染症の名前の由来をご存知ですか?私が学生の頃、女遊びに狂っていた友人に

「気をつけないと、淋しい病気をもらうぞ~!」

なんてからかっていました。名前のごとく、「淋しい」病気だと思っていました。

淋菌は感染力の強い細菌なので、淋病にかかると周囲の人がみんな避けるようになって、ひとりぼっちの淋しい生活になってしまう、そんなイメージを持っていました。

でも、実際の名前の由来はそうではないのですね。

「淋」と言う漢字の意味は、淋しいの他に、「したたる」と言う意味があるのです。例えば、閉め忘れた水道の蛇口から、水滴が「ポタリ・・・ポタリ・・・ポタリ・・・」と、一滴ずつ落ちるようなイメージです。

淋菌感染症になると、尿道炎のために尿道が狭くなり、しかも激しい痛みがあるため、オシッコをするときに尿の勢いが低下します。そのときの排尿のイ メージが、ポタリ・・・ポタリ・・なのです。

そこから「淋病」という病名がつけられました。

◇淋菌感染症とは、どんな性感染症?

HIVが姿を現してからまだ30年足らずなのに比べ、淋菌は紀元前の太古から世界中に記録が残る、まさに古典的な性感染症です。

日本でもかつては梅毒と並んで最も感染者の多い性病でした。現在もなお、20代、30代の男性を中心に感染者が多く、特に性風俗を感染源とする咽頭感染が増えています。

淋菌に感染すると、男性は尿道炎を起こして自覚症状が出ます。しかし、女性の場合には自覚症状が出ないことも多く、知らない間に重症化して不妊症などの原因になることもあります。

淋菌感染症は抗生物質で完治出来る性感染症です。

◇淋菌感染症の病原菌は?

ナイセリア・ゴノローエ(Neisseria gonorrhoeae )と言う細菌で淋菌とも呼ばれます。旧約聖書にも症状が出てくるほど太古の昔から存在してるしぶとい細菌です。

淋菌の大きさは0.6μから1.0μ(1μは1mの百万分の1)です。こちらに800倍に拡大された写真がありますので、関心のある方はどうぞ。⇒淋菌の写真

淋菌は非常に弱い細菌で、患部の粘膜から離れると数時間の内に感染性を失い、また直射日光や温度の変化、乾燥にも弱く消毒剤でも簡単に死滅するそう です。

◇淋菌感染症の症状は?

淋菌感染症の潜伏期間は2日から7日ほどです。

①男性の症状
淋菌に感染すると尿道炎を起こすことが多く、次のような症状が現れます。

●オシッコをするときに痛みがあり、黄色い膿が出る。

●尿道口が赤くなることがある。

●睾丸が腫れる。

●オシッコが出にくくなる。

男性が淋菌に感染すると自覚症状が出ることが多く、感染に気がつかないケースは少ないとされています。

男性は尿道炎から副睾丸炎、前立腺炎と重症化することもあり、早期発見、早期治療が大事です。


②女性の症状
淋菌に感染した女性の自覚症状としては次のようなものです。

●おりものの増加、性器のかゆみ

●黄色い異臭のある膿のようなおりもの

●軽い下腹部痛

●排尿時の痛み

しかし、こうした自覚症状が出なくて、自分が淋菌に感染したことに気がつかないケースもあります。あるいは自覚症状があっても軽いため、そのまま放置するケースもあります。

女性の場合は感染が進行すると、子宮頸管炎から子宮内膜炎、卵管炎と重症化し、不妊症や子宮外妊娠、早産、流産の原因となることがあります。


③咽頭感染の症状
男女を問わず、淋菌の咽頭感染が増えています。これはオーラルセックスの普及に伴う感染拡大と言われています。

喉が腫れたり痛みが出たりしますが、性器感染よりも自覚症状がなく、自分の感染に気がつかないことが多いそうです。あるいは風邪の症状と間違うことも多いようです。

◇淋菌感染症の感染ルートは?

淋菌感染症の感染ルートは2つで、性行為感染と母子感染です。

性行為による感染確率は非常に高く、淋菌感染者とコンドームなしで性行為をした場合、1回当たりの感染確率は30%から50%と言われています。

また、オーラルセックスによる咽頭感染も非常に増えています。

ちょっと古いデータですが、2001年に福岡市のSTD研究会が調べた調査結果があるのでそれをご紹介しましょう。(性感染症STD 南山堂より)

図1.男性の淋菌性尿道炎の感染ルート(n=164)


図1を見てお分かりの通り、淋菌の感染は性風俗が60%を占め、とりわけファッションヘルスの比重が大きいことが分かります。

これは風俗店の女性が喉に淋菌を感染したままオーラルセックスを行った結果と思われます。この推測が正しいことは、次の図2で証明されます。

図2.男性の淋菌性尿道炎 性交形態別感染比率(n=164)


最も感染比率が高かったのは、オーラルセックスのみという性行為の形態、すなわちファッションヘルスで感染しています。膣への性行為のみよりも比重が高いのですから驚きです。

このデータを見ても分かるように、性風俗によるオーラルセックスが、淋菌感染症の喉への一大感染源となっていることが分かります。

◇淋菌感染症の検査方法は?

