平成28年(2016年)のエイズ動向がエイズ動向委員会より発表になりました。

2017年10月に公開されたデータから、2016年のエイズ指標疾患について調べてみました。

 

◇2016年のエイズ指標疾患

当サイトですでに何度も説明した通り、HIV感染者がエイズ指標疾患のどれか1つでも発症したとき、エイズ患者と認定されます。

その指標となる疾患は全部で23種類指定されています。

しかし、実際に発症した件数としてはかなり偏りが見られます。

例によって今回も日本人と外国人を別々にデータを見てみましょう。

●日本人のエイズ指標疾患

2016年における日本人新規エイズ患者のエイズ指標疾患分布は下の表の通りでした。

2016年までの累計件数と共にどうぞご覧ください。

病名 2016年 累計
ニューモシスティス肺炎 241 3,930
カンジダ症 122 2,088
サイトメガロウィルス感染症 74 1,083
HIV消耗性症候群 31 687
HIV脳症 23 307
非ホジキンリンパ腫 17 228
カポジ肉腫 16 306
クリプトコックス症 12 169
単純ヘルペスウィルス感染症 8 166
進行性多発性白質脳症 8 110
活動性結核 6 371
反復性肺炎 5 129
非結核性抗酸菌症 3 88
トキソプラズマ脳症 2 115
化膿性細菌感染症 2 81
原発性脳リンパ腫 1 59
サルモネラ菌血症 1 23
クリプトスポリジウム症 0 27
リンパ性間質性肺炎 0 31
コクシジオイデス症 0 1
ヒストプラスマ症 0 3
イソスポラ症 0 2
浸潤性子宮頸癌 0 2
合計 572 10,006

表1.日本人のエイズ指標疾患

2016年に新規に報告された日本人のエイズ患者は394人でした。

そしてエイズ指標疾患の合計件数は572件でした。

従って複数のエイズ指標疾患を発症した患者さんがいたことになります。

エイズ指標疾患で報告の多かった上位3件を見るとこんな感じです。

1位 ニューモシスティス肺炎 241件(42.1%)

2位 カンジダ症 122件(21.3%)

3位 サイトメガロウィルス感染症 74件(12.9%)

となっています。

この3疾患で実に全体の76.4%を占めています。

過去のデータを見てもやはりこの3疾患が多く、この傾向はずっと変わっていないようです。

表1をグラフ化したものが、図1です。

日本人エイズ指標疾患2016
図1.日本人のエイズ指標疾患

グラフで見るとニューモシスティス肺炎が断然多いのがよく分かります。

ニューモシスティス肺炎の詳しい説明はこちらからどうぞ。

『ニューモシスティス肺炎』

その他のエイズ指標疾患についてもこのページからご覧下さい。

『エイズ指標疾患とは』

 

●外国人のエイズ指標疾患

では次に外国人のエイズ指標疾患を見てみましょう。

病名 2016年 累計
ニューモシスティス肺炎 21 538
カンジダ症 13 271
活動性結核 7 193
サイトメガロウィルス感染症 6 87
HIV消耗性症候群 5 161
カポジ肉腫 3 38
トキソプラズマ脳症 1 80
ヒストプラスマ症 1 4
サルモネラ菌血症 1 7
クリプトコックス症 0 68
クリプトスポリジウム症 0 2
単純ヘルペスウィルス感染症 0 32
原発性脳リンパ腫 0 13
リンパ性間質性肺炎 0 7
非結核性抗酸菌症 0 24
進行性多発性白質脳症 0 9
化膿性細菌感染症 0 19
コクシジオイデス症 0 0
HIV脳症 0 43
イソスポラ症 0 4
非ホジキンリンパ腫 0 37
反復性肺炎 0 24
浸潤性子宮頸癌 0 1
合計 58 1,662

表2.外国人のエイズ指標疾患

2016年の外国人エイズ指標疾患の上位3疾患は次の通りです。

1位 ニューモシスティス肺炎 21件(36.2%)

2位 カンジダ症 13件(22.4%)

3位 活動性結核 7件(12.1%)

この3疾患で全体の70.7%を占めています。

3位は活動性結核でしたが、2015年の3位はサイトメガロウィルス感染症でした。

表2をグラフにしたものが図2になります。

外国人エイズ指標疾患2016
図2.外国人のエイズ指標疾患

外国人と日本人を比較してみると、3位以下に多少の差はありますがほぼ同じ頻度であることが分かります。

 

●日本人のエイズ指標疾患累計(1985年~2015年)

では、最後に日本人のエイズ指標疾患を1985年からの累計でご覧頂きましょう。

図3をご覧ください。

日本人エイズ指標疾患累計2016
図3.日本人のエイズ指標疾患累計

1985年からの累計でも上位3疾患は2016年と同じです。

1位 ニューモシスティス肺炎 3,930件(39.3%)

2位 カンジダ症 2,088件(20.9%)

3位 サイトメガロウィルス感染症 1,083件(10.8%)

累計データもニューモシスティス肺炎が一番多いのですが、累計では39%、2016年では42%ですから近年多少なりとも増加傾向にあるのでしょうか。

例えば2000年の日本人エイズ指標疾患を見ると、ニューモシスティス肺炎がトップながら比率は33%です。

 

◇まとめ

今回は平成28年(2016年)のエイズ指標疾患データをご紹介しました。

全23種のエイズ指標疾患はHIVに感染しなくても発症することがあります。

決してHIV感染特有の病気という訳ではありません。

HIV感染以外の理由によって免疫力が低下した場合でも発症の可能性はあります。

とは言え、どの疾患も普通に健康な人の免疫力があればめったに感染する病気ではありません。

その意味でこれらの感染症が見つかった場合には一応HIV感染を疑いHIV検査を受けることも必要です。

当サイトで何度も繰り返していますが、早期のHIV検査は救命的検査となります。

ここ数年、日本国内では毎年凡そ1,500人ほどがHIV感染者として報告されています。

その約30%はHIV感染が見つかった時点ですでにエイズを発症しています。

いわゆる、いきなりエイズと言う状態です。

しかも年齢を50歳以上に限定してみると、何といきなりエイズの割合は50%にも達します。

HIV感染が見つかった人、2人に1人はすでにエイズを発症していたのです。

確かに抗HIV医療の進歩でエイズで亡くなる人は激減しています。

それでもなお、エイズ発症前の治療開始とエイズ発症後の治療開始では生存率や後遺症のリスクなどが違います。

早期のHIV検査はエイズ発症を未然に防ぎ、救命的検査となります。

エイズ指標疾患を発症する前に、どうぞ保健所、病院でHIV検査を受けて下さい。

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正しく使用すれば医療機関のHIV検査と同じ信頼性があります。

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