私が専門書や医療サイトで調べた限り、淋菌の検査に血液検査(抗体検査)はないようです。

男性であれば尿、または性器からの分泌物(膿うみ)、女性であれば膣分泌物を採取し、その検体の中に淋菌が含まれるかどうかを検査します。

では、以下に代表的な淋菌の検査方法をご紹介します。

■グラム染色・鏡検法
グラム染色法は、1884年、ハンガリーの科学者、ハンス・グラムによって発明されました。

淋菌を含んだ検体に色素で染色し、それを光学顕微鏡で観察して 淋菌が存在するかどうか、調べます。

検査が短時間で可能なため、迅速検査として使われています。ただ、検体に含まれる淋菌の量が少ないと検出できません。また、検出精度にバラツキが出 やすいという欠点もあります。

■淋菌培養法
淋菌を採取して培養し、増殖させて光学顕微鏡で調べるやり方です。ただし、淋菌は感染力は強いのですが、菌そのものはとても弱く、検体採取から短時間に手 際よく処理をしないと途中で死んでしまいます。この方法は手間と時間が非常にかかるため、あまり使われていないそうです。

■核酸増幅検査法
●PCR(Polymer Chain Reaction)法
PCR法は、淋菌のDNA(核酸)を人工的に増幅させて検査する方法です。最大の長所は菌の数が少なくても高精度に検出が出来ることです。

1つのDNAから2つのDNAを作り、2つが4つに、4つが8つにと、2の2乗で増幅させることが可能です。クラミジア感染症の検査にもPCR法が使われています。

ただ、欠点として咽頭感染の検査には使えません。喉にはもともと淋菌の親戚にあたるナイセリア属の常在菌がいて、それらの常在菌のために偽陽性が出 ることがあるのです。

●SDA(Strand Displacement Amplification)法
PCR法とは原理が異なりますが、核酸増幅検査の1種です。この検査方法の長所は、クラミジア感染症と淋菌感染症の同時検査ができること、咽頭検査にも使 えることがです。

検査の感度、精度もPCR法と同等か、それ以上です。

●TMA(Transcription Mediated Amplification)法
SDA法同様、クラミジア感染症と淋菌感染症が同時に検査出来ます。また、咽頭感染の検査も可能です。

◇淋菌感染症の治療は?

淋菌感染症の治療については、日本性感染症学会が作成する、

「性感染症 診断・治療ガイドライン 2008」
に淋菌感染症による発症別の治療薬が紹介されています。あまり詳しい話は私たち素人にはよく分かりません。サラリとどんな薬を使うのか、イメージだけつかんで下さい。

◇淋菌性尿道炎及び淋菌性子宮頸管炎
○セフトリアキソン・・・静注1.0g単回投与
○セフォジジム・・・・・静注1.0g単回投与
○スペクチノマイシン・・筋注2.0g単回投与

◇淋菌性精巣上体炎(副睾丸炎)及び淋菌性骨盤内炎症性疾患
○セフトリアキソン・・・静注1日1.0g×1~2回を1日~7日間投与
○セフォジジム・・・・・静注1日1.0g×1~2回を1日~7日間投与
○スペクチノマイシン・・筋注  2.0g単回投与 3日後に両腎部に2.0gずつ追加投与

◇淋菌性咽頭感染
○セフトリアキソン・・・静注1.0g単回投与
○セフォジジム・・・・・静注1.0g又は2.0g×1~2回を1日~3日投与

◇播種性淋菌感染症(主に女性でまれに見られる、全身に淋菌が拡散する症状)
○セフトリアキソン・・・静注1日1.0g×1回を3日~7日間投与
○セフォジジム・・・・・静注1日1.0g×2回を3日~7日間投与

◇淋菌性結膜炎
○セフトリアキソン・・・静注1.0g単回投与
○セフォジジム・・・・・静注1.0g単回投与
○スペクチノマイシン・・筋注2.0g単回投与

かつて淋菌感染症にはペニシリンという抗生物質がとてもよく効いたのですが、使い始めて20年後に耐性ができて無効になってしまいました。

その後も キノロン系薬、テトラサイクリン系薬、経口セフェム系薬などが耐性化で問題になっているそうです。

淋菌感染症の治療では大事なことが3点あります。

1.症状がなくなったからといって、かってに薬を止めない。
医師の指示通りにしないと、淋菌が残っていれば再発します。

2.薬を飲んだり、飲まなかったりは絶対に避け、医師の指示通りに服用する。
途中で薬が途切れると、体内で薬の濃度が落ちて耐性が出来ることがあり ます。一定の濃度を保つことが大事なのです。耐性が出来てしまうと薬が効きません。

3.ピンポン感染を避ける。
特定のパートナーがいる場合には、いっしょに検査を受け、いっしょに治療を受けるのが望ましいのです。そうしないと、い つまでたってもどちらか一方が感染してしまいます。

以上が淋菌感染症は、およそ1週間程度の治療薬投与で治ります。従って、重症化する前にぜひ検査を受け、 症状が軽いうちに完治させてください。

◇淋菌感染症の動向は?

淋菌感染症の感染動向を図3にてご覧下さい。

◇感染者の推移 平成15年(2003年)から平成29年(2017年)までの15年間 定点報告データ使用

淋菌定点報告
図3.淋菌感染症の動向

このデータは、全国に970ヶ所ほど指定されている医療機関において淋菌感染者が見つかった件数を集計したものです。従って、指定病院以外で診察や治療を受けた淋菌感染者は含まれていません。

淋菌感染症の場合、身近な泌尿器科や婦人科で診てもらうことも多く、実際の感染者数はこのデータからは分かりません。

そこで、厚生労働省が1998年から2002年までの5年間に渡って別に動向調査を行っています。その結果によると、

●人口10万人当たりの年間罹患率
男性⇒160人
女性⇒51人

となっています。

こんな計算が成立するのかどうか知りませんが、単純に人口1億人当たりに換算すると、淋菌感染者の数は20万人/年となります。でも、実際はもっと多いような気がするのですが。

◇淋菌感染症の年齢層は?

図4は淋菌感染者の年齢層別分布です。

◇年齢層別感染者  平成29年(2017年)における年齢層別感染者 定点報告データ使用

淋菌年代別
図4.淋菌感染者の年齢層

この図4を見ると一目瞭然です。20代、30代の男性に多くの感染者が集中しています。

先ほどの感染ルートのグラフとこの年齢層のグラフを重ねてみると、20代、30代の男性が性風俗で淋菌感染している構図が見えてきます。

特にファッション系のヘルスで咽頭感染するケースが多く見られます。

もしコンドームなしのオーラルセックスをする風俗嬢がいたら、それはあなたに対してだけではないことを思い浮かべて下さい。

そして、あなたが風俗嬢にコンドームなしのオーラルセックスを要求するなら、それはまさしく自爆行為とも言えるハイリスクであることを知っておいて下さい。

◇淋菌感染症とHIV感染

淋菌感染症もまた、HIV感染のリスクを高めてしまう性感染症です。クラミジアや性器ヘルペスと同様です。あなたの性器に炎症があれば、そこからHIVが侵入しやすくなります。

あなたが何だかおかしいな、と思ったらまずは淋菌の検査を受けてみて下さい。

もちろん、淋菌が不安だ、危ない、と思うならクラミジアやHIVも同様に危ないはずです。可能であれば同時にそれらの性感染症も検査することをお勧め致します。

特に、性風俗で遊んで不安になったあなたは、性器だけでなく喉への感染、咽頭感染も忘れずチェックして下さい。

私が自宅で使った性感染症検査キットを使うと、性器も喉もまとめて検査出来ます。

*「もしかして・・・」と、淋菌感染が不安なあなたは自宅でも検査出来ます。

■男性のあなたにはこちらがお勧めです。私もこれを使いました。
・STD研究所 STDチェッカー TypeR(男性用)
クラミジア・淋菌・HIV・梅毒・B型肝炎
クラミジア(喉)・淋菌(喉)
クラミジアの性器、咽頭感染の他、気になる性感染症がまとめて検査出来ます。
私の使用体験記はこちら⇒『まとめて性感染症検査体験記』

■女性のあなたにはこちらがお勧めです。
・STD研究所 STDチェッカー TypeT(女性用)
クラミジア・淋菌・HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎・カンジダ・トリコモマス・細菌性膣炎
ヒトパピローマウイルス・クラミジア(喉)・淋菌(喉)
12種類もの検査がまとめて出来ます。これで安心出来ます。